ヤマハを代表する人気シリーズのMT。ネイキッドの新基準を打ち立てたシリーズにライバルも新機種で対抗し、2018年はNK戦線が加熱している。今回は、YZF-R1をベースとするMT-10と同じくSS譲りの心臓を抱くCB1000Rを比較試乗だ。
上質vsスポーティ 同じ直4ながら好対照
’14年にデビューしたMT-09から始まる新生MTシリーズは、ライバルと一線を画す唯一無二のキャラクターを持ち、圧倒的な支持を得ている。中でもMT-10は、“最強スーパースポーツ”と名高いYZF-R1をベースとする、MTシリーズのフラッグシップだ。 乗車して、やはり際立つのは、直4クロスプレーンエンジンの個性だ。一般的な直4が180 度クランクシャフトを採用するのに対し、MT-10はR1を除いて唯一無二の位相90度クランクを備える。これは、モトGPマシン=YZR︲M1譲りのメカで、右手の動き対し、V4に似たリニアなトルクを発生するのが持ち味。だがMT-10は、R1とも異なり、実に表情豊かだ。
5000回転以下では、アクセルのレスポンスが穏やかで、ドロドロしたパルス感と、やわらかいエンジンフィーリングが味わい深い。それでいて振動がほぼ皆無で、疲れにくいのだ。 この特性は、街乗りと高速クルーズで存分に活きる。右手を開けても緊張感がなく、流してマッタリ走っ たり、交差点の右左折やUターンも楽々だ。
一方のCB1000Rは、同じ直4ながら伝統的な180度クランクを採用し、右手の動きにダイレクトに反応。パワーバンドが幅広く、MTより1速高くても十分加速できる。街乗りからスポーティな本性を体感可能だ。 対照的なエンジン特性だが、車体も大きく違う。MTは大柄で安定感があり、CBはコンパクトでキビキビと動く。ライポジに関しても上体が起きたMT、やや前傾のCBと好対照だ。
高速道路で印象的だったのが、6速100㎞/hからの反応。右手を捻るとモードを変えてもCBはドンッと加速するに対し、MTはスムーズに車速を上げていく。この疲れにくい挙動は、高速道路の巡航で大きな武器となる。そして、CBにはないクルーズコントロールもMTの大きなメリットだ。MTは意外やツアラーとしての実力が高く、街乗りもOK。まさにオールラウンダーだ。
Source: WEBヤングマシン