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【再考】跳ね馬流グランドツアラー「フェラーリGTC4ルッソT」《動画レポートあり》

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目次

Ferrari GTC4LussoT

フェラーリ GTC4ルッソT

フェラーリ流のグランドツアラー。

昨今、流行りのようにプレミアムブランドからGT=グランドツアラーが続々とラインナップされている。特に旧くからその傾向が強かったイギリス勢を中心に最近ではドイツ勢も力を入れはじめ、今やその数を数えることすら面倒なくらいだ。そうした中、フェラーリもルッソ・シリーズで応戦するかのように、独自の個性をもって市場に売って出た。もちろん、フェラーリがGT市場に力を入れているのは最近のことではないが、このルッソ・シリーズが違うのは極めて高い実用面である。他のGTが流麗なクーペスタイルを採ることに対し、フェラーリは、ハッチバックスタイルが特徴。つまり、スタイリングにこだわりつつも、完全に割り切っていることが伺える。

V8ツインターボを搭載。

元を辿れば、FF(フェラーリ・フォー)から始まったルッソ・シリーズ。このシリーズというのも、フェラーリにしては珍しく、1ボディ2エンジン体制を敷くからだ。V12エンジンを搭載する「GTC4ルッソ」に対し、V8ツインターボ版が「GTC4ルッソT」と呼ばれ、今回試乗するのは後車のほうである。

実はこのGTC4ルッソTに乗るのは久々。以前、イタリアや日本で乗った時は、特に悪い印象はないものの、かといって褒めちぎるほど感動した覚えはない。フェラーリといえば、どうしてもスポーツモデルのほうがキャラクター的にも際立つゆえ、GTの資質をもっていても理解しにくいのかもしれない。そんな複雑な想いを抱きながら、長いフロントノーズを目的地に向けた。

リヤ駆動だから軽さが際立つ。

特に高速道に乗ってからまず気づくのは、軽快感である。心の中で12気筒モデルと比較してしまうから、そう思わせるのは確かだが、この車格にしては重さをほとんど感じさせない。その要因は、もちろん4気筒すくなくなったエンジン重量だが、それにも増してリヤ駆動としている点だろう。12気筒を積むルッソは簡易型とはいえ4WDシステムを組み合わせるだけに、こちらのほうが余計なものがないぶん、素直に軽さを実感させる。

エモーショナルなV8ツインターボ。

しかもフェラーリは、このGTC4ルッソTに対してスポーツGTというキャラ設定にしているのも重要なポイントだ。すなわち、よりエモーショナルな演出を施し、12気筒モデルと明確な差を設けようというのが狙い。さらに言えば、V型8気筒ユニットは、ツインターボ仕様ということもあって、トルク値は12気筒車が697Nmであることに対し、8気筒は760Nmと上回っている。さすがにパワーは、610psと80psも差がつくものの、それでもこの身のこなしを味わったら12気筒とはおさらばしてもいいさえ思えてくる。

見事な常用域のトルク特性。

というのも、以前乗った時の印象とだいぶ違うからだ。これは個体差というよりは、こなれた感のほうが強く、前回の試乗車がほぼ下ろしたてということだったのだろう、今回の車両のほうが距離が出ているぶん、エンジンの回り方に活気があって好ましかった。スポーツモードにした際のパンチ力も昨今のフェラーリらしく、ターボであっても高回転域まで回るうえ、レスポンスも良い。中でも常用域のトルク特性は素晴らしく、3000〜5250rpmにピークを設定しているのは見事というほかない。

フェラーリらしいクイックなハンドリング!

ハンドリングも良好だ。12気筒のルッソではこうはいかない、というくらいその印象は異なり、RWDとしていることに加え、初期反応がフェラーリらしく鋭いから楽しませてくれる。ここがスポーツGTゆえの味付けだろう。それに加え、上手いな!と思わせるのは、こうしてゲインの高いハンドリングであるにもかかわらず、ホイールベースが長いだけあって唐突さがないこと。このバランス感も褒めてやりたくなるくらいにちょうど良い。

「リヤステア」はスポーツモードなら問題なし

ただし、これはスポーツモードに限っての話。コンフォートモードは、どこを走っていても微妙な印象だ。これは主にリヤ操舵システムの影響で、コンフォートモードの場合は、切れすぎるきらいがある。これがスポーツモードにすると、通常営業に入るかのようにシャキッとするから、もはやルッソシリーズはスポーツモードのままですべて走ったほうが良いと思う。もちろん、街中で、本当にスローで走行するならコンフォートモードでもいいかもしれないが、そこでもスポーツモードのほうが動きが分かりやすく感じられるから、ときに選択に悩む。

GTであっても本質に変わりなし。

しかし、せっかくフェラーリに乗っているのだから、スポーツモードでいいだろう。いちいち変えるのも面倒だし、そのままスポーツモードでずっと走り続け、ワインディングに差し掛かったときなどは、さほど意識しなくてもこのルッソTは十分に楽しませてくれる。トラクション性能も高いし、電子制御のEデフとSSC3に恩恵を受けて、長いホイールベースを持ちながらも、そこを有利に働かせて存分に攻めることも出来てしまうのだから、さすがはフェラーリ!と叫びたくなる。しかも乗り心地が抜群に良い! 今回、久々に乗って本気でそう思わせた。特にちょっとしたタイトコーナーなどで是非試して頂きたい。フェラーリがGTを造っても本質は変わらないということを思い知らされるはずだ。

REPORT/野口 優(Masaru NOGUCHI)

PHOTO/小林邦寿(Kunihisa KOBAYASHI)

【SPECIFICATIONS】
フェラーリGTC4ルッソT

ボディサイズ:全長4922×全幅1980×全高1383mm
ホイールベース:2990mm
トレッド:前1674 後1668mm
乾燥重量:1740kg
前後重量配分:46:54
エンジン:V型8気筒DOHCツインターボ
総排気量:3855cc
ボア×ストローク:86.5×82mm
最高出力:449kW(610ps)/7500rpm
最大トルク:760Nm/3000 – 5250rpm
トランスミッション:7速DCT
駆動方式:RWD
サスペンション形式:前ダブルウイッシュボーン 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
ディスク径:前398×38 後360×32mm
タイヤサイズ(リム幅):前245/35ZR20(8.5J) 後295/35ZR20(10.5J)
最高速度:320km/h以上
0 – 100km/h加速:3.5秒
車両本体価格(税込):2970万円

【関連リンク】
https://www.ferrari.com/ja-JP

(GENROQ Web編集部)

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Source: clicccar.comクリッカー

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