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日本車LEGEND#6(昭和60年〜平成元年)TT-F1&鈴鹿8耐の熱狂

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日本が生んだ伝説の名車たちを紹介するシリーズ。国産市販バイクが世界の頂点に上り詰めた昭和44年(1969年)から現代に至る50年の間に登場した”エポックメイキングなロードスポーツ”をテーマににお届けする。本稿は昭和60年~平成元年(1985〜1989)、”TT-F1&鈴鹿8耐の熱狂”編。

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目次

レプリカブームがナナハンクラスに進撃。’80s 名作ロードスターも誕生した

250ccで始まったレーサーレプリカ熱狂時代は、RG250Γをリリースしたスズキが同時代の開拓者として次なる一手を打つ。それがGSX-R750だった。大排気量は威風堂々のハイスピードツアラーというのが定石だったところへ、常識はずれの軽量&ハイパフォーマンスでそれまでにないナナハンレプリカを創り上げたのだ。出遅れたかに見えたライバルたちは、ワークスマシンレプリカと呼ばれるほどのコスト度外視のマシンで逆襲を図る。ファンの間では「アールシーサンマル」や「オーダブリュゼロワン」といったコードネームで呼ぶのが流行った時代でもあった。そうした当時にリリースされたRC30やOW-01などは現在、欧州の旧車オークションで高値取引されるなど、世界的にも伝説のバイクとなっている。長寿モデルとなったV-MAXもこの時代に誕生したモデルだ。昭和60年は日航機墜落事故、電電公社の民営化などの出来事があり、昭和61~63年にかけてはドラゴンクエストI~IIIが発売された。昭和64年は1月7日までとなり、同年1月8日から平成がはじまる。

油冷エンジン初搭載で大排気量レプリカ誕生 GSX-R750

日本国内でもカウルやセパハンが解禁されてから早数年。時代はレーサーレプリカブームへと突入していた。それまでレーサーにしか使われていなかったアルミフレームをRG-Γ250やGSX-R(400)で市販車に導入したスズキは、続いてフラッグシップのGSX-R750を投入する。もちろんフレームはアルミ製。これに初の試みとして油冷エンジンが搭載された。水冷よりもコンパクトに設計できる利点は存分に活かされ、通常200kg超えは当たり前だった車重は乾燥で179kgを実現。ライバルの度肝を抜いた。デビューイヤーでル・マン24時間耐久も制覇すると、サーキットは瞬く間にGSX-R一色に染まっていき、世界各地で戦果を挙げていった。

【SUZUKI GSX-R750 昭和60(1985)年】主要諸元■油冷4スト並列4気筒DOHC4 バルブ 749cc 77ps/9500rpm 6.4kg-m/8000rpm■179kg(乾)■F=110/80-18 R=140/70-18

スズキの代名詞ともなった油冷エンジンは水冷のようなウォータージャケットを必要とせず軽量コンパクト化を可能とした。ル・マン制覇で耐久性も証明。

新時代の設計思想=ジェネシス FZ750

4スト大排気量ではそれまで後れを取っていた当時のヤマハは、水冷化に時代が移行する際に一気に勝負に出る。ジェネシスと名付けられた思想に基づいて設計されたFZ750は、45度と大きく前傾したシリンダーでダウンドラフト吸気を実現。さらに吸気3&排気2の5バルブシステムで高回転化が追求された。エンジンパワーだけでなくハンドリングバランスも追求されたFZ750は、新時代にふさわしい1台として好評価を受け、その設計思想は以後受け継がれていった。

【YAMAHA FZ750 昭和60(1985)年】主要諸元■水冷4スト並列4気筒DOHC5 バルブ 749cc 77ps 7.0kg-m■209kg(乾) ※写真左はFZ750レーサー

【FZR750 [OW74]】’85年の鈴鹿8耐にはFZのTT-F1マシンとなるワークスFZRを投入。K・ロバーツと平忠彦のコンビで8耐人気を社会現象まで高める契機となった。

Vブーストで145psを叩き出す豪速ドラッガー V-MAX

’80年代レプリカブームのさなかにあって、ひと際孤高で武骨なカテゴリーがあった。それがいわゆるアメリカンとは一味違うドラッガースタイルだ。北米市場拡大を狙ってヤマハが投入したV-MAX1200は145psのV4パワーでゼロヨン好きな彼らのツボを直撃した。もともとクルーザーのベンチャーロイヤルがベースとなるこのV4で145psを発揮できたのは、有名なVブースト機構のおかげ。前後キャブレターのマニホールド間を回転数の上昇に伴いバイパス。高回転域では1気筒あたりツインキャブレターとすることで大馬力を引き出した。’90年に国内仕様も登場したが、Vブースト無しの98ps。逆輸入車人気が相変わらず続き、後にワイズギアから国内用Vブーストカスタムキットが発売された。

