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関西を代表するカスタムショップが技術力を注ぎ込んだ結晶
前後バンパーは純正にこだわる!
OPTION誌の86/BRZ総選挙で総合1位に輝いたユーザーマシンが、この大阪府“まさやん”の86だ。「もともとはRWBのポルシェに乗るのが夢でした」と言うが、保管場所の問題から断念。そこで、ポルシェでやりたかったことを86でやろうと決意して、完成させたのがこのマシンというわけだ。
ベース車両はトヨタディーラーで新車購入したそうだが、その経緯も面白い。ロケットバニーのワイドボディは必須として、納車前にカスタムショップや鈑金ショップと連携してもらい、2名乗車とともにワイドボディの公認を取得したと言うのだ。
そして、まさやんの絶対に譲れないこだわりが「前後のバンパーは純正を貫く」こと。その理由を「純正は開発に掛かっているコストが違うし、あらゆる条件下で最強やと思うんです。それに、社外のバンパースポイラーをつけると一気にカスタム度が上がるじゃないですか。手っ取り早い感じがイヤっていうか、カネを掛ければイイってワケやないことを見せたいんですわ。まぁカネはがっつり掛けてますけど(笑)」と、オチ付きで説明してくれた。
それが理に適っているかどうかではなく、しっかりと“自分ルール”を設定した上で、それに則ってカスタムをする。それが、まさやん86がオンリーワンの存在感を放つ理由なのだろう。
そして、もうひとつ。パーツ選びはもちろん、製作ショップにも徹底的にこだわる。しかも、一軒のショップに全てを任せるのではなく、メニューによってショップを変えると言うのだ。通常、幾つものショップに通うことは敬遠されるものだが、まさやんにそんなセオリーは通用しない。
「ボクはプロを困らせるのが好きなんですわ。ただ付けるんじゃなくて、そのパーツのポテンシャルを最大限に引き出してもらうために加工してもらったり工夫してもらったりする。一流のプロたちが意地を張り合って実力を発揮して、その上で1台のカスタムカーとしてバランスを考えてくれる。各ショップのセンスには本当に感謝しています」と語る。
ガレージイル、カスタムガレージスパーク、マッキナ…と、関西を代表するカスタムショップが、その技術力を注ぎ込んだ結晶。まさやん86の詳細は次項でチェックしてくれ!!
PHOTO:Hirotaka Minai
加工やワンオフで独自性を出しながら車両のバランスを統一するワザに注目
現時点が完成形ではなくまだまだ進化予定!
以前は、本名にちなんで忍者や手裏剣をあしらったラッピングをしていたと言うボディは、仕様変更によって純正カラーのホワイトと、グラデーションが掛かった鮮やかなグリーンとの2トーンにペイント。忍者柄のときもドレコンで何度も優勝する完成度まで極めたが、友人が86/BRZ専門ガレージ『FLAT』を始めたことを契機に、GTイメージへと変貌させた。
この2トーンカラーは、カスタムペイントのカリスマであるガレージイル代表が提案した、ファルケンカラーをオマージュしたものだ。さらに、タイムアタックマシンやGTマシンなど競技車両のボディを研究して、エアロパーツの見直しも図りつつ、スタンス系の要素も採り入れている。
装着パーツに対しては、ポン付けするのではなくオンリーワンを追求した各種加工を施す。エアロ各部へのワンオフ加工やボディステッカーなど、その多くをガレージスパークが担当し、独自性を高めていく。
そして、車両の完成度を高める秘策が、マッキナによるカーボン柄の水転写だ。もともとカーボン製のパーツにも施工し、また深リムホイールまでも大胆にカーボン柄として、車両全体に統一感を出しながら、GTイメージを強調することに成功している。
一方、パワーアップ系は今後の課題としているが、ありがちな仕様にはしたくないという想いも強い。現仕様は吸排気+ECUチューンとなっているが、吸気系にTMG(トヨタモータースポーツGmbH)のレース用エアインテークを装備しているのが自慢。FLAT代表がお宝として大切にしていたものを、何度も頼み込んで譲ってもらったという逸品である。
