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【SUPER GT2018】予選Q2初進出からの決勝タイヤトラブル。それでも粘って完走へ持ち込んだ鈴鹿戦のNSX GT3

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5月19~20日に鈴鹿サーキットで開催された「2018 AUTOBACS SUPER GT Round3 SUZUKA GT 300km Fan Festival」。19日に行われた予選は瞬間風速16m以上という強風に見舞われたもののスケジュールをほぼ変更することなく予選が行われました。

この予選、Modulo KENWOOD NSX GT3は大津弘樹選手がQ1を担当し、見事にQ2へ進出。Modulo KENWOOD NSX GT3は岡山、富士と戦っての3戦目にして初めてQ2進出となります。富士戦では天候の影響で予選がQ1のみの一発勝負となり、タイムと順位はQ2進出相当ではありましたが、記録としてはこの鈴鹿戦が初のQ2進出となります。

Q1突破を目指した大津選手の履いているタイヤはミディアムハード。Q2を走る道上龍選手のタイヤはミディアム。

「300kmフォーマットのSUPER GT鈴鹿戦で使えるタイヤの本数は6セットなのですが、2週間しかインターバルが無いので気候的にも変化が少ないであろうということで富士で調子の良かったミディアムを多めに持ち込んだいました。しかし、実際にフリー走行で調子が良かったのはミディアムハードだったので、大津選手にはQ1ではミディアムハードで行くように言いました」と道上選手は語っています。

実際、大津選手は1分57秒367というタイムを予選開始早々にたたき出し、Q1を7位で突破!道上選手にQ2への切符を手渡します。しかし、持ち込んだセットが少ないミディアムハードはスタートタイヤで使う可能性があり温存したいところ。そこで道上選手のQ2はミディアムタイヤでのアタックとなります。

読んで字のごとくミディアムタイヤはミディアムハードよりも柔らかいのですが、柔らかいタイヤだからといってそれがタイムに好影響を与えるわけではありません。路面状況や温度によってバランスが大きく変わってきます。ベストマッチなミディアムハードではなくミディアムタイヤを使ったQ2ではQ1のタイムを上回ることが出来ません。1分57秒494のタイムで決勝は10番手からのスタートとなりました。

明けて20日の決勝。決勝レースに先立ってTV中継や場内モニターなどに映し出される各チームの選手紹介がピット前で行われます。その選手紹介の中継中に大津選手にチームからのサプライズ!カメラがModulo KENWOOD NSX GT3を映し出すと鄭永熏監督がバースデーケーキをたずさえて大津選手の前へ。そしてチームクルーが一斉にクラッカー!

ちょっと早いのですが5月25日が大津選手の24歳の誕生日ということで誕生日祝いが行われたのです。チームの雰囲気が非常にいい状態であることがわかります。

そんなサプライズを経てグリッドに並んだModulo KENWOOD NSX GT3。鈴鹿サーキットのシステム故障により40分ほど予定がずれ込んでしまったスケジュールですが、いざマシンがグリッドに並ぶとそんな遅延も吹き飛ぶ華やかさに包まれます。

そして当初予定から40分遅れの15時20分、三重県警の白バイやパトカーが先導するパレードランから始まった決勝レース。ポールポジションの96号車 K-tunes RC F GT3は勢いよくスタートを切っていきます。富士500kmレースでは絶妙なスタートを切って攻めまくったModulo KENWOOD NSX GT3ですが、ここ鈴鹿では緩やかなスタートとなり、むしろバトルを避けるかのような穏やかなレース運びを行っていきます。

順調にレースが進んでいくかのごとく思われた鈴鹿の300kmレースですが、GT500クラスの13周目にGT500クラスのマシンがクラッシュ!コース上にクルマを停めてしまいます。このアクシデントの処理ためにセイフティーカー(SC)が導入されます。

セオリーでいけばSC解除のタイミングでピットインをしてやればタイムロスを極力避けることが出来るのですが、いかんせんまだ13周目。SUPER GTには一人のドライバーがレース距離の3分の2を越えて運転してはいけないというルールがあるために、ここでピットインをしてももう一度ドライバー交代のためにピットインを余儀なくされるということで、全チームはピットインを避けてきます。Modulo KENWOOD NSX GT3もここでのピットインを避け、レースを続ける選択をしました。

