日産自動車と、イタリアのイタルデザインは、6月29日、両社が初めて共同開発したプロトタイプ車「Nissan GT-R50 by Italdesign」を公開しました。
ベース車は「Nissan GT-R NISMO」の2018年モデル。GT-Rとイタルデザイン(1968年創業)それぞれの50周年を記念するモデルで、来月欧州で車両が初公開されます。なお、イタルデザインは「イタルデザイン・ジウジアーロ」の自動車部門になります。
日産のグローバルデザインを担当する専務執行役員のアルフォンソ・アルバイサ氏は「何の制約もなくGT-Rをつくったらどうなるだろう」という出発点を披露しています。
イタルデザインといえば、デザインという仕事がまず浮かびますが、同プロトタイプの開発、設計、製造を担当。デザインは、ロンドンの日産デザインヨーロッパと、日産デザインアメリカが担当したそうです。
同コンセプトを見ていくと、「Nissan GT-R50 by Italdesign」のフロントに、ほぼ車両の幅いっぱいに広がる個性的なゴールドのインナーパネルを採用。ボンネット上にはパワーバルジが鎮座し、シャープなLEDヘッドライトがホイールアーチから冷却用のインテーク上端へ向け配されています。
また、ベース車より54mm低くしたルーフラインが目を惹くサイドビューでは、ルーフの中央部が低く外側が少し高いことで、筋肉質な印象を付加。フロントフェンダーの特徴的なエアアウトレットは、「サムライブレード」と呼ばれるもので、ドア下方部からショルダーラインまで配され、ゴールドカラーの嵌め込みが強調されています。
リヤビューは、リヤホイールまわりの頑丈で力強いフレアーが、このクルマのトレッドの広さを強くアピール。ショルダーラインは、リアウィンドウ下部に向かってテーパーが付けられていて、トランクリッドへと収束。リヤウィンドウラインはベース車より長く、深くなっているそう。
GT-Rの特徴である丸型テールライトは、空洞を囲む細いリングのようなデザインが与えられています。さらに、大きな可変式リヤウイングやフロント21×10インチ 、リヤ21×10.5インチの専用デザインホイールなどが存在感を強く強調。「リキッドキネティックグレイ」塗装仕上げのエクステリアカラーリングでは、50周年記念として「エナジェティックシグマゴールド」がアクセントになっています。
内装は、モダンで高性能な系譜を受け継ぎ、センターコンソール、インストパネル、ドアの内張りには2種類のカーボンファイバーを、シート素材には黒のアルカンターラと、同じく黒のイタリア製レザーが採用されています。外観にあわせて、インパネ、ドア、未来的なレーシングカーをイメージしたスイッチ類にもゴールドのアクセントが配置されています。専用ステアリングは、ハブとスポークがカーボンファイバー製で、リムはフラットボトムのデザインにマッチしたアルカンターラのトリムを採用。
コンセプトカーである「Nissan GT-R50 by Italdesign」は、「GT3」での経験を活かして手作業で組み立てられる3.8L V6 VR38DETTエンジンを搭載し、最高出力720ps、最大トルク780Nmを発生する見込みとしています。
さらに、GT3車両用の大容量・大口径のツインターボチャージャーと大型インタークーラーに加えて、高い耐久性を実現するクランクシャフト・ピストン・コネクティングロット・ベアリング、高流量ピストンオイルジェットと大容量燃料噴射装置を採用。カムシャフト、イグニションシステム、吸排気システムも改良しました。強化版のデュアルクラッチシーケンシャル6速リヤトランスアクセルと、より強化されたデファレンシャルとドライブシャフトを搭載。
「Bilstein DampTronic」が採用される新しいサスペンションシステムは、フロント6ピストン、リヤ4ピストンのブレンボ製ブレーキには赤いキャリパーを組み合わせ。タイヤは、ミシュランのパイロットスーパースポーツタイヤ(フロント255/35 R21、リヤ285/30 R21)で、エンジンの出力を最大限に生かすためのグリップを提供するとしています。
なお、このコンセプトカーが次期GT-Rを示唆するモデルなのか気になりますが、日産のアルフォンソ・アルバイサ氏は、「このモデルは次期型のGT-Rではありません。日産の技術力と日本のデザイン、そしてイタリアのコーチビルディングを結集して、両社の50周年を刺激的にクリエイティブな形で祝福したものなのです」とコメントしています。
(塚田勝弘)
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Source: clicccar.comクリッカー