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PHVは「EVアシステッド・バイ・エンジン」
そもそも皆勘違いしていると思うのだが、トヨタもつくっているPHVというのは実はEVそのものにもなるのだ。ガソリンエンジンを回さなければ充電できないハイブリッドに対して、PHVはプラグを差し込んで外部から直接充電できる。つまりEVと理屈は同じだ。フル充電なら30~50キロ程度はガソリンを使わずにバッテリーだけで走れるし、PHVによってはエンジンを起動しないでバッテリーで走るモードが選択可能。従って買い物や通勤などで環境規制が厳しい都市部を走る場合は電気モーター、都市部を離れて長距離を走る場合はガソリンエンジン併用という使い分けができるのだ。
EVドライバーの心理として一番の心配は長い距離を走ることだ。カタログ値でテスラのモデル3は500キロ、日産リーフは400キロ走行可能というが、そこから先が怖い。サービスエリアやカーディーラーなどには直流の高速充電器が設置されているが、ガソリンスタンドを探すほど簡単ではない。仮に運よく見つかっても、充電に1時間近くかかる。
PHVの場合、夕方に帰ってきて自宅の交流100Vのコンセントにプラグを差しておけば、一晩でフルチャージできるから、日常、市内をEVモードで走る分にはそれで十分。長距離を走ってバッテリーが心細くなってもガソリンエンジンがある。ガソリンとバッテリー、両方を使い切ると700キロぐらいは走れる。しかも、郊外に出ればエンジンを回して電池をチャージすることもできる。つまりPHVはバックアップにガソリンエンジンを持ったEVと考えればいい。「プラグ・イン・ハイブリッド」などとは言わず、「EVアシステッド・バイ・エンジン」とでも言えばいい。そうすればEVシフトが進んでも、PHVが排除される側に回ることはない。
トヨタにとって、テスラなどは敵ではない
ハイブリッド車やPHVに使われている高度な基幹技術、たとえばパワフルな交流モーター、バッテリーの直流電流を交流電流に変換するインバータ、減速したときに電気をつくり出してチャージしてその抵抗力でブレーキをかける回生ブレーキなどはEVにも共通する技術だ。その生産量はハイブリッド車やPHVで圧倒的なシェアを誇るトヨタが世界一であり、いまだ25万台程度しか生産していないテスラなどは足元にも及ばない。
EV最大の技術的ネックはバッテリーだが、これは内製しているメーカーはほとんどないから差別化は難しい。トヨタは電池容量や充電時間が飛躍的に向上する「全固体電池」の量産化を目指しているが、まだしばらく時間がかかりそうだ。それでも現状、PHVはEVの要件をすべて満たしている。エンジンを回さずにバッテリーをチャージできるし、いざというときにはエンジンのアシストもついている。そうした点をユーザーや規制当局に対してきちんと説明していくべきだ。欧米でエコカーの本命がEVに傾いたのはPHVのロビー活動が足りなかったからだと思う。
http://president.jp/articles/-/23744
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Source: 新型車情報局