内装も然り。もはや見所しかないというほどのスペシャルマシンだが、現時点が完成形ではなく、まだまだ進化させていく予定だ。ロケットバニーやパンデムを手掛けるTRA京都にも通い、すでにGTウイングの翼端板やクォーターガラスのワンオフルーバーなどスペシャルパーツが奢られているが、さらなるアップデートが控えているというから楽しみは尽きない。1年後に出会ったときには、超絶進化を遂げていることだろう。
ボディの鮮やかなグリーンとホワイトの2トーンカラーに、水転写することでカーボン柄を編み目まですべて統一したボンネットやリップスポイラーのブラックが引き締める。今回の撮影に合わせて新たに装備した、ボンネットのアスラン製6連ルーバーや、リヤクォーターガラスのTRA京都の通称“なかわたせワンオフルーバー”も同じくカーボン柄で整えられた。サイドステップ前方に追加されたフィンはカスタムガレージスパークによるワンオフ加工だが、ボディとピロボール式の補強ステーで結合して破損しないよう配慮している。
2名乗車仕様にしてロールケージが張り巡らされたインテリア。室内の各パネル類も抜かりなく、マッキナによるカーボン柄の水転写が施されている。
エンジンは吸排気チューン仕様で、排気系はアペックスのエキマニやパワークラフトのシングルマフラーを装備。注目は吸気系で、FLATに嘆願して譲り受けたエアインテークシステムは、本来はTMG製作のレーシングカーだけが装備できる超レアパーツ。これはエンジン系のエイデンティティとなるために、今後も過給機チューンは視野になく、排気量アップなどのNAメカチューンを極めたいそうだ。
高校一年生のご子息、あっ君の後ろに立っているのがオーナーのまさやん。「サーキットで一秒を争うチューニングカーではないですが、どんなステージでも通用する速さがあって、とにかくカッコイいいカスタムカーであることがモットー。純正バンパーのまま、どこまでレーシーさを引き出せるかがコンセプトですね」
スペック
■エンジン:トラスト コンフォートスポーツマフラー/TMGエアインテーク/TRD エアクリーナー/HKSエキゾーストマニホールド、フラッシュエディタ−/Kansai ECU書き換え
■ドライブトレイン:TRD クイックシフト/クスコ シフタースプリング、ミッションマウントカラー
■サスペンション:HKSハイパーマックスSP/スパーク ラテラルロッド/Rマジック ラテラルリンク/シルクロード テンションロッド、トーロッド、ロワアーム
■ボディ補強:クスコ 9点式ロールバー、パワーブレース各種/beatrush フロントフレームトップバー/TRD 6ポットシステム
■ホイール:ワーク マイスターS1R(F9.5J×19-17 R10.5J×19-30)
■タイヤ:プロクセスT1スポーツ(F235/35-19 R255/30-19)/スパーク タイヤレター
■インテリア:ブリッド ジーグIIIタイプR、ユーロスターII/ATC ラリーコーン95/LIKEWISE シフトノブ/プロドライブ4点式シートベルト/デフィ 追加メーター各種
■エクステリア:ロケットバニー エアロキットver1、リヤウイングver1/TRA京都 翼端板アルミレーザーカット、リヤカナード、ワンオフルーバーなかわたせSP/プロコンポジット カーボンボンネット/バリス カーボントランク(ワンオフ厚み3倍増)/TRD エアロスタビライジングフィン/ガレージイル グリーングラデーション2トーンカラー、各種加工/スパーク サイドステップオリジナル加工、リヤアンダーオリジナル加工、メッシュグリル/マッキナ カーボン水転写/ASLAN 6連ダクト
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Source: clicccar.comクリッカー