ゴールデンウィーク終盤の5月3~4日に富士スピードウェイで開催された、SUPER GT 第2戦「2018 AUTOBACS SUPER GT Round 2 FUJI GT 500km RACE」。4日は約5万5千人の来場者が見守る中、決勝レースが行われました。
前日の3日、濃い霧でスケジュールが変更され予選がアタック1回となったことがウソのような晴れ渡る快晴となった決勝レース。暫定で予選12位、上位にペナルティがあったためにひとつ繰上げとなった11番グリッドからスタートしたHONDA NSX GT3「Modulo KENWOOD NSX GT3」。
グリッドには総合格闘家の小川直也さんも激励にくるというサプライズもあって、チームの雰囲気も上がり調子!
前戦の岡山では惜しくもリタイアを喫してしまったModulo KENWOOD NSX GT3ですが、ここ富士ではいい意味で和やかな空気が流れています。
スタートドライバーはルーキーの大津弘樹選手。この富士の直前4月29日に開催されたピレリスーパー耐久2018第2戦SUGO3時間レースで、2連勝を飾るという強さを持っている大津選手、SUPER GTで2番目に長い500kmという距離を2スティント走るという大役を背負います。
最高のスタートを見せた大津選手はオープニングラップから猛プッシュで前へ前へと走り出します。そして6周目にはなんと6位までポジションアップ! それこそ大ベテランに後塵を浴びせながら一気に5台抜き。ルーキーとは思えないその走りにパドックやチームのホスピタリーブースでは大歓声が上がります。
大津選手は、そのまま1分38秒台中盤のタイムをキープしながら上位陣に食らいつき、6位の順位を守りながら周回を重ねていくのです。
36周目に最初のピットイン。ここはすばやくピットアウトしたいところでありますが、なんと左リアタイヤの着脱に手間取るというトラブルが発生! ピット作業時間がかなり長くなってしまい、せっかく積み上げた順位を大きく落とすことになってしまいます。
ピットアウトした道上龍選手は左リアタイヤを気にしながらの走行となりますが、39周目にはトラブルなしと判断しレーシングスピードにマシンを上げていきます。しかし、そのスピードは本来のものではないような印象。
その秘密は次のピットで明らかになります。なんとリアタイヤのみの2本交換でピット時間を短縮したのです。
燃費に若干の難があるHONDA NSX GT3。給油には思いのほか時間がかかるという悩みを抱えているのですが、その給油時間をカバーするためとリアタイヤのみの2本交換として作業時間そのものを短縮するために、道上選手は極端にタイムを落とさないようにしながらも燃費走行とフロントタイヤをいたわる走りの両立を果たしていたのです。まさに職人技!
その甲斐あって、一時は19位まで落ち込んだ順位を8位にまで上げることに成功!最終的に8位でチェッカーフラッグを受け、ドライバーズポイントで3点、チームポイントで6点と、Modulo KENWOOD NSX GT3は2戦目にしてポイントを獲得したのです。
レース後に道上竜選手にお話をうかがうことが出来ました。
今回のレースはいかがだったでしょうか?
「僕自身は久しぶりの富士のレースを走って完走できたのは、まぁよかったですね。NSX GT3は全開で走ると他のGT300に比べてちょっと燃費が悪いので、給油時間などを考えると僕のスティントで燃費走行を意識しなくてはいけなかったですね。また、2回目のピットではリア2輪交換というプランでしたので、フロントタイヤを減らさないように、燃費を意識しながら走るという難しいことをしていました」
大津弘樹選手にもお話をうかがっています。
「スタートドライバーというよりもSUPER GTの決勝レースが初めてなので、スタートはかなり緊張していました。道上さんから周りについていけばいいよといわれていたので気が楽にはなっていたのですが、中段の順位はクラッシュも多いというのはどのレースでも同じなのでスタートしてからは最初から前へ出て行こうと思っていました。その時は特にタイヤとかも意識していなかったですが(笑)。その他はやはり燃費を意識してアクセルを早めに戻すとか、フロントタイヤをこじらないとかは意識していました。」
道上選手からみて大津選手はどうでしょう?
「スタートから速くて、ポジションも6位まで上げてくれたんですごくいい走りをしてくれたし、最後のスティントも前にランボルギーニがいたので、あれも抜いてほしいな、と思っていたら見事にヘアピンで抜いてくれたし、本当にいい走りをしてくれています」
最後に道上選手に、次戦鈴鹿の意気込みをうかがいました。
「先日の鈴鹿のテストではあまりいい結果を残せてはいませんが、今回のデータからかなり詰めていけると思っています。今回も大津(選手)が6位まで上げてくれて速さも見せることが出来たし、大津(選手)も僕も鈴鹿がホームコースなのでいい結果が残せるようにします」
次戦の鈴鹿は昨年までの1000kmとは違って300kmというレースフォーマット。スプリント的な要素もあるというレースでModulo KENWOOD NSX GT3はどんな走りを見せてくれるのでしょうか?次戦もModulo KENWOOD NSX GT3から目が離せません。
(写真:吉見幸夫、松永和浩 文:松永和浩)
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Source: clicccar.comクリッカー