乗用車のエンジンをチェックする場合、運転席足元のレバーなどを引いてボンネットフードを開けますよね。では大型トラックではどうやってエンジンをチェックするかご存知ですか?
ハイエースなどのようにシートを跳ね上げて下を見る? いいえ。正解は運転席を含むキャビンを丸ごと持ち上げる、でした。何とも豪快ですが、確かにこの方法でないと10リッターを優に超える排気量のエンジンをチェックすることはできません。
ではどうやってキャビンを前倒すのか、紹介しましょう。題材として登場してもらうのはこのたび21年ぶりのフルモデルチェンジを受けたスカニアの新型・R450(セミトラクター)です。
まずはフロントの大型パネルをガバリと開けます。
次にキャビン操作用の有線リモコンをパネル内部に接続します。
続いて操作ボタンをポチッと押します。するとキャビン全体がまず垂直方向に数十cm移動した後、フロント前端を支点に前方へ倒れこんで行きます。
後は電動油圧回路がキャビンを全開位置まで移動させるのを待つのみです。
スカニアでは新型Rシリーズ(等)にこの電動オープン機構を採用しましたが、従来モデルは手動でジャッキを作動させる形だったそうです。ジャッキは油圧で作動しますので操作力自体は重くはないのですが、全開状態にするまでには約150回も上下にストロークさせなければいけなかったそう。
今回のモデルチェンジは大型トラックを操作する人にとって、大変朗報でしょう。
ちなみにスカニアでは、この運転/整備する人への配慮を施した設計を、随所に施しています。例えばインテリアはキャビン部寸法は前モデル同様ながら室内容積を大きくししました。
運転席も人間工学に基づいた操作しやすい環境としています。
日本の規格タイプ(全社共通)ものとは違う、スウェーデン製ならではの粋なデザインが特徴のテールライトにも気遣いはあります。
標準モデルではLEDとなるこのテールランプですが、通常の電球バルブ式も選択可能。なんでわざわざ電球選択式?と思う方もいるでしょう。道具であるトラックにおいては、万一損傷した場合の補修部品の安さというのも非常に大事な要素なのです。そこで交換部品が安い電球タイプを用意してるというわけなんですね。
(写真/小林和久・ウナ丼 動画&文/ウナ丼)
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Source: clicccar.comクリッカー