マツダCX-8は、余裕でカップ麺を食べられる3列目(詳細は記事後半)が特徴の大型SUVだ。
その外観を見て「CX-5に似てるな」と思った人も多いだろう。それ正解。実はボディ前端部分からフロントドアまでのパーツはCX-5と(グリル以外は)まんま同一。リヤドア以降がCX-8専用デザインとなっている。
「じゃあCX-5の延長版なのか!?」といえばちょっと違う。プラットフォームは2015年デビューの北米向け3列シートSUV・CX-9をベースに縮小したものなのである。
まとめると「全長5075mm・全幅1969mmのCX-9プラットフォームを短縮・幅狭化したプラットフォームに、CX-5のボディ前半部分をドッキング」させたということ。
CX-8の全長はCX-5より355mm長い4900mmで、全幅はCX-5と同じ1840mm。ホイールベースはCX-5より230mm長く、CX-9と同じ2700mmだ。
”延長”ではなくCX-9をショート化したもの(運動性能が高まる方向)なので操安性でのネガ感はなく、ボディの強さや走りはむしろCX-5と同等以上を確保している部分も多い。
たとえばねじり剛性は11%アップ、コーナーでの車両応答性(操舵に対する車両の反応具合)はCX-5と同レベルだという。実際に試乗してみても「巨体を操作している」といった印象はなく、これがCX-5ですよと言われれば納得できちゃうような機敏さだった。
心配なのは取り回しだが、一般的な市街地を走るレベルで特に問題は感じない。危惧していたバック駐車も360度ビューモニター(オプション装備)があるから問題なかった。
駆動方式はFFと4WDから選択可能で、搭載されるエンジンは4気筒2.2リットルディーゼル”スカイアクティブ-D2.2”のみ。CX-5にも設定されるこのエンジンは、CX-8搭載時にチューンアップされて15ps&3.1kgm増の出力(170ps・45.9kgm)となっている。これはCX-5よりおよそ190kgほど増えた車重を補うには十分な数値である。
さてCX-8最大の特徴である3列のシートを見ていこう。1列目はCX-5に近いもの。2列めはCX-5にない前後120mmのスライド機構を有してる。ちなみにここは独立2名がけのキャプテンシートと3人がけのベンチシートから選択可能だ(ちなみに室内長はCX-5の1910mmに対して2690mmと大きく伸びている)。
3列めのシートは全車50:50の分割可倒式で荷室を好きにアレンジできるもの。
その居住空間は身長173cmの記者が1&2列めを余裕をもってセットしたうえでも広いものだった。
ヘッドスペースが指2本ぶんほどしかなく、床面が高いことから膝位置が高くなってしまうことを除けば肩&座面周りも余裕たっぷり。試しにここでカップ麺を食べてみたが、箸を持つひじが張り出す横方向、麺を上下に動かす前方縦方向ともにまったく障害はなかった。
マツダはプレマシーやビアンテといった3列シートミニバンの次期モデル開発を行わないことを表明しており、そのユーザー層をCX-8で取り込みたい意向がある。乗る前は正直「SUVの3列シートで代替できるかなあ」と懐疑的だったが、実際に乗って食事までした今なら「中距離までならフル乗車でいけますよ」ときっぱり言える。
(文・写真/ウナ丼)
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Source: clicccar.comクリッカー