5月19〜20日に鈴鹿サーキットで開催中の「2018 AUTOBACS SUPER GT Round3 SUZUKA GT 300km Fan Festival」。5月19日に行われた予選はコースレコード連発のとんでもない白熱振りを見せました。
GT500クラスでポールポジションを獲得したのは8号車ARTA NSX GT。Q1で伊沢拓也選手が1分44秒806という前人未到の44秒台というタイムをたたき出し文句なくQ1トップ。
これ以上のタイムが出るのだろうか?という疑問が筆者の頭をよぎりましたが、Q2では同じARTAの野尻智紀選手が1分44秒319と、伊沢選手のタイムを0.5秒近くも更新!従来のコースレコードである1分47秒074を2.7秒近くも上回るとんでもない記録でコースレコードを更新しました。
GT500クラス予選2番手はジェンソン・バトン選手の加入で話題の100号車RAYBRIG NSX-GT。
Q1を担当したバトン選手はこれも従来のコースレコードを破る1分45秒130でQ1を2番手で通過。そしてQ2では山本尚貴選手が1分44秒473というこれもとんでもないタイムで2番手となります。トップとの差7は100分の15秒というギリギリの僅差!
そして予選3番手は17号車KEIHIN NSX-GT。小暮卓史選手がQ1をギリギリで通過し望みをつないだところを塚越広大選手が1分44秒台で大きくジャンプアップ。
GT500クラスの予選を俯瞰すると、Q1敗退組まで含めての全車が従来のコースレコードを上回りました。マシンの進化など要素はいろいろとありますが、その中でももっとも大きな要素といわれるのが気候。昨年までのSUPER GTの鈴鹿戦は8月の最終週末に開催されていた鈴鹿1000km。真夏の鈴鹿サーキットの路面温度は非常に高く、タイヤの磨耗が激しくなるうえに予選で使用したタイヤを決勝のスタートタイヤとして使用するために予選でも固めのタイヤを使用します。
ところが今回の予選では午前中に最大風速16m/sという強風が吹き荒れ、5月としては肌寒いほどの気温。そしてその風により日差しの割には路面温度が上がらず、各チームともやわらかめのタイヤをチョイス。そしてレース距離も300kmと短いために、決勝のスタートに使うタイヤ、という観点でも柔軟に選択できるということがあります。その部分がタイムを大きく伸ばした要素のひとつであるといえるでしょう。
どれだけ風が強かったかを示す写真がこれです。町並みの向こうに伊勢湾が見えますが、普段は海からの水蒸気の影響で町並みの向こうは「もや」がかかったような薄ぼんやりとした風景になりますが、強い風がそのもやを全部吹き飛ばしてしまったために伊勢湾の向こう側の稜線まで見えているのです。
そんな強風の中で行われた予選はGT300クラスもコースレコードを連発。
GT300クラスの予選でポールポジションを獲得したのは96号車K-tunes RC F GT3。
Q1でベテラン新田 守男選手が56秒台に入れてQ12位で通過してくると、いまや中堅ともいえる強さと速さを併せ持つ中山 雄一選手がただ一人55秒台という、これまた前人未到の1分55秒531でポールポジションを獲得します。
予選2位は昨年のポールポジションであるつちやエンジニアリングの25号車HOPPY 86 MC。
3位には昨年のチャンピオンである0号車グッドスマイル 初音ミク AMGが入ります。
前戦の富士500kmレースをポール to ウィンで優勝した55号車ARTA BMW M6 GT3は予選20番手と低迷。さすがに52kgのウェイトを積んでは本来の強さを発揮できないでいたようです。
コンスタントにポイントを積み重ねる7号車D’station Porscheは40kgのウェイトをつみながらも予選7位、開幕戦岡山で優勝したためにD’station Porscheと同じ40kgのウェイトをつむUPGARAGE 86 MCは8位と大健闘。この2台と予選トップ3はともにヨコハマタイヤを使いますが、今回の予選ではヨコハマ勢がセッティングを掴みやすかったのかもしれません。
まったく新しくなったSUPER GT鈴鹿戦。ここではどんなドラマを見せてくれるのでしょうか?決勝レースは20日14時40分にスタート、52周の予定です。
(写真:松永和浩、高橋秀彰 文:松永和浩)
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Source: clicccar.comクリッカー