80〜90年代の日本車からグッドデザインを振り返るシリーズ。第24回は、空力を中心に80年代のあるべきデザインを模索したミドルセダン/クーペに太鼓判です。
FF2BOXブームがミドルサイズに波及、カムリ・ビスタ、スタンザなどライバルメーカーがFFの新型車を投入した80年代初頭。アランドロンを起用し、ファミリアに次いでヨーロッパイメージで登場したのが4代目のカペラです。
80年代を迎え、徹底的に空力特性を追求したボディは、セダン/クーペとも明快なウエッジシェイプ。揚力を抑えたハイテール、空気の流れを乱さない独自のホイールアーチが目を惹きます。
シャープなピンストライプと、前後バンパーを結ぶ太いモールがアクセントのサイドボディは極めてクリーン。ピラー部分に70年代の表現を残すものの、大きなキャビンはバランスよくボディに収まります。
絞り込んだフロントには、ヒット作5代目ファミリアに準じるシンプルな横桟グリル。横長ランプとの組み合わせがヨーロピアンな表情を作る一方、リアは大型のコンビランプと黒のガーニッシュが80年代を先取りします。
空力を意識した上級版のアルミホイールは、当時同社と関係の深かったベルトーネがカペラ専用にデザインしたもの。また、インテリアはセダンとクーペでメーターパネルを作り分けた意欲作です。
デザインチームは、のちにデザイン本部長としてユーノスブランドのロードスターや500を指揮した福田成徳氏を中心に、80年代のあるべきスタイルを模索したといいます。
生産技術との兼ね合いから妥協を強いられた部分があったものの、欧州で大ヒットとなったこのカペラからは、90年代の「ときめきのデザイン」を予感させるポテンシャルが垣間見られるのです。
●主要諸元 マツダ カペラ 4ドアセダン 2000GT-X(5MT)
形式 E-GCEP
全長4515mm×全幅1690mm×全高1410mm
車両重量 1035kg
ホイールベース 2510mm
エンジン 1998cc 直列4気筒OHC
出力 120ps/5500rpm 17.0kg-m/3000rpm
(すぎもと たかよし)
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Source: clicccar.comクリッカー