2018年7月、電気自動車のリーフにNISMO仕様が登場しました。スポーティなロー&ワイドのエアロパーツ、18インチの大径ホイール、内外装に入るレッドのアクセントラインが『NISMO』だということを、私たちに訴えかけてきます。
リーフNISMOは税込403万2,720円、ベースになるリーフ X(税込351万3,240円)に対しては約50万円高いという価格設定。はたして、それだけの価値があるのか、今回、前編後編の2回に分け、元某メーカーのシャシーエンジニアの端くれだった筆者が、「一切の忖度をせず」にレビューしていきます。
ノーマルのリーフからの大まかな変更点は、エクステリア、インテリア、足まわり、ECUのチューニングです。
高速走行時の安定性向上を狙い、ダウンフォースの増大を狙った専用の前後バンパーを装着。インテリアは、アルカンターラ巻の3本スポークステアリング、小さくニスモのロゴが入ったメーター、ガンメタ色になったシフトスイッチ、助手席のインパネ表皮にカーボン調、ところどころにレッドの縁取りが施されています。シートは、形状こそノーマルのリーフと変わりませんが、赤とグレーのステッチが追加されています。
さらに、NISMOらしい加速感を追求してコンピューター(VCM)を専用チューニングしています。ノーマルのリーフと同一の最高出力・最大トルクですが、Dレンジ/Bレンジともに、よりエキサイティングな走りを実感できるよう、加速度が強めにセッティングされています。
[リーフNISMOの良い点①]明確に出足が鋭くなる「Bレンジ」セッティング
加速の応答性は、ノーマルとリーフは比べられないほど、アクセル操作に応じて、鋭く、素早く反応をします。
特に「Bレンジ」では「良い意味でやりすぎ!」ともいえる加減速のレスポンスに変わります。コーナー進入時の減速感は、コントロールできる範囲内でかつてないほど「強烈」です。一度、リーフNISMOにお乗りになってこの「Bモード」を試していただければ、ガソリン車とは全く比較にならない加減速のレスポンスの良さに、あなたも驚くことだと思います。
もちろん、ノーマルのリーフと同様に、優れたDモードやECOモードもありますから、快適なロングドライブをすることも可能です。
[リーフNISMOの良い点②]高速走行時の高い安定感
リーフNISMOのカタログには「空気抵抗を悪化させず(Cd値はノーマルと同じ0.28)にネガティブリフト(車両を路面へと押し付ける力)を高めている」という記載があります。
確かに、ノーマルのリーフで高速走行時に感じた、跳ね上げられる様な動きが若干減っているようにも感じますが、ノーマルに対して、フロント25%、リア33%も減衰力を増やしたショックアブソーバー特性の恩恵かも、と筆者は感じました。
「少し足が硬いかな?」と感じさせる程度の締め上げでしたので、高速道路上で多少の横風が入るシーンでも不安はなく、走行することができました。
[リーフNISMOのあと一歩①]ドタドタするばね下の振動とロードノイズ
専用の18インチアルミホイールは17インチ並みの重量に軽量化し、コンチネンタルタイヤの性能と併さることで、操舵に対する応答と、どっしりとしたスタビリティを高い次元で両立。その結果、ライントレース性はぐっと高くなっています。
しかし、大径・低扁平率の高グリップのタイヤでは、ある程度仕方のないことではありますが、静粛性がスポイルされているように感じます。
ホイール質量はノーマルのリーフと変えていないようですので、「ばね下がバタつく」といった現象はないはずですが(※タイヤの体積は変わっているのでその分の増減はありうる)、不整路や路面の継ぎ目を通過した時に、「ドタドタ」という音がより聞こえるように感じました。
ロードノイズも同じく、耳に入ります。圧倒的に静かなノーマルのリーフと比べるから余計に目立つのでしょう。NISMO仕様とはいえ、お客様は一般道使用がメインの使い方でしょうから、静粛性をノーマルのリーフ並を達成する努力がなされていれば、印象は全く変わってくると感じます。
試乗を続けていくと、さらなる「課題」も見えてきました。(後編に続く)
(文/写真:吉川賢一)
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Source: clicccar.comクリッカー