80〜90年代の日本車からグッドデザインを振り返るシリーズ。第20回は「ニュー・ドライバーズ・ベイシック」を掲げ、ライバルより少し格上を目指したジャストサイズのセダンとワゴンに太鼓判です。
8年間続いたレオーネの後継車構想が、いつの間にか格上げされてレガシィに。空白となった1500〜1600ccクラスに対してSVXなど新生スバルの流れに乗って、ネーミングも新たに登場したのが初代のインプレッサです。
水鳥が飛ぶシルエット「フローイングライン」をコンセプトにしたボディは、セダン、ワゴンともリアにボリューム感を持たせたもの。リアの3次元ガラスや、ノッチの付いたワゴンボディが機能と個性を表現します。
レガシィ同様、骨太感をテーマとしたブリスター表現は、剛性感のあるドア断面を作り、面に圧倒的な「厚み」を与えました。同時に、ボディ全体の角Rを強く取り女性ユーザーも意識しています。
一方、前後ガラスを1枚に見せるサイドウインドウは、伝統のサッシュレスドアを生かす手法。さらに、スポーツワゴンでは白鳥の羽のように美しいカーブを描くリアピラーがエレガントさを演出します。
インテリアも骨太感がテーマ。インパネ、シートとも一体成形を多用することで連続感を持たせ、高い機能性も感じさせます。
デザインチームはカタマリ感を重視して、ボディをフォルムで語りたいとしました。この姿勢と、ハードトップ・ショートワゴンという軽快な要素との融合が、独自の世界観を生み出したようです。
カローラやサニーの上、コロナ、ブルーバードより下という絶妙のポジションは、単に販売的なリサーチから生まれたのではなく、造形の本質をおさえたデザインの力でもあるのです。
●主要諸元 スバル インプレッサ ハードトップセダン 1.8HX Edition-s(5MT)
形式 E-GC6
全長4350mm×全幅1690mm×全高1450mm
車両重量 1160kg
ホイールベース 2520mm
エンジン 1820cc 水平対向4気筒SOHC16バルブ
出力 115ps/6000rpm 15.7kg-m/4500rpm
(すぎもと たかよし)
〈グッドデザイン太鼓判!〉
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