ドイツの自動車メーカーZFが、ドイツ南部のフリードリヒスハーフェン市にある本社で記者会見を行い、「e.GO Moove」社の設立を発表しました。この会社は、ドイツのアーヘンにある電動モビリティのベンチャー企業「e.Go Mobile」社との合弁企業として設立され、2019年の第3四半期以降には都市部用の小型電動バス「e.GO Mover」の量産を開始する計画も合わせて公表されました。
ZFは、今後5年から7年のうちに、そうした都市部用の小型モビリティ(車両)の需要が100万台規模に成長すると見込んでおり、初年度の2019年でも「5桁(=1万台)」レベルの生産を予定しているそうです。
自律走行も可能な「e.GO Mover」にはZFの「ProAI」セントラルコンピュータが使用され、出力150kWの電気駆動システム、カメラやレーダーなどの周辺環境センサー、ステアリングおよびブレーキシステムと自動運転機能をサポートします。全長約5メートル、全幅およそ2メートル、車両重量が2トンという乗用車とほぼ同等のサイズながら、9名分の座席を備え15名までの乗車が可能です。すでにドイツ国内の72の自治体から問い合いわせを受けており、初期の段階ではそのうちの約20か所で実証実験を行う事も検討されているそうです。
e.GO Moove社の社長に就任したe.Go Mobile社の創設者兼CEOであるギュンター・シュー教授は今後、e.GO Moverのコンセプトを活用した新しい都市交通システムの提案も計画しています。「e2GO」と呼ぶ小型の個人用車両向けに、充電ステーションを兼ねた駐車施設を都市の幹線道路沿いに設け、都市中心部の道路と駐車場の混雑緩和につなげる構想についての説明がありました。
ドイツに端を発したいわゆる「ディーゼルゲート」事件以降、自動車業界では電動化の流れが加速しています。電気自動車をはじめ、ハイブリッド、プラグインハイブリッド、マイルドハイブリッドなど、様々な電気駆動システムを備えたクルマが各社から発表されています。
今回発表されたe.GO Moverは、電気自動車であると同時に特に混雑の激しい都市部における人とモノの移動を効率化するソリューションとして、環境対応と利便性を両立するモビリティの新しい提案と言えるでしょう。最初にヨーロッパと中国に投入される予定のe.GO Moverがどの程度人々の生活に貢献するか、興味は尽きません。
Toru ISHIKAWA
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Source: clicccar.comクリッカー