11年ぶりにフルモデルチェンジを受けた新型ジープ・ラングラー。2018年は、メルセデス・ベンツGクラス、スズキ・ジムニー/ジムニーシエラと、クラスは違えども「日・米・独」を代表する本格オフロード4WDが新型にモデルチェンジしました(Gクラスも型式は同じでも、実質的には新型といえるでしょう)。
ラダーフレームに、前後ともにリジッドアクスルサスペンション、油圧アシストのボール&ナット式ステアリングを採用するなど、悪路走破性や走りを支える形式は不変となっています。
それでもシャーシ自体は一新されているほか、ドアやドアヒンジ、ボンネットやフェンダー、ウインドシールドフレームにはアルミを使い、スイングゲートの骨格部分や内側パネルにはマグネシウムを用いることで、車両重量の大幅な軽量化を実現。
ジープ・ラングラーといえば、とくにアンリミテッドの方ですが、住宅街のみならず道幅の郊外路や比較的余裕の駐車場であっても「取り回し」も気になるところ。先代ラングラーは、最小回転半径が6.0m、アンリミテッドはなんと7.1mでした。
しかし、新型ではラングラーが5.3m、アンリミテッドが6.2mと大幅に小回りが利くようになっています。現在では、アンリミテッドの6.2mでも大きな最小回転半径ではありますが、先代では切り返さなくてはならなかった場所でも新型では1回でクリアできそう。
エンジンラインナップは、新設計の2Lターボエンジンを積む4ドアの「Unlimited Sport」と、ベースはキャリーオーバーでありながらも改良が施された3.6Lエンジンを搭載する4ドアの「Unlimited Sahara Launch Edition」、同じく3.6Lエンジン搭載の2ドア「Sport」(受注生産)の3グレードから構成。
トランスミッションは、全車にZF製8ATが用意されています。さらに、アイドリングストップが初搭載されるなど、現代的なパワートレーンに進化しています。
なお、「Unlimited Sahara Launch Edition」は、通常ではオプション設定となるレザーシート、フロントシートヒーター、ヒーテッドステアリングホイール、革巻きシフトノブを標準装備したローンチ限定車となっています。
新開発の2.0Lターボエンジン(レギュラーガソリン仕様)は、ツインスクロール式ターボチャージャーにより、低回転域から高回転域まで優れたアクセルレスポンスを発揮。タービンはシリンダーヘッドに直接取り付けられ、排気ガスの低減、耐久性の向上が図られています。
「Unlimited Sahara Launch Edition」と「Sport」が搭載する改良型の3.6Lユニットには、エンジン回転数と負荷に応じて、インテークバルブのリフト量を2段階に変化させる2ステージの「バリアブル・インテーク・バルブリフト」機構を搭載。この高効率エンジンに、先述したZF製8速ATを組み合わせることで、先代よりもカタログ燃費を23%向上。
4×4システムには、従来のパートタイム式4WDに加えて、ラングラー史上初となるフルタイムオンデマンド4WDシステムを全車に採用。「4H AUTO」モードを新たに備え、路面や天候状況に応じて駆動力を自動的に前後配分し、オンロードの快適性、オフロードの高い悪路走破性を備えています。
また、オフロードでは、「4H」または「4L」のパートタイムモードに切り替えることで、センターデフのロックが可能となり、強力なトラクションを発揮。
車内は、ホイールベースの拡大により居住スペースが拡大。さらに、後席の背もたれの形状や角度が見直された結果、室内の快適性が大幅に向上しています。またドア機構には、乗降時にドアから手を離しても一定の位置でホールドするストッパーも採用され、高めのフロアでありながらも乗降性も改善されています。
「Unlimited Sahara Launch Edition」のオンロードでの走りは、ラングラーらしい乗り味は健在でありながらも、不用意にアクセルを踏み込むと背中を押されるような強烈な加速も味わえます。また、8AT化によりスムーズな変速フィールが得られ、静粛性も大幅に向上しているのが確認できました。
(文/塚田勝弘 写真/塚田勝弘、FCA)
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Source: clicccar.comクリッカー