検査値のバラつきを嫌ったゆえの数値操作という不正。その原因は……
スバルにおいて完成検査の不適切な事案を調査していくなかで判明した、完成車における排ガス検査における不正。国土交通省への報告、記者会見に合わせて、「どんな理由で、何が起きていたのか」を調査した第三者(法律事務所)によるレポートが公表されております。
山本晋也 【Yamamotosinya】@Ysplanning
【SUBARU】当社群馬製作所における完成検査時の燃費・排出ガス測定に関する調査報告について https://t.co/jKXLR0j0XB
読み込みながら、不正について気になる(キーになる?)部分を抜き出してツイートしていたのですが、シンプルにいえば「ミスを隠したい」という現場の感情が不正を生み出したというのがレポートの結論。そして「ミスを隠す」という感情が湧くということはミスに対する上司や管理部門からのプレッシャーが並大抵ではなかったのだろうな、とも想像できるところ。なにしろ、検査データのバラつきを嫌って、悪いデータだけでなく良いデータも不正に修正していたというのですから。
山本晋也 【Yamamotosinya】@Ysplanning
報告書から注目すべき記述を抽出
”不正が行われた車両の台数は、記録媒体に燃費測定データが保存されていた 3,781 台45中、511 台46であった。なお、511 台の中で、測定値を良い数値に書き換えたものが 407 台、測定値を悪い数値へと書き換えたものが 104台であった。”
ミスを隠したいという感情が生まれるのは、この検査が機械によって行なわれるものではなく、上の図にあるようにシャーシダイナモを使って、実際にモード走行によって排ガスを採集するものだから。JC08モードの走行モードに合わせていくのは検査員のスキルでありますし、公差を考えると結果がバラつくのは当然であっても、それを検査員のスキルとして非難する風潮がSUBARUにはあったということでしょうか。「検査員のスキルが高ければ、検査データのバラつきは起こらない」という前提で管理部門が見ていたとしたら、それが不正を生んだ遠因でしょうし、社風であれば同様のことが他部署でも起きていないとはいえないのが、この問題が企業としては根深いと感じる部分でもあり。
山本晋也 【Yamamotosinya】@Ysplanning
測定値を良い数値に書き換えた場合の方が悪い数値に書き換えた場合よりも大幅に多い(中略)直前の測定値や平均的な測定値と比較して悪い数値が出た場合に、自らの技量不足や運転ミスを指摘されることをおそれて書き換えを行っていた場合が多かったと考える
山本晋也 【Yamamotosinya】@Ysplanning
結局、測定値をありのままの数値として採用するのではなく、上司から質問
されたり、技量不足や運転ミスを指摘されることを避けるために、数値を書き換えることによって体裁を整えるという不正行為が行われていたものと判断する。
その意味では、企業として検査データをごまかそうとしたというよりは検査チームがチームの価値を高めるためにデータを書き換えたといえるわけで、このあたり減点を嫌う日本企業らしい事象といえ、つまり自動車業界外を含めた他社でも同様のことが起きている可能性も容易に想像できるところ。つまり他山の石として、誰もが捉えるべき不正であるとも感じるのでありました。
山本晋也 【Yamamotosinya】@Ysplanning
書き換えの動機・理由
個々の車両についての測定値が排出ガス品格値を上回ってはならないという
認識に基づく不正な書き換え
測定値を体裁良く見せる目的で行われた不正な書き換え
山本晋也 【Yamamotosinya】@Ysplanning
排出ガスについても、いずれの車種についても、個々の測定値において新規
検査管理値に対する品質規格値を超えるものはなく、かつ四半期毎の検査結果の平均値は排出ガス品格値以下であることが確認できた
山本晋也 【Yamamotosinya】@Ysplanning
教育の不足・社内ルール等の不備と相まって、不正な書き換えないし不適切な補正の方法・知識が属人的に踏襲されるという事態の遠因となったと考えられる
結論として、検査データの書き換えは数値のバラつきを抑えることが主目的で、データ自体は必要な基準をクリアしていた、というのもレポートに書かれているわけで、製品としての不安はないといえるのですが、こうした事象が起きてしまうという社内文化、風潮があるとしたら、それを修正するのは容易ならざる、と思うのです。新興企業であればまだしも、100年を超える歴史を持っている伝統的な企業でありますから……。
そのためには、ドラスティックな変革が必要でしょう。たとえば電動化を一気に進めるなど、クルマ作りのチーム構成から変えてしまうような外的要因も必要なのかもしれない、と思ってみたりするのでありました。
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精進します。
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Source: クルマのミライ