4月1日に鈴鹿サーキットで開催された「SUZUKA S耐 春の陣」で開幕した「ピレリスーパー耐久シリーズ2018」。
SUZUKA S耐 春の陣では52台のマシンが一斉にローリングスタートを切るという大迫力で、年々参加台数が増加傾向にあるスーパー耐久。「参加型モータースポーツ」の国内最高峰といわれるスーパー耐久とは一体どんなレースなのでしょう。
スーパー耐久は現在、参加チームがいないクラスも含めて全部で8クラス。最高峰のFIA-GT3マシンを使ったST-Xクラスから1500cc相当のコンパクトカーを使ったST-5クラスまで、全てのマシンが同じレースを走るというものです。富士スピードウェイの長いストレートではST-XクラスとST-5クラスの速度差は100km/h近くなり、速いクラスは遅いクラスをいかにパスし、また遅いクラスは速いクラスにいかに上手く抜かれるか、という部分も見所のひとつとなっています。
クラス別に見てみると、最も速いクラスのST-XクラスはPORSCHE 991 GT3RやNISSAN GT-R NISMO GT3、AUDI R8 LMSなどSUPER GTでもお馴染みのマシンが走ります。年間エントリーリストでの参加台数は11台となっており、全カテゴリーの中で2番目に参加台数の多いクラスとなっています。
今年からスーパー耐久にニューマシンとして参戦したMAX RacingのLEXUS RC F GT3。このマシンはカーボン地のボディーカウルのまま参戦していますが決して開幕戦にカラーリングが間に合わなかったわけではなく、この無塗装の状態での参戦です。レーシングカーにお決まりのスポンサーロゴは大会指定のもの以外全くありませんが、フロントバンパーやドアに貼られたQRコードをスマホでかざすとチームのサイトが表示されるという、実は凝った内容のカラーリングなのです。
昨年から導入されたST-TCRクラスは世界ツーリングカーカップなどで使用されるマシンを使ったクラスで、4または5ドアの2リッターターボのFF車をベースに開発されたレーシングカーで、いまスーパー耐久で最もホットなクラスとして話題となっています。
HONDA CIVIC TCRやAUDI RS3 LMS、VW GOLF TCRなど年間エントリー台数は8台、開幕戦には7台が参戦と比較的新しいクラスとしては参加台数が多く、今後も増加傾向となっていくクラスです。
開幕戦ではPorsche 911GT3 cupが2台参加というST-1クラス。スーパーカーのワンメイクレースマシンが参加できるクラスですが、このワンメイクレースは国内に限らず海外でのワンメイクレースも対象となり、昨年はスポット参戦でランボルギーニ ウラカンのワンメイクマシンも出場しています。
3500cc相当の4WDまたはFF車が参加するクラスがST-2クラス。このクラスで常勝を誇るSUBARU WRX STIやランサーEVO Xなどの2リッターターボ4WDマシンが戦ってきました。
今シーズンからこのST-2クラスはFF車も編入されることとなり、マツダのアクセラが参戦。このアクセラ、実はディーゼルエンジンのレーシングマシンでタイム的にはライバルには及ばないものの圧倒的な燃費を誇っていることから5月31日~6月3日に開催される富士の24時間レースではかなりのところまで行くのではないかと噂されています。
3500ccの後輪駆動がST-3クラス。このクラスはLEXUS IS350、RC350のレクサス勢とNISSAN フェアレディ Zの8台がしのぎを削る戦いを見せています。
2リッタークラスで戦うのはST-4クラス。年間エントリー台数は14台と、スーパー耐久で一番参加台数の多いクラスとなっており、参加車種もTOYOTA 86、SUBARU BRZ、HONDA INTEGRA、MAZDA ROADSTER(NC)、TOYOTA VITZ GR TURBOなど、実に様々なマシンがしのぎを削ります。
そして一番小さなマシン、1500cc相当のコンパクトカーで戦うのがST-5クラス。HONDA FITⅢ、MAZDA ROADSTER(ND)、MAZDA DEMIOなど10台がエントリー。
台数的にはND型ロードスターが4台、FITⅢが4台、デミオが2台なっており、マツダの台数が多いのが今季の特徴。デミオはガソリンとディーゼルの両方が参戦していますが、昨年の実績ではシリーズ2位とディーゼルのデミオの方が勝っています。
開幕戦の鈴鹿では総合優勝はST-XクラスのY’s distraction GTNET GT-R。ただし表彰やポイントランキングは各クラスごとに行われます。
耐久レースですからピットインがあります。レース時間よって義務となるピットの回数が決められており、開幕戦鈴鹿ではドライバーチェンジを伴うピットインが3回となりました。このピット作業時間やピット回数で順位が大きく変わることもあることから、ピットインのタイミングなどは重要な戦略となります。
参戦マシンがスターティンググリッドにつくためにコースインをするわけですが、スーパー耐久の場合は全車一斉にコースインをします。そのコースインのカウントダウンはピレリスーパー耐久シリーズ公式イメージガール「Fresh Angels」とピレリイメージガールが行います。なぜピレリイメージガールが登場するかといえば、2018シーズンからスーパー耐久で使用されるタイヤはピレリの独占供給となっているからなのです。
SUPER GTなどではレースクイーンがグリッドボードを掲出しますが、スーパー耐久ではサーキットによってはグリッドキッズが登場します。
スーパー耐久は「参加型レース」といわれてはいますが、SUPER GTに参戦するようなプロドライバーも数多く参戦します。SUPER GTではSUBARU BRZ R&D SPORTをドライブする井口卓人選手はST-2クラスのWRX STIで参戦。豊田章男社長もなぜか激励に。そして今年、マッハ車検 MC86 Y’s distractionでSUPER GTデビューをした平木湧也選手はNCロードスターで参戦。
また、「MAX」織戸学さんや「世界の」荒聖治選手など名ドライバーも数多く参加します。
そんなお楽しみ満載なスーパー耐久では今年、いよいよ24時間レースが開催されます。富士スピードウェイで、2018年5月31日(木)~6月3日(日)の4日間開催となるピレリ スーパー耐久シリーズ2018 第3戦「富士SUPER TEC 24時間レース」。スーパー耐久では10年ぶりの24時間レースが富士スピードウェイで開催となることで大きな話題となっています。
ピレリスーパー耐久シリーズは全て観戦していただきたいところですが、その中でも富士の24時間レースは必見と言えるでしょう。
(写真・文:松永和浩)
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スーパー耐久シリーズ 富士SUPER TEC 24時間レース
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Source: clicccar.comクリッカー