2018年F1第1戦オーストラリアGPがアルバートパーク・サーキット(5.303km、周回数58周)で開催されました。
2017年F1最終戦から約4カ月(長かった……)。待ちに待った、F1 2018年シーズンが開幕しました!
今シーズン最初のポールポジションを獲得したのは昨シーズンのチャンピオン、ルイス・ハミルトン(メルセデス)。2番手キミ・ライコネン(フェラーリ)、3番手セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)が続きました。
決勝日は雨の心配もありましたが、見事な晴天。オーストラリア特有の強い日差しがサーキットを照り付けます。
予選5番手だった地元のヒーロー、ダニエル・リカルド(レッドブル)は、金曜日に行われたFP2の赤旗時の走行ペースが規定より速すぎたため3グリッド降格。8番グリッドからスタートとなりました。これによりハースの2台が5番手、6番手にポジションアップ。これは面白くなりそうです。
多くのファンが見守る中、2018年シーズンがスタートしました! 大きな混乱はなかったものの、5番手スタートのケビン・マグヌッセン(ハース)が素晴らしいスタートを決め4位に浮上。首位ハミルトン、2位ライコネン、3位ベッテル、4位マグヌッセン、5位マックス・フェルスタッペン(レッドブル)となりました。
5周目、ルーキードライバーのセルゲイ・シトロキン(ウイリアムズ)がブレーキトラブルでリタイア。さらにその翌周、マーカス・エリクソン(アルファロメオザウバー)がギヤシフトとパワーステアリングを失ってピットイン。マシンはガレージに入れられ、リタイアとなってしまいました。開幕戦から波乱の展開になりそうな予感です。
5番手を走行中のフェルスタッペンはタイヤコンパウンドが違うとはいえ(フェルスタッペン:スーパーソフト、マグヌッセン:ウルトラソフト)、なかなかマグヌッセンを抜けません。すると10周目、フェルスタッペンがターン1でイン側の縁石に引っかけてしまい単独スピン。8位まで順位を落とします。フェルスタッペンの焦りを感じた瞬間でした。
14周目、今シーズンからトロロッソ・ホンダとなり日本のファンから多くの期待が寄せられているピエール・ガスリーが、リヤから白煙を上げてスローダウン。緊急ピットインをしましたが、そのままリタイアとなってしまいました。
そして上位勢で一番早く動いたのは、ライコネン。18周目にピットインし、ウルトラソフトタイヤからソフトタイヤに履き替えます。ライコネンの動きにハミルトンが反応し、翌周にピットイン。同じく、ウルトラソフトタイヤからソフトタイヤへ履き替えました。
22周目、タイヤ交換を終えたマグヌッセンに思いもよらぬトラブルが襲い掛かりました。なんと左リヤタイヤが締まる前にチームがコースへ送り出してしまい、タイヤがきちんと装着されていなかったのです。危険行為とみなされるため、マグヌッセンはマシンを止めざるを得ない状況に。さらに24周目、チームメイトのロマン・グロージャンも同じようにターン2出口でストップ。マシンから降り頭を抱える悔しそうな姿は、見ていられないほどでした。
ハースのチームクルーは一体どうしてしまったのでしょうか。2台とも素晴らしい走りを見せてくれていただけに、本当に残念です(涙)。
ハースのマシン処理のため、バーチャル・セーフティカーが導入。バーチャル・セーフティカー発動中は、制限されたラップタイムの範囲で周回しなければいけません。もちろん、オーバーテイクもNG。そんな中、上位勢で唯一タイヤ交換をしていなかったベッテルがピットイン。ウルトラソフトからソフトへ履き替えます。
そしてピットから出ると、驚きの光景が飛び込んで来ました。なんと首位のハミルトンより前、トップでコースに復帰したのです! 本来であれば、ベッテルがタイヤ交換をしている間にハミルトンが前に行き、ベッテルは3番手(もしくは2番手)でコースに戻るはずでした。しかしベッテルがピットインしたのはバーチャル・セーフティカー中。ハミルトンは制限されたラップタイムの範囲でしか走行できなかったので、ベッテルに首位を譲ることになってしまったのです。これにはびっくりしすぎて、開いた口がしばし塞がりませんでした。
バーチャル・セーフティカーからセーフティカーに変わり、32周目にレース再開。リスタート時に大きな混乱はなく、この時点での上位勢の順位は首位ベッテル、2番手ハミルトン、3番手ライコネン、4番手リカルド、5番手フェルナンド・アロンソ(マクラーレン)です。
42周目、ハミルトンがベッテルの1秒以内に入り、DRSを使用しながら近付いてきました。しかし、あまり攻めすぎるとタイヤが摩耗してしまいます。タイヤを最後までベストな状態で走らせるために、いかにタイヤに優しく攻められるか。ベッテルとハミルトンの心理戦に、見ているこちらがドキドキしてきました!
