まずは、このパワーグラフを見てください。ストック(ノーマル状態)で141.7 kWのクルマが、「Power Editor」というチューニングにより158.4 kWまでパワーアップしたことを示しています。比率でいうと、およそ11%のパワーアップ。チューニングの伸びしろが少なくなったといわれている、いまどきのクルマでこれほどパワーアップするには、そうそう簡単にはいかないはずですが……。果たして、どのようなチューニングをしたのでしょうか?
驚くなかれ、この「Power Editor」というのは税込3万7800円のチューニングパーツ。しかも、装着もカプラーオンでとても簡単といいます。それだけで16.7kW(22.8PS)もパワーアップしてしまうというのは信じられません。果たして、どのようなチューニングで、どのクルマでのデータなのでしょうか。
このチューニングパーツを開発したのは、おそらく日本一有名といえるチューニングパーツメーカーであるHKS。そしてターゲットとなっているクルマはホンダ・シビックハッチバック(FK7型)です。
シビック・ハッチバックはダウンサイジング指向の1.5リッターガソリン直噴ターボを積んでいます。そして、日本で生産されるシビック・セダンがレギュラーガソリン仕様なのに対して、イギリスで生産されるハッチバックはハイオク仕様となっています。それでいてノーマルのカタログスペックを比べると7kWアップにとどまっています。
つまり、パワーアップの余地があると考えられます。しかも、ハッチバックには6速MTも用意されています。チューニングのベースとして魅力があると思えます。
そしてHKSの「Power Editor」が可能にしたのは、FK7型シビックのブーストアップです。このパーツを圧力センサーとハーネスの間に割り込ませることで適切な値にブースト(過給圧)を高め、パワーアップを果たすのです。もちろん純正ECU(エンジンコントロールユニット、いわゆるコンピュータ)のプログラムに対応したブーストアップですから、3万7800円のパーツを買えば、ほかに何も必要ないというのも魅力的。ダウンサイジングターボの余力を、うまく利用したリーズナブルなチューニングの提案です。
さらに、この「Power Editor」は、Windowsパソコン(Win 7~10)に無料ソフトをインストールすることで、ユーザーの好みにブースト制御を調整できるというのも注目点。ポン付けだけでなく、自分なりのセットアップも楽しめるツールというわけなのです。
新型シビックというとFF世界最速のタイプRに注目しがちですが、ハッチバックもチューニングを楽しむパートナーとして高いポテンシャルを持っているのかもしれません。
(山本晋也)
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Source: clicccar.comクリッカー