最新SUVのCR-V・フォレスター・エクリプスクロスを一気に集めて比較する全3回企画の最終回。今回は内装チェック編です。
1台だけを見ていると「最近のクルマはどれも完成度高いなあ」なんて感心して違いに気づきにくいのですが、こうして同時に比べると実は各車、けっこうな個性があることに気づきます。
たとえば似たようなサイズを持つCR-Vとフォレスターですが、CR-Vは直球勝負の広さにこだわり、フォレスターは荷室の細かな使い勝手を追求したという印象の違いがありました。
エクリプスクロスはこれら2車よりも小さなボディ寸法の中で空間が効率よく使えるようにリヤシート調整機構に工夫を凝らしていました。
テストするのはライターのウナ丼、スバルマニア・ライターでSUBARUモータースポーツ応援プロジェクト・マネージャーも務める「いもっち」こと井元貴幸、スーパー耐久レーサー兼メカニックの「まっつん」こと松本和之の3名です。
まず最初はフォレスターの前後シート周りの快適性をチェックします。今回用意したグレードは「アドバンス」で309万9600円。サイズは全長×全幅×全高:4625×1815×1715mmです。
フロントシートには身長178cmの井元いもっちが座りました。その状態で後席シートには松本まっつんが座ります。
松本「後席の足元はとても広いです。リヤシートにスライド機構はありませんが、それが不要なスペースが備わっています」
続いてエクリプス クロスに乗車します。グレードは「Gプラスパッケージ・4WD」で価格は309万5280円。全長×全幅×全高は4405×1805×1685mmとなります。
松本「足元の広さは他の2車ほどではありませんがヒザ前にこぶしが2つほど入りますし、つま先はシート下に挿入することができるので、十二分の広さを持っています」
後席にはスライド機構を持っています。スライド量は220mmとたっぷり。座ったまま前に移動させるとヒザが前席に当たってしまって最前端には移動できないぐらい、大きな幅があります。
またリクライニング機構もついていて、リクライニング角度調整範囲は前後に各4段、合計8度可変します。
松本「レースやイベントなどでの移動時に多人数乗車で移動することがあります。そんなときでもエクリプス クロスなら後席を少し前にスライドさせて荷室を拡大すれば、乗員全員分の荷物もしっかり乗せて移動することができて便利です」
松本まっつんが言うように常時多人数乗車が前提でなければ、このように小型サイズのエクリプス クロスでもアリですね。
井元「フロントシートの着座感覚は他の2車と違う印象です。とりわけCR-Vでは運転席はかなりゆったりとした空間が広がりますが、エクリプス クロスは全体にタイト。SUVというより、従来型乗用車のポジション感覚です。オーセンティックなポジションを求める人には最適だと思います」
続いてCR-Vに乗ります。グレードは「EX・マスターピース 5人乗り」で価格は359万1000円。全長4605mm、全幅1855mm、全高は1680mmです。
松本「後席はかなり広いです。先ほど座ったフォレスターと同じかそれ以上の空間的余裕を感じます。リアのスライド機構やリクライニング機構はありませんがその必要を感じないほどの広さです」
なお7人乗り仕様車の2列目シートは前後スライド機構があります。
続いて3人でラゲッジルームをチェックしていきます。まずはフォレスターから。
ウナ丼「けっこう広いですね。3台の中で一番広いくらいかも」
松本「同感です」
井元「しかもこれハイブリッドですからね。電池を積むクルマにしては広いと思います」
ウナ丼「バッテリーはどこにあるんですか」
井元「このラゲッジアンダー部分です。(と言いつつラゲッジフロアの板を開ける)なのでガソリンモデルに比べたらこのサブトランク部の容量が減っています」
松本「それでも十分な広さを持ってますよね」
ウナ丼「純粋に数値的な寸法もありそうですけれども、ラゲッジがスクエアに綺麗にデザイン・設計されている感じがします。視覚的にも広そうに見えますね」
井元「ええ。それに使い勝手を考えて色んな所に荷物固定用のフックが備わっていたりと、使い勝手も研究してますよ。たとえばラゲッジドア側から後席を簡単に倒せるよう、電磁式のシートバック倒し用スイッチが備わっていたりします(と言いつつスイッチを操作。パタンと素早く、簡単にシートバックが倒れる)」
松本&ウナ丼「これは簡単だ」
松本「スバルはワゴン作りの歴史が長いので、こういった細かな使い勝手にものすごくこだわってるんですよね。ほかにもバックドアを開けたところにはフックがあるんですが、たとえば雨の日にここにハンガーをかけてカッパに着替えるということもできたりしますよ」
ジャーナリストというよりもディーラーマンのように次から次へとフォレスターの売り文句が出てくる井元いもっち。スバルマニアの異名は伊達じゃない。
続いてエクリプス クロスです。
ウナ丼「やっぱり車体が他の2台に比べて小さいぶん、ラゲッジも小さいですか(エクリプス クロスは2車に比べて全長が約20cm短い)」
松本「確かに絶対的な数値では小さいのですが、このサイズのハッチバック車としては標準的で十分な広さを持っていると思いますよ」
ウナ丼「後席はどうやって畳むんですかね」
井元「シートの肩にあるレバーを引いて倒す感じですね」
ウナ丼「フォレスターみたいにラゲッジ壁にスイッチがあるわけではないんですね」
松本「このクルマのラゲッジの長さから考えたらこの方式は妥当だと思いますよ。フォレスターだったらシート背面までは遠すぎて手が届きにくいですけれども、このクルマならちょっと手を伸ばせば届きますから」
最後にCR-Vをチェックします。
ウナ丼「このモデルは電動テールゲートを備えていていますが、手元にキーを持っていればジェスチャーでゲートを開けることができますよ」
と言ってバンパーの下に右足をかざす。すると自動で電動テールゲートが開いていく。
井元&松本「おー、すごい」
ちなみにフォレスターには電動ゲートはあるもののハンズフリーオープンは設定されていません。エクリプス クロスは電動ゲートの設定がないです。
松本「ラゲッジ、相当広いですね」
井元「7人乗りが設定されているくらいだから広いはずだよね。ここに3列目シートが入る仕様があるというわけだもんね」
続いてリヤシートを倒してみます。フォレスター同様にラゲッジフロアの脇に操作部がありますが、電磁スイッチではなく機械式のレバーとなります。パタンパタンと左右席を倒して広がったラゲッジを見てみます。
松本「シートバックが水平になって、全体のフラット感がすごいですね」
井元「確かに。フォレスターはじゃっかんシートバックが斜めになりますからね」
松本「これだけフラットなら長尺物であっても、奥までスッと入れることができそうですね」
というわけでチェックは以上で終了しました。
ボディサイズが似ているCR-Vとフォレスターは、前後シートやラゲッジにもほぼ同じぐらいの余裕がありました。また、これら2台よりも全長が短いけれど、リヤシートアレンジ機構を盛り込むことで室内を可変容量化しているのがエクリプス クロス。
直接比較するとキャラクターの違いが明確でした。
(写真・動画・文/ウナ丼)
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