SC解除となるタイミングのGT500での19周目。早めにピットインをするチームはこのタイミングでピットに入っていきます。しかしModulo KENWOOD NSX GT3がピットインしたのはGT300での28周目。

ライバルに比べて燃費の良くないといわれるNSX GT3では満タンで鈴鹿を200kmを走行することはできないといわれ、早めにピットインをして給油をしてしまうと最後の最後でガス欠の恐れがあるという予測の元に、確実な安全圏内まで粘りに粘ってのピットインを余儀なくされたのです。

4位まで順位を上げてのピットイン。ドライバーは道上選手から大津選手にスイッチ、給油が終わるとすぐさまピットロードから走り去って行きます。あれ?タイヤ交換は?そう、Modulo KENWOOD NSX GT3はタイヤ無交換で給油時間が長めになってしまうというロスを最小限にする、という作戦をとったのです。

序盤の道上選手の決して攻めたペースではないレース運びは、このタイヤ無交換作戦のためにタイヤをいたわりながらの走行をしていたためだったのです。タイヤもガソリンも充分に持ちこたえられるという読みから、ここからは大津選手が富士で見せたような攻めたレースが期待されます。

しかし、大津選手が飛び出してから2左リアタイヤに異変が発生し思うようなタイムが出ません。そして34周目に再びピットイン。リアタイヤを交換して再び戦列へと戻っていきます。

タイヤ無交換作戦は失敗だったのでしょうか?鄭永熏監督にお話をうかがうと「タイヤのトレッド面の中央からイン側が剥離して、中にあったワイヤーが解けながらリアサスペンションに巻きついていた」とのこと。原因はタイヤメーカーであるヨコハマタイヤと分析してみないとわからないとしながらも、「何かを踏んでしまったためにトラブルになったのではないか?」とのことでした。

剥離していない部分を見ればタイヤの磨耗は走行には充分なレベルにあったということで、無交換作戦自体は間違いではなかったようです。

2回のピットインを余儀なくされ、大きく順位を落としてしまったModulo KENWOOD NSX GT3ですが、チームはあきらめるということは無く、大津選手にとってはレース中の自己ベストも更新するなど、果敢に攻めの走りを見せていきます。そのおかげもあり、完走を果たした上でチームポイントも獲得できたのです。まさに粘り強さ!

決してあきらめない姿勢を明確に見せた今回の鈴鹿戦。大津選手は「タイヤ交換してからのペースは悪くなかったです。ライバルも抜けたのですが根本的なレースのペースは改善が必要です。燃料が軽くなった状態では感触がつかめたので、次は満タン状態で速さが出せるようにしたいですね。」と語ります。

そして道上選手は「やはり燃費が悪いということで作戦にも幅がとれないところは否めません。この燃費を考えながらレースのペースをどうやって上げていくかが今後の課題です」

ところで岡山戦から課題だといわれていたフロントのグリップ不足はどうだったのでしょうか? 道上選手は

「その部分は改善されています。岡山ではフロントグリップも無い、燃費も悪い、あっちもこっちも悪いというような感じでしたが実践を重ねた上で得たデータからセッティングを詰めて行って改善を果たしています。むしろ最後の課題が燃費にあるといってもいいとは思います。ただGT3規格ではシーズン中にエンジンの仕様を変えるということは出来ないので、走り方やピット作業の効率などで課題を埋めていくという方法になっていくと思います」

と語りました。

最後に残された燃費という課題。これが改善してしまえばもう上位陣との戦いに角を突き合わせることが出来るのでしょうか?今後の戦いに期待が膨らみます。

次戦は6月30日〜7月1日のタイ。南国らしい変わりやすい天候と晴れれば灼熱というタイの地でModulo KENWOOD NSX GT3はいかにして戦うのでしょう。直接観戦にいけない方も多いタイですが、7月1日にはホンダ青山本社ショールームでパブリックビューイングも予定されているとのこと。GT300もGT500も全てNSXというホンダ勢を応援するならパブリックビューイングも視野に入れてみてはいかがでしょう。

(写真:吉見幸夫 文:松永和浩)






















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Source: clicccar.comクリッカー

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