中国のジーリー(浙江吉利控股、吉利汽車)とボルボが共同出資して誕生した新ブランド「Lynk & Co(リンク・アンド・コー)」。第3番目のモデルとなるセダンの「03」のグローバルローンチイベントが富士スピードウェイで開催されました。
なお、「01」はXC40をベースとしたミドルサイズSUV、「02」はクロスオーバーモデル、そして「03」は中国市場で売れ筋のセダンとなっています。
デザイン担当のアンドレアス・ニルソン氏は、2016年にシニア・バイスプレジデントに就任し、Lynk & Coの全モデルのデザインを取り仕切っているそう。経歴は、1999年からボルボでのキャリアをスタートさせ、初代XC90、XC60などのプロジェクトに参画。
05年にフォードのデザイン・マネージャーになり、「フォード・インターセプター・コンセプト」、「エクスプローラー・アメリカ・コンセプト」、リンカーンなどを担当。
2009年にボルボに再入社し、S90にインスピレーションを与えたという「ボルボ・コンセプト・ユニバース」のデザインをマネージメントした後、ボルボが採用しているタッチスクリーンへの移行のリード役も務めています。同氏によると、Lynk & Coの「03」は、(01と02モデルも含めて)東西のテイストを盛り込んだデザインが特徴だそう。
「03」を間近で見て、少し乗った限り、東(中国)、西(スウェーデン)の融合というのは何となく伝わってきました。
個人的には、フロントマスクは欧州的で、インパネデザインも欧州テイストが漂っていて、リヤビューは全体的に中国的。内装などのディテールはスウェーデンというよりも中国的なムードも漂っているように思えました。
富士スピードウェイの本コースを1周走らせる機会が得られた「03」は、XC40と同じくボルボの「CMA(コンパクト・モジュラー・アーキテクチャ)」をベースに、「Drive-E」と呼ばれるボルボ製ガソリンエンジンを搭載し、7速DCT(デュアルクラッチトランスミッション)との組み合わせ。駆動方式はFFで、オプションで4WDを設定するそう。
1.5Lの直列3気筒ターボにより、最高出力は180ps、最大トルクは265Nmを発揮。なお、ボルボではXC40に直列3気筒エンジンを追加するとアナウンス済みで、「Drive-E」は当初の4気筒だけでなく、3気筒もそのラインナップに加わることになります。
また、「03」はガソリンエンジンのみですが、プラグインハイブリッドが加わる予定。なお、コンパクトクロスオーバーモデルである「02」はハイブリッド、プラグインハイブリッド化されているとのこと。
つまり、ボルボもLynk & Coも3気筒エンジン、ハイブリッド(プラグインハイブリッドも含む)というシリンダーレス化、電動化で燃費、排ガス規制をクリアしていく腹づもりといえそう。
3気筒エンジンというと、音・振動面で4気筒よりも不利になるのは間違いなく、ボルボが「Drive-E」にいままで3気筒を用意してこなかったのは、こうした課題からだと推測されます。
しかし、アイドリング時から発進時、中速域くらいまでの領域では、音・振動面でのネガはほとんど抱かせず、言われなければ3気筒とは分からなかったかもしれません。
DCTのスムーズな変速も美点で、パワーフィールは3気筒と聞いてから乗ったため、思いのほか上質。エコモードでもパワー不足はあまり感じさせず、おそらくスポーツモード(表示が中国語だったのでおそらく)に入れると、グイッと力強さが増します。
富士スピードウェイの本コースは路面状態がきわめて良好ですので、乗り心地の判断はできないものの、縁石を踏んでみても足の動きは滑らかで、乗り味も上質なのは何となくうかがい知れます。サスペンションはフロントがマクファーソンストラット、リヤはマルチリンクで、タイヤはグッドイヤーのイーグルF1を装着していました。
発進時に少し飛び出し感があり、軽めのパワステ、そしてやや大きめのロールを感じさせるシーンもコーナリングや速度によってはあるものの、旋回性も予想以上に良好で、先述した「CMA」の完成度の高さがうかがえます。1周だけでしたので断言できませんが、走りからはやはりボルボ風味であることが伝わってきました。
日本への参入は検討中だそうですが、2020年代の前半には入ってくる可能性もありそう。中国資本でスウェーデン生まれといえるLynk & Co。日本でも注目度が高まるかもしれません。
(文/写真 塚田勝弘)
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https://clicccar.com/2018/10/21/641924/
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Source: clicccar.comクリッカー