米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは6日、
トランプ米政権が輸入車の環境基準を厳格化する検討に入ったと報じた。
国産車の保護や米国への工場誘致などを図る狙いがあるとみられる。
実施されれば日本メーカーの収益を圧迫する恐れがあり、「販売計画や車種構成の見直しを迫られる」などと警戒する声が出ている。
同紙によると、トランプ大統領は環境保護局(EPA)や商務、運輸両省に検討を指示した。
米国では2015年、独フォルクスワーゲンがディーゼル車の排ガス規制を不正に免れていた問題が発覚。EPAはこれを理由に輸入車を対象とする環境検査強化が可能かを検討しているという。 実施されればコスト増で輸入車が値上がりする可能性が高く、事実上の非関税障壁になりうる。EPAのプルイット長官は今月2日、オバマ前政権が決めた自動車の燃費規制強化について「現実に適合しておらず、高すぎる基準」として、見直す方針を発表したばかり。国産車の規制を緩め、輸入車は厳格化すれば国内外で反発を招きかねず、検討には曲折が予想される。
日本自動車工業会によると、日本から米国への輸出は17年で173万台。
他地域向けも含めた輸出全体の約3分の1を占める。トヨタ自動車が米国で17年に販売した約240万台の半数が米国産で、残りを日本やメキシコなどから輸出した。 仮に輸入車の環境基準が厳格化されれば、日本メーカーの収益源になってきた米国で販売計画の見直しを迫られそうだ。米国に生産拠点がないマツダの関係者は「もし輸入車全体に規制がかかれば、何らかの対応は避けられない」と懸念する。 別の日本メーカー幹部は「米国メーカーが一時的に保護されても、中長期的には世界の競争から取り残される」と指摘。トランプ氏は日本市場の安全・環境基準が米国車の参入を妨げていると批判してきた経緯があり、「今回の検討を交渉材料にして、『米国車に対する規制を緩めろ』と日本政府に迫ってくるかもしれない」と警戒する関係者もいる。 毎日新聞
Source: 新車速報 Car Drive