新型ジムニーでオフロードコースを走行してきました。
20年ぶりにフルモデルチェンジした新型は、元々持つオフロード走破能力に加えて電子制御走行補助システムを多く追加。誰でも安心してハードなオフロード走行が楽しめる仕様になっています。
まずはモーグルと呼ばれる小高い丘が連続して並んでいる地形で走ってみます。
最低地上高が低い車ではこのエリアに入ることもできませんが、ジムニーは当然ながら軽々と進入することができます。
ただ最低地上高が高ければいいというものでもありません。ジムニーでは左のタイヤがストロークしたら反対側の右タイヤが自動的にぐいっと地面に押さえつけられる、左右が連結されたリジッド方式のサスペンションを採用しています。
このため相当ハードなコブが連続する場面でも車両の底が着くことはなく進行することができます。
このように地面をしっかりと捉える足回りがあり、かつ低速トルクにあふれるエンジンとローギヤードの副変速機によって、ゆっくり・しっかりと走り抜けていきます。
今回試乗したのは5速マニュアルトランスミッション仕様ですが、走行中に神経質なクラッチ操作を強いられることはありませんでした。ドライバーはステアリングに神経を集中していれば難なく走行できます。
続いてドライバーから見たらほぼ断崖絶壁のような急激な斜面を降りてみます。
ただ下るだけなら簡単じゃないの?と思うかもしれませんが実はそうではないのです。
下り坂で車速を殺そうとしてブレーキをした際にロックし、そのまま滑ってしまう危険というのが大きいので、初心者にとっては難関なのです。
しかし新型ジムニーには坂を下る際に最適なエンジン出力制御とブレーキ制御を自動で行ってくれる、ヒルディセントコントロールが備わっています。
このため今回かなりの急坂にも関わらずギヤは2速に入れたままアクセルもブレーキペダルも踏まずに自動で降りてくれました。
続いて挑戦したのは登り坂の道にタイヤが不規則に埋め込んであるタイヤ山登りです。
この坂道では前後4輪がそれぞれ不意にグリップしたりスリップしたりを繰り返しますので、走り抜けるのは相当に難関なはずです。
しかしながら新型ジムニーにはブレーキLSDと言う電子制御機構が入っています。これは1輪ごとにタイヤの空転状況をチェックしていて、滑ったタイヤにはブレーキをかけ、それ以外のグリップしている駆動輪によって車両を前に進めていくといいもの。
このブレーキLSDのおかげで、信じられないほどスムーズにタイヤ山をクリアしていきます。
このときブレーキLSDの効きはとても自然なのでドライバーに緊張感はありません。
最後に試したのは上り坂の途中で一旦停止して再発進をするというものです。
マニュアルトランスミッション車はもちろんオートマチック車でも緊張が強いられるこの場面。一般的な舗装でも大変なのに今回は未舗装のダート路面です。
従来モデルであったらとても挑戦はしたくないと思った筆者(初心者)ですが、新型ジムニーにはヒルホールド機構が備わっていますので挑戦することに。これは坂道等でブレーキから足を離しても2秒間は車両停止状態をキープしてくれるというものです。
結果、この電子制御機構のおかげで全く問題なくジムニーは坂道の途中から再発進してくれたのでした。
今回のジムニーはハード面での良さは完全に受け継ぎつつ、ソフト面(電子制御機構)を加えることで従来のジムニーでは不可能だった領域まで走行することが可能になっています。
これら電子制御はグレードを問わず全車に標準装備といったあたり、スズキの強い意志と優しさを感じます。
(写真・動画・文/ウナ丼)
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Source: clicccar.comクリッカー