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10年以内に不足する? トヨタが開発した省ネオジム耐熱磁石は電動化拡大に向けての大きな布石

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クルマの電動化が世界的なトレンドです。電動化にはピュアEV(電気自動車)、FCV(燃料電池車)、そしてHEV(ハイブリッドカー)など電気モーターで駆動するすべてのクルマが含まれますが、いずれもモーターとバッテリーは必須アイテム。しかし、このままではモーターの重要部品である強力な磁石が足りなくなるという予測もあります。具体的には、駆動系に使われているモーターにはレアアースのひとつ『ネオジム(Nd)』を使った磁石が必須ですが、その生産量と電動車両の増加を考えると、2025年にはネオジムの供給量が不足する可能性が高いというのです。

2030年にはEV、FCV、HEVをあわせた電動車両を550万台以上販売しようというロードマップを掲げているトヨタとしては、電動車両に欠かせない駆動モーターを確保しなくてはなりません。つまり、不足すると予測されているネオジムの使用量を減らした磁石を開発するというモチベーションが出てきます。そうして、生み出されたのが、新たに発表された「省ネオジム耐熱磁石」です。

駆動モーターに使われている耐熱磁石から、いわゆるレアアース、レアメタルを低減するのは従来からのトレンドで、すでにレアメタルの「テルビウム(Tb)」、「ディスプロシウム(Dy)」の使用量を減らしても耐熱性を確保する手法は確立されています。トヨタが発表した省ネオジム耐熱磁石は、テルビウムやディスプロシウムの使用量をゼロとし、さらにネオジムの一部を「ランタン(La)」、「セリウム(Ce)」に置き換えることで、省ネオジムを実現しているのがポイントです。

ランタンやセリウムもレアアースですが、相場でいうとネオジムが100ドル/kgなのに対して、ランタンやセリウムは5~7ドル/kgと桁違いに安く、また供給量も豊富。そのため、モーターの生産量を増やすと同時に、コストダウンも期待できるというわけです。ただし、単純にネオジムにランタンやセリウムを混ぜればいいという話ではありません。

単純にネオジムの一部をランタンやセリウムに置換しただけでは、磁石としての性能は落ちてしまいます。磁力も劣れば、耐熱性にもネガが出ます。熱によって磁力が落ちていくのがモーターの宿命。じつは「モーターがいい具台に暖まってきた」ということはなく、熱を持たないほうが性能は優れているのです。

そこで、トヨタが見出したのが、微細化・二層構造化・配合比という3つの開発ポイントになります。磁石を構成する粒の大きさを従来の5ミクロンから0.25ミクロンまで大幅に小さくすることで、耐熱性を上げています。さらに粒の表面にネオジムを集中させることで磁力を確保しました。そして、ランタンとセリウムの混合比を1:3とするという理想の配合比を見つけました。

ひとまずは研究室レベルで実現したという話で、量産化もまだまだ先ですし、ランタンとセリウムの配合比などロジックについては不明な部分もあるといいますが、ネオジムの使用量を減らしたモーターの実現できる技術が生まれたというは、電動車両の拡大に向けて大きなニュース。用途に応じて、ランタンとセリウムの混入量をコントロールすることで、ネオジムの削減効果が最大50%まで期待できるというのも注目です。

(写真:小林和久/トヨタ自動車 文:山本晋也)









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Source: clicccar.comクリッカー

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