2018年11月2~3日、東京・お台場にて【FIA Intercontinental Drifting Cup 2018 TOKYO DRIFT(FIAインターコンチネンタル・ドリフティングカップ2018東京ドリフト)】(以下FIA IDC)が行われました。
日本発祥のモータースポーツ「ドリフト」が世界のFIAに認められ、日本のD1をはじめ、世界各国で行われているドリフト競技上位者が一堂に集まり「ドリフト世界一決定戦」として行われるのが、FIA IDCです。今回の2018年で第2回目の開催となりました。
そんなドリフトの国際競技、FIA IDCの決勝戦が行われた11月3日、お台場会場に現れたのは……レーシングドライバー・井出有治選手です。
井出有治選手といえば、1990年15歳から始めたレーシングカートでレーサーとしてのキャリアをスタート。1998年からF3に挑戦。1999年にはフォーミュラドリームにてシリーズチャンプを獲得。2002年は武者修行として海外へ、フランスF3でシリーズ7位を獲得。2003~2005年にはフォーミュラニッポン(現スーパーフォーミュラ)にCERUMO→TEAM IMPULから参戦し2005年にはシリーズ2位を獲得。そして2006年SUPER AGURI Formula1 TEAMよりF-1へチャレンジ!と、まさにフォーミュラレースの世界で百戦錬磨、生粋の「正統派」レーシングドライバーです。
目次
●D1マシン? 乗る! 乗りたい!!
clicccar(以下c):ねぇ井出さん、FIA IDC観に行かない? でもってD1マシンの同乗体験してみません?
井出有治選手(以下井出):行く! 乗る! 乗りたい!!
ってことで、フォーミュラとドリフト……同じモータースポーツでも、ある意味真逆?とも思える現役D1マシンの同乗体験。さて、井出選手は何を感じてくれるのか!?
●1000psGT-Rを目の前に、井出選手ビビる!
どーせ乗るなら凄いのに!ってことで協力してくれたのは、前日のD1最終戦で総合2位、単走3位、2018シリーズ4位という素晴らしい成績を残した末永正雄選手(TOYO TIRES GLION TRUST RACING)。マシンはもちろん、R35・GT-R、1000ps!のモンスターです。
今年2018年に井出選手がS-GTで乗っている「GT300 #117 EIcars BENTLEY(BENTLEY CONTINENTAL GT3)」はV8ツインターボ(4000cc)で約500psほど。本日体験するR35のパワーはその倍! しかもドリフトでブン回される!!
井出:……ちょっとトイレ行ってきます。
c:行ってらっしゃいませ!
●助手席に縛り付けられ、いざ出陣!
井出選手はドリ車の同乗走行は今回が初めてではありません。ご自身でも取材でドリフト走行をしたことがあります。
井出:ほとんどスピン状態だったけどね~!
が、本日のマシンは1000psのモンスターGT-R。
井出:ドリ車でこんなに凄い現役D1マシンに乗るのは初めて!
フォーミュラレース中のドリフト(アクシデントに近い?)ではなく、ドリフトするためのレースを極めている末永正雄選手のドライビング体験。井出選手、Myヘルメットをかぶりシートベルトをカッチリと締め上げます。おや~けっこう緊張されているようです。
井出:コワ~イ(汗)!
●スライドしながら驚異のパワーで前へ進む…まさに異次元!
c:走行時間30秒チョイ……ほぼ一瞬の初体験、いかがでしたか?
井出:いや~スゴイですね! スライドして入って行って、そこから次のコーナーへ行くときの加速ってどんな感じなのかな?と思っていたんですけど、まずそこの時点で普段自分が感じない感覚に襲われました。スライド中でもアクセルを踏めばちゃんとクルマは前に進み、きちっとスピードが出せる。ドライバーがしっかりとコントロールしているっていうことを凄く感じました。なんか不思議な感覚でしたよ。1000psGT-R(FR改)をドリフトコントロールするドライバーって凄いですよ!
c:1000ps!っていうモンスター感は味わえました?
井出:……ソコ感じる前にマシンの挙動にビックリしちゃって! いや~しかし、いい経験になりました!
c:じゃ、次は井出選手ご自身で1000psドリ、やってみます?
井出:イヤイヤ~、もうちょっとパワーの低い、86ノーマルくらいならね。このモンスターマシンはちょっと無理! ドリフトはパワーがあってアクセルオンで滑ってくれるほうがやりやすいそうなんですが、ボクみたいなドリフト初心者は、最初は恐怖心のほうが大きいし、ここまでのパワーがあるとコントロールが難しそうですよね。
●フォーミュラやGTマシンには無い感覚
井出:ウ~ン、やっぱ凄かったなぁ。ちゃんとグリップを感じながら滑っているんですから。グリップ感があるから、スライドしていてもアクセルを踏めばクルマは前に進む。1コーナーに入っていくとき「このアングルでこのスピードはちょっと無理じゃないの?」って一瞬、思いましたもん。コーナーに入っていくときのGの感じ方や速度感とか、自分の感覚と全く違うからちょっと身構えました。だってさぁ、コーナーインで頭の向き逆だし(笑)! でも、こうやって自分で1000psパワーをコントロールできたら楽しいでしょうね。
ちょっとカジッた程度の普通のドリフトと、D1のプロドライバーがコントロールするドリフトでは、世界がまるで違ったようです。しかし、さすがプロのレーシングドライバー! ドリフト同乗体験時間=約30秒チョイの中、タイヤマネージメントに定評のある井出有治選手の同乗インプレッションもサスガです!
あ、ちなみに。井出選手がご自分で撮っていたスマホ動画撮影ですが……なぜか最後のひと振りしか撮れていなかったそうですヨ(笑)!
(永光 やすの)
写真:FIA IDC/サンプロス/Yuji Ide/永光やすの
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Source: clicccar.comクリッカー