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New PORSCHE 911 Series
標高4300mから海抜下90m!
摂氏50度からマイナス35度まで。
ポルシェはすでに予告しているように、11月には正式に新型「911カレラ(992型)」を公開する。本サイトでは、その事前テストに同行したジャーナリストのレポートを掲載したばかりだが、それ以外にもさまざまな環境下で過酷なテストを繰り返している。
そもそも911カレラとは、優れた性能を日常でも使えることを重視するスポーツカー。これは、伝統的に+2シートにこだわってきたことでも証明されているように、911シリーズは常に高性能と日常性を同列に考えてきた。それゆえに新型へと進化するたびに快適性は著しく向上、今やカレラシリーズに至っては普段の足として買い物にまで使えてしまうほど扱いやすさが際立つ。
とはいえ、ポルシェの自社評価基準は、これに全世界レベルでの使用に耐えうることを重ねる。もちろん、他メーカーでもそのような意識で造られてはいるが、ポルシェが違うのは性能の維持。つまり、極寒の地であろうと、熱帯地域であろうと、常時すべてにおいて快適かつ性能の低下が見られないことを評価の基準として考えている。
実際にポルシェは先ごろ、そのテストシーンの一部を公開した。摂氏50度を超えるようなデスバレーでは、空調システムの維持はもちろん、エンジンは機関の熱管理、とりわけ熱膨張による影響などを徹底的にテスト。その一方、マイナス35度にもなるフィンランドではコールドスタート時の作動状況や、一般的なトラクションやハンドリング及びブレーキ性能など、制御システム全般の応答速度も含めて試験が繰り返されたという。
その他にも中国のサーキットや北極圏域にあるラフロードもテスト。無論、言うまでもなくポルシェの伝統に従ってニュルブルクリンクでも実施され、ここでは主にシャシーやエンジン、トランスミッション、ブレーキなどを総合的に評価したうえ、イタリアのナルドでは最高速域における安定性や冷却性などもメニューに組まれたという。
中でも驚くのは、デスバレーとコロラドでのテスト。デスバレーでは乾ききった塩湖にある海面下約90mという西半球で2番目に海抜の低い地でデータを採り、一方のコロラドでは、標高4300mを誇る薄い空気の中、エネルギー回生の効率や燃料システムの状況を確認するなど、やりすぎなほど徹底的にテストし、データを収集したというから恐ろしいくらいだ。その結果、テスト車両の走行距離は、実に300万kmにも及んだ模様。しかもこの中には、インフォテイメントシステムなどの作動も確認事項に含まれていたというから完璧主義を貫いている。
こうした耐久テストは、ポルシェにとっては当たり前なのだろう。過去にも新型車を用意する度に何度も繰り返してきたことは知っているが、相変わらず徹底したその姿勢には恐れ入る。といっても今回のテスト内容は過去最高のような気もするが・・・。いずれにしても新型911カレラは、ポルシェファンの期待を裏切ることはないはずだ。
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Source: clicccar.comクリッカー