米インディアンから、自社のフラットトラックレーサー・FTR750を再現したストリートスポーツが発表された。従来、ラインナップはクルーザーだけだった同社だが、このFTR1200は日欧のネイキッドなどとも競合しそうな本格的ロードスポーツ。その詳細を見ていこう。
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ワークスマシンのDNAを受け継ぐ
アメリカで最も人気のあるモータースポーツと言われるフラットトラックレース。そこで現在、最速のマシンがインディアンのワークスレーサー・FTR750だ。ハーレーXR750/XG750RやヤマハFZ-07(MT-07)、カワサキ・ニンジャ650といったライバルに対し、専用開発の53度水冷Vツインを武器に‘17/‘18年と全米選手権を連覇中。そのレプリカとして先のケルンショーで登場したのが、同社初のロードスポーツモデルとなるFTR1200だ。
エンジンは120hpを発揮する1203ccの水冷60度Vツイン・DOHC4バルブ。ベースとなっているのは自社のクルーザーモデル・スカウトの1133ccエンジンで、ボアを3mm拡大(99✕73.6mm→102✕73.6mm)することで+70ccを得た新開発ユニットだ。
そう聞くと「所詮クルーザーのエンジンだろ?」と思われるかもしれないが、94psを公称するスカウトはジャンルを超越した強烈な加速力が最大のウリ。そのエンジンの排気量をアップし、圧縮比を10.7→12.5へ大幅に高めて軽量クランクシャフトも採用するなどのチューニングが施されたFTR1200は、車重が約20kg軽い(標準グレードの装備重量は230kg)ことと併せてより強烈な加速を見せつけるハズだ。
また、電子制御式のスロットルはシングル→デュアル化されているが、このエアボックスを通常のタンク位置に配するため、燃料タンクはシート下に置かれているのも特徴。このレイアウトは低重心化とマスの集中にも寄与しているという。
ハイグレードな足と最先端の電子制御
フレームも新設計の鋼管トレリスフレームで、エンジンにもマウントを持つスイングアームもスチールパイプを組んだトラス構造とされる。リヤサスペンションは右サイド配置のリンクレス式モノショック。フロントには43mm径の倒立フォークを備え、ブレンボのモノブロックキャリパーをラジアルマウントする。
この足回りでFTR1200のキャラクターを決定付けるのは、前19インチ/後18インチの大径ホイールと、そこに装着されるタイヤだろう。前後サスペンションのトラベル量はロードスポーツとしてはやや長めの150mmで、多少のラフロードは厭わない、スクランブラー的な性格も持つと考えられる。さらに標準装備されるダンロップDT3-Rラジアルタイヤは、フラットトラックレース専用タイヤ・DT3をモチーフにダンロップと共同開発されたFTR1200専用品なのだ。
標準グレードに加え、より高級な足回りや装備を持つ上級グレードの「S」では、フルアジャスタブルの前後ショック(リヤショックもピギーバッグ型となる)やタッチパネル式カラー液晶メーター(標準車は指針式)、車体姿勢センサー・IMUからの情報を基に制御を行うトラクション/ウイリーコントロールやコーナリングABSを備え、エンジンを3モードに切り替え可能なライディングモード、さらにABSのOFFスイッチも持つ。クルーズコントロールやLEDヘッドライトは両グレードに標準だ。
先述したフラットトラックレースでの大活躍に加え、ヨーロッパのカスタムシーンへの積極的な関与など、ハーレー・ダビッドソンとは異なるカルチャーも身に着けつつあるインディアンは、欧米でのブランドイメージも急上昇中だという。日本での知名度はこれからだが、高性能ネイキッドやそれを基とするネオクラシックなどと直接比較できるFTR1200の登場により、その注目度は間違いなく高まるはずだ。日本導入は来春以降と目されるが、予約受注はまもなくスタートし、価格も近日発表予定。詳細はインディアンのWEBサイトを参照してほしい。
https://www.indianmotorcycle.co.jp/
Source: WEBヤングマシン