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1986年、目指せゼロヨン10秒の壁突破! 「オートセレクトS30Z」さすがの実力11秒台!その2【OPTION 1986年1月号より】

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今から遡ること32年前の1986年当時。ゼロヨンタイムの目標は10秒台でした。スペシャルな専用DRAGマシンでも、それが目標タイム。なんとも時代を感じるお話ですね。

前回その1では、この日のトップタイム10秒52をマークした「タカハシレーシング・コルベット」を紹介しました。今回のその2では、BEST2に入った大阪「オートセレクト・S30Z」と、この日の谷田部模様などをいってみましょう!

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目次

オートセレクト・S30Z L型2750ccツインターボ
ストリート仕立てでコンスタントに11秒台はさすがの実力!

●神経使うのはやはりスタートですね
ドライバー:澤 誠二郎

エンジン組み上げたばかり、谷田部も初めてというわけで、始めのうちはガス、インジェクターのセッティングを進める感じでトライしてみたんですわ。谷田部は富士(FISCO)に比べて路面の食いつきがいいですね。

このクルマは元々ドラッグマシンじゃなくストリート用なんやけど、直進性はめっぽういいいんですね。カウンターあてるんだってチョン、チョンてな感じですね。スタートは8500rpmでクラッチミート、9000rpmでシフトアップします。スタート時はパワーかけすぎてもペケ。ストールしてもケペでやはり神経使いますわな。

11秒28のタイムはエンジンがバラついていた時のもんで、タイヤ径をもう少し大きく上げてやれば10秒台は確定!という感触ですわ。

●メカニズムチェック

谷田部ゼロヨンに初参加のオートセレクトは、L型+ツインターボエンジン搭載のS30Zでトライしてきた。エンジンはボア×ストロークが89.0×73.7mm。ボアはアップ、ストロークはL24クランクを使いショート化され高回転重視のチューン。総排気量は2750cc。

ピストンはマーレー製F2用鍛造。バランス取りされてFJ20コンロッドと組み合わされる。圧縮比は7.0と低めだ。ヘッド関係では燃焼室加工と320度の作用角をもつカムシャフト、IN46.5、EX38φのビッグバルブが組み込まれている。

タービンはKKK製K26タービンをツインで装着。インペラーハウジングはK27タービンより大きいものを使用し、エキゾーストハウジングは8番。吸気系はOER50φを使用。追加インジェクターは400cc/分を4本、220cc/分を1本と計5本で、ブースト圧0.7kg/cm2よりドライバーが手動でスイッチを入れるようになっている。

インタークーラーはHKS製S130用SPLタイプ、オイルクーラーは日産レース用とマツダロータリー用のコアを組み合わせて使用、。これらのチューンにより最高出力650ps! レブリミットは9000rpmを可能にしている。

激走軍団、かく戦えり!

気温19度、快晴、無風・・・願ってもない恵まれたコンディション。一直線に伸びた計測ストレート記録への期待が募る。過去最高はRE雨宮ドラッグ7の10秒498。その更新はもとより、9秒台突入も夢ではない! 各エントラントも9秒の声に燃えているのは明らかだ。

トライアルタイムは午前8時から12時までフルに4時間をキープ。その間、制限なしに心ゆくまで走り込みOKなのだ。キャブやタイヤのエア圧をはじめ、セッティングを詰めながら一発勝負のトーナメント戦とは違い、純粋な記録挑戦が可能というわけだ。

現在、日本のゼロヨン界の頂点を競うマシンと、話題&注目の意欲マシンがずらり勢揃い、コースは静かな緊張に包まれた。

まずは、コース&マシンの調子を見ての完熟走行か、との予想は見事に裏切られた。各車、小手調べとはいえ、120%前回なのだ。RSヤマモトのドラッグサニーは一発めでボン!とミッションが異音を発した。数トライを経ずして、ビルドサニーが、そしてJUN3.4L・Zが…。中盤、各車ピットストップが長い。JUNのメカニックはなんと、谷田部の街までトラックを飛ばしてドライブシャフトを購入。ファイナルの再トライに臨んだ。が、しかし…。

それにしても400mの壁は意外に厚かった。「ドラッグスリックがグリップしない。路面温度が低すぎるんじゃないか?」「とにかく、踏めば何速でもホイールスピン! アクセルが全開にできないゼ」、そんな声がエントラントからあがる。

過去、ゼロヨン10秒台をマークしているマシンは7台。が、10秒台に突入したのは歴代2位のタカハシタイヤ・コルベットのみ。他車はコンスタントに11秒台はマークするものの、そこから伸び悩んだのだ。

雨宮RX-7、ビルドサニー、サコRX-7、柿本Zはエンジン、あるいはメカトラブルに沈んだ。歴代4位のTBO・Zも直進安定性に悩みをみせる。エンジンをL型3Lツインターボから5.7L・V8に積み換えて記録を狙う期待のシグマ・カミナリZもマイナートラブルでピットストップが長い・・・。

レーシングカーベースのエンデューロRX-7は、最後はFRPのボディカウルを外してまでトライしたものの、どうしてもタイムが伸びない。そして4時間後…歴代ベスト7で自己記録を更新したのもタカハシタイヤ・コルベット、ただ1台に終わった。

とはいうものの、全11回トライを繰り返した「ストリート発展型」のオートセレクトZをはじめ、上位9車までがコンスタントに、あるいは余裕で11秒台をマークしているのだ。その実力のほどは十二分に実証されたといっていい。

さらに12秒台には、街乗り仕様のABR・Zや、ゼロヨンでは異色ユニット、トヨタ3T-G改2LターボのATS-BMスターレットらが名前を連ねた。最高速日本一、トラスト・ソアラの「タイヤまでまんま最高速仕様」のゼロヨンタイムもちょっと気になるはずだ。

ゼロヨン、そこは記録だけが、それもBEST記録のみがものをいう世界だ。が、オレたちにとって「マシンのチューニングとその実力」もしっかり知りたいところだ。そしてこのスペシャルチューンがストリートへいかにフィードバックされるか、その点も大いに楽しみたい!

0→100mはスタートダッシュ勝負!
→200mはシグナルGPレベル
→400mは終速180km/hオーバーの世界なのだ!

ゼロヨンマシンのシフトアップポイントはギヤ比のセッティングで当然、変わるが、オーソドックスな5速ミッションの場合、おおよそ次のようになる。

スタート後100mまでに1→2速、200mまでに2→3速のシフトチェンジがあり、それ以降、3速踏みっきりか3→4速シフトアップというわけだ。100m地点のタイムは速いのに200mで遅くなったなんてケースは、2→3速のシフトが……と予測すれば、当たらずとはいえ遠からずと考えていい。しかし、一線級のドライバーはさすがに上手いもんだね。

参考までにノーマルRX-7のゼロヨンデータも付け加えておいた。もちろんRX-7だってストリートでは抜群の速さなんだけど、こうやって比べると……ゼロヨンチューンドの際立った速さ(特に200→400m)はぶっ飛びものだ!

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やればやるほど奥の深いゼロヨン。今現在も大阪湾岸やタイムアタック、レースの世界でも実力を発揮するオートセレクトはさすがの実力でこの日の2番手タイムを記録しました。では以降、3位以下をどんどんと紹介していきます!

[OPTION 1986年1月号より]

(Play Back The OPTION by 永光やすの

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Source: clicccar.comクリッカー

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