1983年東京モーターショーにて試作車が発表され、1984年6月に発売された国産初のミッドシップカー「MR2」。
OPTIONでもHOTマシンとして、シグマオートモーティブと手を組み連載チューニングをスタートさせました。さて、OPTスーパーMR2の谷田部初試走はどうだったのか? テストドライブをしたDai稲田の興奮インプレを見てみましょう。
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OPTスーパーMR2への挑戦 第1次試作車発進!
4A-Gチューン最速の236km/h!
ぶっちぎりの速さでバンクを駆けた TEST in 谷田部 by Dai稲田
テストのため愛知のシグマオートモーティブより谷田部のコースに姿を現したOPTスーパーMR2。素晴らしい仕上がりだ。ノーマルでも低く精悍なミッドシップシェイプがさらに研ぎ澄まされ、まるでレーシングカーのムードに満ちている。
コクピットを覗くと、さらに気分が高揚するのを禁じ得ない。軽量化され、ロールケージに包まれた室内は、WRCラリーでワークスカーが使用するレカロのカーボンシートが付き、インパネやシフトまわりには各種計器類が収まる。
まさにメーカーの実験車と比べても見劣りしない。いや、仕上げの美しさでは超えている。ドライバー冥利に尽きるというものだ。シグマのやる気がビシビシ感じられる。
「ガスの調整はこのツマミ、オイルクーラーはこのスイッチで…」。時実さんからレクチャーを受けて、エンジン始動! ボルトオンターボの4A-Gがリヤでうなる。が、マフラー付きだしターボなので、210psにチューンされているとはいえ静かだ。
ローギヤ発進もスムーズにいく。スペシャルの高めのファイナルギヤと聞いていたから、このスタートには驚いた。高回転型4A-Gチューンにしてはかなり中低速トルクが太っている証拠だ。「期待できる!」と思った。
2速、3速と7500rpmまで引っ張って、4速7000rpm。5000rpmあたりでレース用ウエイストゲートのジュバーと開く音が快感だ。5速にシフトアップして、さらにアクセルを全開にする。ブーストは0.9kg/cm2を指す。水温、油温は80度以下。排気温度計も800度を超えない。
しかし、エンジン回転計がわずか5200rpmで頭打ちになる。おかしい。ピットインだ。これでも210km/hオーバーなのだから凄いが、もっと回るはずだ。「ダメです。マフラーがいかれて詰まってしまった。オープンにしますからもう一度走ってください」。
再挑戦だ。排気音はさすがに大きい。しかし、加速とスピードの乗りはけた違いに速い。ブーストも1.2kg/cm2まで跳ね上がった。4速7000rpmで5速へアップ。5000、5500、6000rpmとタコメーターの針が上昇した時だ!
その瞬間からOPTスーパーMR2は左右にヨーイングを始めた。ちょうどバンク進入時だった。微妙にアクセルペダルを戻しながら、なんとかマシンの直進性を取り戻す。しかし6000rpmではコントロールが難しい。
この原因は直感的に分かった。空力プラス、足まわりのトー変化やキャンバーなどのアライメントだ。サスペンション関係は強化と車高ダウンだけでアライメントまで調整する時間が無かったからだ。マッドハウス特製のフロントは十分効いて、ノーマルのリヤのほうがややダウンフォース不足のような気がしたほどだ。
結果的にはストレートで5800rpmくらいが安全に走れる限界だった。それでもステアリング修正が必要だ。
第1次テスト、236.84km/h。しかし、この記録は素晴らしい。4A-Gチューンでは最速の座だ。アライメントさえ決まれば楽に6500rpm近くまで回る感触があった。
「スピードも目標以上だし、それよりうれしいのは耐久性です。MR2の弱点と思われる熱対策が完全だったことが証明された。次回がさらに期待できる」。時実さんのこの言葉が、第1次高速テストの大成功ぶりを物語る。いや~良かった良かった。
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初谷田部でこの時の4A-G最速を記録したOPTスーパーMR2。Daiちゃんもクソ度胸で踏んだようです! 次回その4では、OPTスーパーMR2のメカニズムを見ましょう。
[OPTION 1984年10月号より]
(Play Back The OPTION by 永光やすの)
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Source: clicccar.comクリッカー