最新型EV「モデル3」の生産にまだまだ問題を抱えてるテスラのフレモント工場などで、生産の一部を担当しているコントラクター(請負契約会社)およびサブコントラクター(孫請け業者)から派遣される労働者の大規模な整理が始まっており、テスラの社員からの評価が低い人材が解雇され始めているとのことです。
Tesla starts brutal review of contractors, firing everyone that is not vouched for by an employee | Electrek
https://electrek.co/2018/05/06/tesla-brutal-review-contractors-firing-vouching-employee/
事の発端は、同社のイーロン・マスク氏が2018年4月17日に従業員に対して送信していたメールの内容にさかのぼります。そのメールには、モデル3を生産する「フレモント工場」と、そのバッテリーを生産する「ギガファクトリー1」の稼働を4~5日ほどストップさせ、生産効率を改善するための見直しを行うことに加えて、「生産ラインで作業を担当しているスタッフの中に下請け業者が非常に多く含まれ、さらに下請けから孫請け、という複雑な契約によって派遣されているスタッフが存在しているという事実を知って失望した」という旨が記されていました。
マスク氏は、何層にもおよぶ下請け業者の構造を「ロシアのマトリョーシカのよう」と表現しており、いくつもの業者による手数料の「中抜き」が行われることでコストが跳ね上がっていることを問題視。さらに、それらの業者の多くが事前に決められた契約額ではなく、実動時間ベースの支払いを受けていることも問題点として挙げています。
この現状に対してマスク氏は、2018年第1四半期の決算発表会の場でも、「サードパーティの下請け業者の数はもはやコントロールできない状況にあるので、我々はこびりついた垢(あか)を削り落とすことにした。これはばかげた状況だ。垢の上に垢が積み重なっている。そのため、多くの垢を一気に除去してしまわなければならない」と、近く下請け業者の状況について大規模な整理を行う方針を表明していました。
マスク氏は「契約労働者のパフォーマンスは、非常に優れた労働者から酔っぱらいよりもひどい者まで幅がある」としており、テスラの求める基準を満たすことができる人材だけを使い続ける方針を表明。下請け業者から派遣されている労働者の仕事内容の品質を評価する仕組みを取り入れることを各業者に通達し、業者が「いかに効率良く、高い水準の仕事を行っているのか」をアピールする一定の期間を設けて、各社がテスラの工場で生き残るためのチャンスが与えられました。この期間は一度延長されていましたが、2017年5月6日付の報道では、ついにこの取り組みによる解雇者が出始めたことが明らかにされています。
実際にどの程度の契約労働者が解雇されているのかは不明ですが、フレモント工場だけでも1万人を超える従業員が働いている中で、契約労働者の数は数百人程度ともいわれているとのこと。一方でマスク氏は、モデル3の生産を本格化させるために週あたり400人を新たに雇い入れることを表明していることから、今回の措置は単なる人減らしではなく、無駄を省くための構造の見直しとして行われている模様です。さらに、この取り組みはフレモント工場だけにとどまらず世界中のテスラ関連施設で実施されるとのことです。
なお、この件を報じたElectrekの記事のコメント欄では、テスラのギガファクトリーで働いていた人物の親類と名乗る人物が現場の状況を「リーク」するコメントを投稿しています。それによると、ギガファクトリー内部では下請け業者の状況を統制する人物が不在であるために、無秩序な状況に陥っているとのこと。また、そのような業者から派遣される労働者は「fleas(ノミ)」と呼ばれているという実態や、雇われた電気技師は工業的または工場オートメーションに関する経験を持っていないこと、そしてドイツ製の生産設備を一度に導入したにもかかわらず、実際に使われ出すまで何週間も放置されていたという実態などが記され、設備の稼働プランや労働者への作業指示がまったく示されない状況が存在しているとしています。
以下ソース
https://gigazine.net/news/20180507-tesla-start-review-contractor/
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Source: 新型車情報局