80~90年代の日本車からグッドデザインを振り返るシリーズ。第21回は、高い走行性能と未来的なボディが融合した、新世代ワンボックスカーに太鼓判です。
ワンボックスカーの「使う楽しさ」に加え、スポーティカーの「走る楽しさ」も両立させたい。1990年に「天才タマゴ」のキャッチコピーの元、革新的な機構とスタイルで登場したのが初代エスティマです。
「EGG ON A BOX」のテーマによるボディは、ドアガラスまでが3次元形状という全身カプセルシェイプ。Aピラーは開放的にブラックアウトさせる一方、リアピラーは力強く反らせることでタマゴの凝縮感を打ち出します。
ショルダーを1周する黒のラインは、強いアクセントとしてボディを引き締めると同時に、スライドドアのレールを巧妙に隠します。さらに、サイドの樹脂スカートは見る人の目線を下げ、低いボディを演出。
横長の前後ランプとグリルは非常にシンプルで、全身3次元の未来的なフォルムに量産車としての現実感を与えます。さらに、メインカラーのレッドマイカが、派手さを抑えたシックなイメージを醸成。
一方インテリアは、操作性などの機能と3次元ボディのイメージを融合したもの。インパネ、シートともシームレスな一体感を持ち、ダークグレーとのコントラストは先進感も構築。
エクステリアは北米スタジオのCALTYによる先行デザインを採用。その自由な発想とトヨタの国内拠点が持つ高度な技術力のコラボレーションが、類稀れなスタイルを実現しました。
特異な床下ミドシップレイアウトなど、開発者全員の目標が明確になることで新しい価値が生まれる。名車が生まれる環境はいつも一緒なのかもしれません。
●主要諸元 トヨタ エスティマ 2WD(4AT)
形式 E-TCR11W
全長4750mm×全幅1800mm×全高1780mm
車両重量 1730kg
ホイールベース 2860mm
エンジン 2438cc 直列4気筒DOHC16バルブ
出力 135ps/5000rpm 21.0kg-m/4000rpm
(すぎもと たかよし)
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