【YAMAHA V-MAX 昭和60(1985)年】主要諸元■水冷4ストV型4気筒DOHC4バルブ 1198㏄ 145ps/9000rpm 12.4kg-m/7500rpm■263kg(乾)■F=110/90-18 R=150/90-15

Vブーストは、インテークマニホールド間をつなげて吸気効率アップ。エアボックス容量を稼ぐために燃料タンクはシート下にあった。

プライベーターの救世主 コスト度外視の本気レースベース車 VFR750R [RC30]

レースはワークスチームだけではなく、数多くのプライベーターたちがいてこそ成り立つもの。そんな彼らがワークスにも勝てるマシンとして生み出されたのがRC30だ。当初はVFR750FにワークスRVFの外観を着せて売価は89万円というのが上層部からの指令だった。だが開発チームは納得いかなかった。本気で勝つためにチタンコンロッドやマグネシウムのヘッドカバー、FRPのカウル…etc。しまいにはライン生産ではなく1台ずつ手組み生産という、それまでの常識を超えた贅の限りが尽くされた。しかして、当時148万円は超高価格設定だったが、予定の限定1000台は抽選販売となる大人気で最終的に世界で4885 台を販売。鈴鹿8耐のエントリーも約半数をRC30が占めるようになった。

【HONDA VFR750R [RC30] 昭和62(1987)年】主要諸元■水冷4ストV型4気筒DOHC4バルブ 748cc 77ps/9500rpm 7.1kg-m/7000rpm■180kg(乾)■F=120/70-17 R=170/60R18 ※写真左はRVF750

カムギヤトレーンの90 度V4 エンジンは型式こそVFR750Fと同じRC07Eだが、圧縮比が高められ、チタンコンロッドなどにより戦闘力が大いに高められた。

ヤマハもレースベース車投入 FZR750R [OW-01]

レースに勝つためには高くても売れることをRC30が証明。ヤマハもFZR1000をベースとしたFZR750を作っていたが、レース用ホモロゲ車としてワークスマシンYZF750とほぼ同じ構成のFZR750R(OW01)を開発した。チタンコンロッドやオーリンズリヤサス、FRPカウルなど即実戦仕様。限定500台&定価200万円の国内分は、やはり予約抽選で完売となった。

【YAMAHA FZR750R [OW-01] 平成元(1989)年】主要諸元■水冷4スト並列4気筒DOHC5バルブ 749cc 77ps 6.7kg-m■187kg(乾)

ワークス共通部品も多数 GSX-R750R

スズキのスーパーバイク用ホモロゲーション車となるGSXR750Rも、強化フレームにスタビライザー付きスイングアーム、クロスミッションやアルミタンクなどで強化した実戦仕様。エンジンもSTDよりストロークを延長した専用設計とし、世界耐久選手権ワークスマシンとの共通部品も投入されていた。定価は165万円。500台の限定発売だった。

【SUZUKI GSX-R750R 平成元(1989)年】主要諸元■油冷4スト並列4気筒DOHC4バルブ 749cc 77ps 6.8kg-m■187kg(乾)

漢のゼロヨンニンジャ ELIMINATOR

V-MAXと同じドラッガースタイルを投入したのがカワサキ。ゼロヨンイメージを性能でも確かなものとするため当時世界最速のGPZ900Rエンジンをシャフトドライブ化して搭載。発進加速ではGPZを上回った。しかし、北米ではV-MAX人気に勝てず短命に。900は輸出車のみで国内には直4を積んだ750&400版や並列2気筒の250版が発売されていた。

【KAWASAKI ELIMINATOR 昭和60(1989)年】主要諸元■水冷4スト並列4気筒DOHC4バルブ 908cc 105ps 8.7kg-m■238kg(乾)

独自路線で国内でも硬派なイメージを築いたエリミネーター400。

軽さ命の2ストシングル SDR

こちらもレプリカ全盛期に、シングルスポーツの可能性を探った孤高のモデル。DT200Rのピストンリードバルブ2ストエンジンをクランクケースリードバルブに再設計し、メッキが施された鋼管トラスフレームの車体に搭載。1人乗り専用とし、とことん軽さが追求された。乾燥重量わずか105㎏に34psは実にアグレッシブだった。

【YAMAHA SDR 昭和62(1987)年】主要諸元■水冷2スト単気筒クランクケースリードバルブ 195cc 34ps 2.8kg-m■105kg(乾)

SDRの魅力の1 つが車体のスリムさ。タイヤ幅かというぐらい細く、思わずタンク上に比較用のセブンスターを置いてしまうほど(昭和か)。

【今回登場する名車たちの写真をまとめて見る】











Source: WEBヤングマシン

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