2018年7月16日、ツインリンクもてぎの南コースでホンダコレクションホール開館20周年記念イベントが開催された。いつもの動態確認テストはレーサーなどが多かったが、今回は20周年記念ということで市販製品特別走行が実施され、ホンダの黎明期から現在までのエポックメイキングなモデルが走行を披露した。次回は9月24日に実施される。
コピーは「トップで70km/h以下では走れません」
1959年は、初めてCBの名を冠したベンリイCB92スーパースポーツが発売され、第2回全日本モーターサイクル・クラブマンレース(浅間高原)の125㏄クラスで優勝。さらに250㏄クラスでは、50台限定で販売されたCR71も優勝している。この年は、ホンダ初の並列4気筒DOHC250㏄のRC160が浅間のレースで大活躍しており、マン島TT参戦も含め4ストロークエンジンの高回転・高出力化技術を蓄積したホンダが、レースで強さを発揮し始めた時代となる。
CR71のベースであるドリームC71は、1957年10月に発売されたホンダ初の2気筒エンジン車で、神社仏閣スタイルと言われる角張ったヘッドライトで人気を博したC70のモデルチェンジ版。従来の単気筒250㏄・ドリームME型から大幅なポテンシャルアップを果たしており、最高出力は14psから18psに、最高車速も100km/hから130km/hというスペックを実現した。これは海外でも通用すると言われたホンダのエポックモデルで、さらにレーサーであるCR71は1キャブ→2キャブとし、カムチェーン駆動をカムギアトレーン化するなどして18ps/7400rpm→24ps/8800rpmにチューンされている。
そして、CR71と同等のスペックを引っ提げて1960年11月に発売されたのが、ドリームCB72スーパースポーツとなる。CBの名を冠するモデルとしては2例目となる新たなスーパースポーツマシンは、そのネーミングに相応しい内容を与えれた。エンジンは、C72(C71の改良版)のSOHCをベースに24ps/9000rpmまでチューンナップ。C70~72は鋼板プレスフレームだったものをCR71と同様のパイプバックボーンタイプとし、軽量と高剛性を狙っている。これは、1959年に浅間のレースで優勝したCR71と同等以上のエンジンとフレームを装備した市販車と言えるもので、「トップで70km/h以下では走れません」のコピーに代表されるように、かなり過激なメッセージを掲げて登場すると、世界中で人気を博し、ホンダも欧米のメーカーから一目置かれるようになった。
※次回のホンダコレクションホール開館20周年記念 市販製品特別走行は9月24日に実施される。
取材協力:本田技研工業/ホンダモーターサイクルジャパン
Source: WEBヤングマシン