47周目、ハミルトンが「プッシュしていい? 僕は準備万端だよ!」とチームに訴えます。しかし気合いが入りすぎたのか、ターン9でオーバーラン。ベッテルと3秒弱離れてしまいました。
レースは順調に進み、ベッテルがトップでフィニッシュ! 48勝、100回目のポディウムとなりました。パルクフェルメでマシンを止め、ジャンプしながらチームスタッフの元へ駆け寄るベッテル。喜びを隠しきれません。一方、2位のハミルトンはマシンを止めたにもかかわらず、なかなかマシンから降りてきません。「完璧な走りをしたのに、なぜ勝てなかったんだ……?」と自問自答しているように見えました。
表彰式終了後のインタビューでポディウムに登場したのは、オーストラリア出身の元F1ドライバー、マーク・ウェバー。かつてはライバル同士だったベッテルとウェバーが笑顔で話しているのを見ると、感動するのは私だけ!? 見ているこちらも、自然と笑みがこぼれます。
見事な大逆転でシーズン最初の勝者となったベッテルは、
「今日はラッキーでした。たくさんのお客さんが来てくれて、本当に楽しいレースでした。ソフトタイヤに交換しなければいけないタイミングで、マシンが2台止まっていて……。セーフティカーが出る事を祈ってしまいました(笑)。バーチャル・セーフティカーが出た時は、アドレナリンがでましたね。まだクルマが目標とするところまで到達していないけれど、次の週末にむけて良いスタートがきれたと思います」
と興奮気味に話していました。
予選から素晴らしいパフォーマンスを見せてくれたハミルトンは、
「今日は良いラップだったけれど、セバスチャンのほうが素晴らしい仕事をしましたね。『おめでとう』と言いたいです。ペースはあったので近付いてプレッシャーをかけたんですけれども、抜くのが難しかったです。最後は次のレースに向けてエンジンをセーブしました」
とコメント。微笑んではいますが、悔しそうです。
セーフティカー終了後、リカルドを抑えきり3位表彰台を獲得したライコネンは
「ラップ、スピードはあったけれど運はベッテルにあったということですね。後半はポジションを守ることに専念しました。3位を受けれます」
と、今年もクールにコメントしました。
メルボルンで、運を完全に味方につけたベッテル。「レースは最後まで何が起こるか分からない」とよく言いますが、こんなことってあるんですね。シーズン開幕戦に相応しい、ドラマチックなレースだったのではないでしょうか。やっぱりF1って、最高におもしろい!
オーストラリアGPリザルトは以下の通りです(ポイント圏内のみ)。
順位/No./ドライバー/チーム
1/#5/セバスチャン・ベッテル/フェラーリ
2/#44/ルイス・ハミルトン/メルセデス
3/#7/キミ・ライコネン/フェラーリ
4/#3/ダニエル・リカルド/レッドブル
5/#14/フェルナンド・アロンソ/マクラーレン
6/#33/マックス・フェルスタッペン/レッドブル
7/#27/ニコ・ヒュルケンベルグ/ルノー
8/#77/バルテリ・ボッタス/メルセデス
9/#2/ストフェル・バンドーン/マクラーレン
10/#55/カルロス・サインツJr/ルノー
(yuri)
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Source: clicccar.comクリッカー