2018年2月6日から2月18日まで、神戸のカワサキワールドでカワサキモーターサイクルZフェアが開催。そこに展示された歴史車両をその説明文とともに紹介しよう。
目次
ZEPHYR 1989年型 ZR400C1 JP
レーサーレプリカ全盛の時代に、「速さ」にこだわらず日常使用の快適性を打ち出した、当時としては画期的企画のモデル。
伝統を感じさせる空冷四気筒エンジンをあえて搭載し、いにしえの名車の外観のエキスを新しい感性で再構築した商品造りが逆に新鮮に感じられ、日本では生産が追いつかない程のベストセラーモデルとなった。
輸出仕様にはZR550もあった。
Z400FX 1979年型 KZ400E JP
4気筒DOHCという、当時の最高級メカニズムをこのクラスに導入。
中型免許制度施行の追い風もあり、国内試乗の若年層に絶大な支持を受けてベストセラーになった。
特徴的な装備として、長いストロークで優れたクッション性能をもたらすリーディング・アクスル・フォークや、協力な制動力を誇る前後ディスクブレーキ等が高性能を支えた。ボア/ストロークを拡大した550cc車の存在も、妥協を許さない硬派のバイク…というイメージをアピールし、このモデルのステイタスをいっそう高めた。
Z400LTD 1979年型 KZ400H1
国内に”アメリカンスタイル”を一般化させた最初のモデル。
プルバックハンドル、段付きシート、ショートマフラー、極太リムタイヤなど新鮮な印象をもって”和製アメリカン”とも呼ばれ、ユーザーに迎えられ、根強い人気をほこった。後にエリミネーターシリーズ、バルカンシリーズへと引き継がれる。
Z1000Mk-Ⅱ 1979年型 KZ1000A3
シャープな造形で生まれ変わった「Z」の旗艦
1970年代後半になると、Z1の後を追って日本の各メーカーが大排気量ロードスポーツ市場に参入してきた。そこでZ1の優れた基本設計は継承しつつ、デザインを一新したモデルがZ1000Mk-Ⅱ。
角張ったタンクや三角形のサイドカバー、後端を跳ね上げたテールカウルなど、直線的なイメージで統一していた。同様のデザイン変更は、カムカバーやテールランプなど細部までに及んだ。
ブラックに塗装されたエンジンは1977年に排気量を1015ccに拡大したZ1000を進化させたもので、トランジスタ点火の採用などにより93馬力を発生する。
7本スポークのアルミ製キャストホイールや、雨天でも効きの良い不等間隔ピッチの穴あきちすくろーたーなど、車体も当時最先端装備で固めていた。
KZ1300 1984年型 KZ1300US
世界を驚かせた水冷6気筒モンスター
Zシリーズの登場により、市場では空冷4気筒エンジンがポピュラーになっていった。しかし、Zは新たな世界に踏み出した。それが1978年のZ1300である。水冷DOHC並列6気筒という他に類を見ないエンジンは、当時の量産車最大排気量となる1286cc。圧倒的なパワーに対応するためにシャフトドライブを採用。車体や外装にも当時最高の品質と性能を与えた、カワサキのフラッグシップであった。大柄で乾燥重量は300㎏近かったが、新車発表時にテストライダーがウイリーを披露したというエピソードをみるように、あくまでも走りを楽しむロードスポーツモデル。あまりのハイパワーゆえに西ドイツ(当時)の馬力規制のきっかけになったほど。究極のロードスポーツモデルとして歴史に名を残す1台となった。展示車両は、電子制御式燃料噴射装置のDFI(デジタル・フューエル・インジェクション)、空気圧により減衰力が調整可能なエア式リヤサスペンションを採用した1984年モデル。
Z1-R 1978年型 KZ1000D1 EU
70年代には「カフェレーサー」と呼ばれる、レーサーを思わせるスポーティなデザインが流行した。そしてZ1の後継機、Z1000をベースにカフェレーサーに生まれ変わらせた特別なモデルがZ1-R。
Zシリーズの主な市場だったアメリカ現地でデザインされ、シルバーの外装を含め、それまでの大排気量車にはない独自のスタイルで衝撃を与えた。
