「HONDAシティをミッドシップにしたら面白そう!」な~んていう計画からレース界の重鎮、ノバ・エンジニアリングにシティを持ち込み、ノバのレーシング技術・ノウハウをたっぷりと注ぎ込みながら進めてきたシティ・ミッド化計画。
エンジン搭載位置が変わったことからくる足まわりの煮詰めも解決し、ミッド化を生かすライトパワーアップチューンも施されました。今回はそのメニュー紹介といきましょう。今やノーマルでも当然のパーツ、インタークーラーやフューエルコンピューターなどが世間に出始めた頃です!
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シティミッド チューニング・メカ解説
【インタークーラー】
最近話題というか、もうお馴染みのパーツだが、まずはもう1度おさらいしておこう、ターボ車の場合、ターボで過給された空気はびっくりするほど高温になっている。タービンで空気を圧縮することによる発熱と、排気側からの熱によって吸気側の空気がアッチッチになってしまう。すると当然部空気が膨張し、単位面積あたりの酸素量は減ってしまう。
そのために高いブースト圧をかけてもおもったほど酸素がシリンダー内へ入っていないことになり、エンジンの出力はあまり上昇しないのだ。逆にデトネーションなどエンジンに悪いことばかり発生して、最後はポンとエンジンがダメになっちゃう場合もある。
そこで考えられたのが、インタークーラーだ。吸入エアを冷却して単位体積あたりの酸素量を多くすればターボ効果が有効に発揮されるようになる。
また、インタークーラーの配管に関しては可能な限り短くしたほうが良い。それはエンジンのレスポンスに影響するためだ。そのためOPTシティ・ミッドターボの場合は、リヤの下部に取り付け、ボディ下面を流れる空気をうまく利用して、冷却効果を発揮している。
【アルミナイズド60φマフラー】
OPTシティ・ミッドターボには当然、FF用のマフラーは使用できないので特注だ。ミッドシップ化したためにマフラーを長くできず、マフラーのタイコの部分が高温になってしまう。また消音も難しい。しかし、このHKSマフラーは音も静かでは息のヌケも良く走行フィーリング、バツグンだ。
【大容量エキゾーストハウジング】
ノーマルシティターボのエキゾーストハウジングのA/R値は0.34。HKS製ハウジング日A/R値0.44。ターボメーカーである強さがここで発揮される。ノーマルエンジンで最大のパワーを発揮するベストはハウジングなのだ。
このハウジング交換により、ブースト圧セッティングも1.2kg/cm2あたりがベストになる。ただ過給圧アップのみを目指したものでなく、安全にしかもスーパーターボエンジンに変身させてくれる強い味方だ。
【フューエルコンピューター(Fコン)】
車載ノーマルコンピューターの各センサー機能とHKS・Fコンのセンサーによって常にエンジンの負荷状態を検出して、燃料の増減を行ってくれるコンピューター。現在車載コンピューターの主流はデジタル式のため、以前のアナログ式のコンピューターのように簡単に燃料増量ができなくなってしまった。そのためにボアアップやボルトオンターボの装着、大型タービンへの交換時、チューナーは燃料増量に苦しんだというわけ。そこでFコンが登場した。
このFコンは単に回転数やブーストに比例した燃料増量でないところがポイント。内部にあるCPUがROMに記憶されたデータによって10種類のパターンの燃料増量を行う。
【燃料カット防止回路】
燃料カットをしてしまう回路を作動させないようにするシステムで、通称FCDと呼ばれている。ノーマルシティターボのPGM-FIの燃料カットを防止することにより、高ブースト圧時にも燃料がカットされずに、ターボの高ブースト時のあのすさまじい加速感を味わえる。
【ターボタイマー】
ブーストを懸けた走行や、高速走行時にはタービン自体が排気ガスの高温熱風にさらされている。そのためにエンジンを急激に切ってしまうと、タービン自体の損傷・破損になってしまう危険がある。タービンの保護、寿命を伸ばすためにもアフターアイドリングを行う必要がある。
そこで作られたのが、ターボタイマーだ。1分、3分、5分と切り換えができ、デジタル表示される。このタイマーはノーマルの配線を切ったりしないバイパス回路を使用しているため、メインキーをONからOFFにしたときに作動するようになっている。いくら走りが楽しめても、壊れてしまうとショックだもんネ。もしやのためのターボタイマー、そんな感じだ。
【ブーストメーター】
1.5kg/cm2までのブーストメーターでターボ車にはやはりどうしても必要なものだね。ブースト圧の設定などに付けておきたい。
【オイルクーラー】
ターボ車は、エンジンオイルをタービンシャフトの潤滑にも使われ、オイルが高温になってしまい劣化を早めてしまう。このオイル温度の上昇を抑えるのがオイルクーラーだ。しかし低速走行時にもオイルクーラーにオイルが流れていると、オイル温度が低下しすぎてしまう。そこでこのHKSオイルクーラーにはサーモスタットが付けられており、ある一定温度になった時にオイルがオイルクーラーへ循環するようにできている。
【ピロボールの足はシビアだぜ!】
ノーマルのボムブッシュからテフロンブッシュ。現在はレースのノウハウをフィードバックしたピロボールを使用した足になっている。ピロボールを使うことによりハンドリングもシビアになった。ピロボールを使った足は、レーシングカーの世界では当たり前といえる。ゴムブッシュの場合はいろいろな方向へ動いてしまうが、ピロボールを使うと動きがカッチリしてドライバーの要求するセッティングが作れるのだ。
OPTシティの場合、テフロンブッシュの時には硬すぎてしまうフィーリングだったが、ピロボールの足は適度な硬さで、シビアとはいえコントロールしやすいものだ。
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過度なパワーアップはせず、ハンドリング重視のシティ・ミッドターボに仕上がりました。さて次回、最終回のその6では、谷田部テストの結果紹介デス!
[OPTION 1984年2月号より]
(Play Back The OPTION by 永光やすの)
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