SHOWAの電子制御サスを採用したNinjaZX-10R SEの試乗会がスペインで開催された。イギリスのバイクメディアMOREBIKESが提供してくれたインプレッションをお届けしよう。
目次
【一般道】忍者のように路面から浮いていた
KECS(カワサキ エレクトロニック コントロール サスペンション)については、バンピーなワインディングでテストした。5~6マイルに渡って常に波打って凸凹のある道路を想像して欲しいが、SEはそこで忍者のように浮いていた。唯一、対応できていなかったのは上り坂の頂上でバイクが軽く不安定になったくらいだ。このような路面の粗い道路では多くの場合操作に不安を覚えるものだが、むしろSEにはほどんど影響がないことに感銘を覚えた。電子制御サスは破綻を来すことはなく、サスペンションのセットアップの模範となるだろう。だが、1秒間に1000回も電子制御が働いているにも関わらず、SEはスムーズなワインディングで向き変えに鋭さが見られなかった。ホイールも軽量なマルケジーニホイールを履いているが、安定志向な印象だ。
【サーキット】コースによってはマニュアルモードに
アルメリアサーキットでペースアップするまでに2回のセッションを費やした。問題になったのは、コーナー出口でのリヤの沈み込みだけだ。アルメリアサーキットには攻めるべきいくつかの高速コーナーがあり、早めにアクセルを開けたいところだ。しかしアクセルを開けてシート後方に座っている時に2つの問題を感じた。まず、リヤの沈み込みのためラインがふくらんでしまうので、何度もスロットルを操作してフロントに荷重を移さなければならなかった。次に、高速コーナーでアクセルを開ける瞬間にリヤショックが沈み切ってしまうため、出口で全開する時にそれ以上サスを動かすことができないのだ。
このスクワット問題についてカワサキのテストライダーであるジャニック・カウフマン(ジャン)に聞いてみると、彼が事前に走って用意したKECSのマニュアルセッティングを勧めてくれた。 KECSをマニュアルモードに設定しても、フロントフォークとリヤショックのセミアクティブ機能は停止しない。モードを「ロード」または「トラック」に設定するのと同様に、電子制御のパラメーターを好みで設定するだけだ。ロードモード、トラックモード、マニュアルモードを切り替えるのは簡単でモードボタンを押してから目印をスクロールする。さらにマニュアル設定を調整するには別の階層が追加されていてちょっと難しい。
ジャンのセッティングはフロントのコンプレッションがわずかに全体的に硬く、リヤのリバウンドが少し弱められていた。アクセルを早めに開けてもラインは膨らまずより安定し、高速コーナーがはっきりと簡単にクリアできようになった。ブレーキングと進入については、標準の設定でもよく機能していたと思う。
サーキットや一般道で自在なセッティング
カワサキは、ZX-10R SEで一般道とサーキットの完全な調和を実現しようと試みており、いい結果に結びついている。一般道では路面の凸凹を吸収してくれるし、サーキットでアクセルを全開にすればかなりのラップタイムが期待できる。
もし、あなたが最も先進的な電子制御サスを搭載したZX-10Rが欲しいのであれば、1万8949ポンド(約276万円)でSEが購入できる。それは、サーキットに特化したZX-10RRよりも2700ポンド(約40万円)高い代わりに、ドライバーなしでサス調整ができる。また、スタンダードのZX-10Rよりも4800ポンド(約70万円)高いが、(サスが吸収してくれることによって)凸凹のない路面で走ることができる。そう、先進のメカニズムは決して安くはないのだ。
ニュース提供:MOREBIKES(イギリス)
「SHOWA電サス付きのZX-10R SEがデビュー!」記事はこちらへ
Source: WEBヤングマシン