細身のタンクはブラックに塗装されたエンジンの存在感を強調し、ハンドルマウウントのビキニカウルはZ1-Rの速さを象徴。そして、当時まだ珍しかったアルミ製キャストホイールを標準装備。
マフラーはZ1の4本出しと異なり、エンジン下で集合して直線的な形状の1本のサイレンサーへとつながる。
Z1-Rは、以降のZシリーズのデザインに多大な影響を与えた。
Z650 1981年型 KZ650F
軽さが魅力のロードスポーツ
1970年代の北米ではミドルクラスのロードスポーツが幅広いユーザーに好まれていた。そのほとんどが2気筒エンジンを採用する中、DOHC4気筒搭載し1976年に登場したのがZ650。
この専用設計のエンジンはZ1/Z750RS系よりコンパクトでパワーはもちろん扱いやすさも重視したもの。
日本での広告コピー「すべてにわたるばらんすの妙」に象徴されるように、素直なハンドリングや、乾燥重量211㎏と軽い車体が高い評価を受けた。エンジンは一体型クランクシャフトやハイボチューンによる一次減速など、先進的メカニズムを採用しており、その完成度の高さから1980年のZ750FX-Ⅱや1990年のZEPHYR750など多くの車種にも搭載された。
展示車両は、キャストホイール、新デザインのメーターなどを装備した1981年モデル。
Z750FOUR 1976年型 JP
Z1譲りのDOHC4気筒を搭載した「ナナハン」
1972年に登場し、世界最速のロードスポーツとして記録的な台数が販売されたのが903ccのZ1※。「国内市販車は750cc未満」という当時のメーカー自主規制により海外限定のモデルであったZ1に対し、746cc化により国内向けとしたモデルが1973年発売の750-RS※(RS=ロードスターの意味)である。Z1の弟分おいう意味で「Z2※」というニックネームで呼ばれることが多いが、エンジンはZ1の単なるボアダウン版ではなく、シリンダー、コンロッド、クランクにまで手を入れた専用設計。その優れたバランスにより、Z1に並ぶ名車として長きにわたり多くのライダーに愛されている。展示車両は、初代モデルではオプションだった前輪のダブルディスクを標準装備するなど、各部にマイナーチェンジを施した1976年モデルのZ750FOUR※。
※Z1、Z2は製品コードが愛称になったもので、正式モデル名は別にあった。
900super4 1973年型 Z1
世界のロードスポーツモデルの潮流を一変させた、当時カワサキが持つ技術の粋を集めて生み出されたモーターサイクル。
開発時のコードネームは「ニューヨークステーキ」。発売時にはアルファベットの最後の文字で、究極を意味する「Z」と世界一を表す「1」という車名を与えた。
レーサーやごく少数のロードスポーツだけのメカニズムだったDOHC並列4気筒を、世界で初めて大量生産車に投入。この903ccのエンジンは世界最速であっただけでなく、信頼性や耐久性も他を圧倒した。
4本のマフラーも特徴的で「スリム、セクシー、スリーク」を合言葉にしたデザインは高い評価を得た。メインの市場となった北米をはじめ、ヨーロッパでも記録的な大ヒットとなり、レースでも活躍。
Zシリーズの元祖であり、現在でも名車として名高い。
伝説の鼓動よ、再び。
カワサキモーターサイクルZフェア ~2/18日まで
Z1誕生より45年、満を持して登場したZ900RS。東京モーターショー2017で公開されたZ900RSカスタムプロジェクトと川崎重工が保有するヒストリー車両、資料を一堂に展示。
■開催期間 2018年2月6日(火) ~ 2月18日(日)
※2月13日(火)は休館日です。
■開館時間 10:00 ~ 17:00(入館は16:30まで)
■開催場所 神戸海洋博物館内 大ホール
■入場料 大人 600円 / 小・中学生 250円
■お問合せ先 カワサキワールド 078-327-5401
撮影:川島秀俊
Source: WEBヤングマシン