3月22日成田空港より、B787-9に乗ったSUBARU WRX STI NBR CHALLENGEがニュルブルクリンクへ向け、フランクフルトへと旅立ちました。
パレットに頑丈に括り付けられたまま、貨物室へと積み込まれていく様子を、辰巳総監督とともに見送りました。
この日が選ばれた理由は、もちろん4月中旬のクオリファイ(QF)レースに間に合うという日程の中で、かつ貨物に余裕のある日が選ばれたと言います。なぜ余裕があるかというと、3月21日は休日であり、税関を通す必要のある海外向けの荷物は前日に通せないため、必然的に翌22日は減るのだとか。勝負の準備には何事も余裕を持って、という姿勢が伺い知れます。
当然、税関を出たところになりますので、厳重に管理された地区へ身分証を見せて入らなければなりません。
また、飛行機で車両を運ぶというのは非常に贅沢な話ですが、貨物専用機で送るのかと思えばそうではなく、上階は普通の客室がある旅客機なんだそうです。旅客機にクルマを積む余裕があるんだろいうのも驚きましたが、通常は機体の積載部分で客室は1/3程度。残りは乗客の荷物と貨物を搭載する部分なんだそうです。それなら全員分のスーツケースを積載してもまだ余裕があるはずですね。
それと、気になるのは飛行中の貨物室の環境。精密なレーシングマシンに気圧や気温が影響を与えるのでは?と不安に思い聞いてみました。
気圧については、貨物室も客室と同じく加圧されているそうで、通常の大気圧と同じ程度に保たれているとのこと。また気温についても、空調されており、客室同様とは言えなくとも、多少幅はあるものの凍ってしまうような温度にはならないようになっているそうです。安心しました。
運んでくれるB787-9が、整備地区から大きな音を立てているんでしょうけど、周囲の音にかき消され、イメージとしては静かに近付いて、目の前に停止しました。
係員が慣れた手つきで、しかし慎重に右サイドの貨物室ハッチを開きます。
いよいよ車両が近付いてきます。黒いヴェールでカバーされています。
中から、ニュルを戦うブルーの車体が現れました。
取材用の撮影を終えると、いよいよパレットごと貨物室へエレベーターで上がっていきます。
貨物室へはフロントから入り、左にターンしますが、ウイングの高さがギリギリだったようで非常に慎重に回転させています。聞くところによると、寸法上大丈夫だからそのままだったのに、ウイングは外してくれと言われれば外したんだけど、とのこと。
無事、回転を終え、車体は後方へと飲み込まれ、無事に搭載完了です。
この車両は、昨年9月に車両開発開始、12月下旬に車両完成し、12月末~3月中旬にかけ走行テストが行われてきたものです。2月22日に富士スピードウェイで行われたシェイクダウンの様子は以前にもお伝えしましたが、途中から雪になるなど本番さながらの(?)思わぬ出来事にも遭遇し、熟成を重ねられたようです。
来る、4月14、15日には、ニュルブルクリンクサーキットにて、QFレースがあります。これは、NBR24h耐久レースを前提とした6時間耐久レースで、このレースで上位に入った
マシンには、NBR24h本戦のトップ30クオリファイに進出できる権利が与えられます。
なお、このQFレースの日はGT鈴鹿のテストデーと被るため、井口選手、山内選手の両名は不参加となり、カルロ・ヴァンダム選手、ティム・シュリック選手での参戦となります。そうして、ニュルでのマシンの最終的なチェックやドライバーのコース馴れを進める機会ともなるわけです。
そして、4月20日のニュルテストデーでは、井口選手、山内選手の2名で慣熟を兼ねたテストに参加。ここで、テスト終了後には、エンジン、ミッションを24hレース本番に向けた新品に交換されます。
辰巳総監督は、その積み込みの様子を見つめながら「(ニュルで)待ってろよ」と語りました。
無事、B787-9は、成田空港の滑走路を元気に飛び立って行きました。
5月10~13日、いよいよNBR24h耐久レースとなります。
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Source: clicccar.comクリッカー