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McLaren Senna GTR
マクラーレン セナ GTR
アクティブ・リヤウイングの採用により、
ダウンフォースは1000kgを達成!
今年3月に開催されたジュネーブ・モーターショーに初公開された「マクラーレン セナGTR」。このアルティメットシリーズの最新モデル「セナ」をベースにしたサーキット専用車が生産に向けて動き出したという。今回は、その発表と同時に生産型のイメージスケッチ1枚が公開され、11月より走行テストを開始するという。
このセナGTRで注目すべきは、ダウンフォース量が実に1000kgにも達することだろう。ミッドに積まれる4リッターV8ツインターボエンジンはロードカーのセナよりも25ps強化した825psという最高出力と、800Nmの最大トルクを発揮するが、エアロダイナミクス性能を徹底的に突き詰めてくるところがマクラーレンらしい。その結果、フォーミュラワンを除けば、同社の中で最速ラップタイムを記録する!とまで豪語する。
もちろん、シャシー周りもロードカーとは一線を画するもので、サスペンションシステムはダブルウイッシュボーン式を基本に、マクラーレンのGT3カスタマー・レーシング・プログラム用に作られたシステムを採用。ジオメトリー、スプリング、ダンパー、アンチロールバーなど、そのプログラムから得られたデータを基準にセットアップされているという。
さらに、フロントとリヤ共にトレッドは広げられ、タイヤもピレリ・レーシング・スリックを組み合わせる。これにより、3Gを超える重力加速度と、最大減速度を20%上昇させることに成功したと加える。
ボディは当然ながらオールカーボン製。そこにフロント・スプリッターやリヤデュフューザー、さらにアクティブ・リヤウイングを装備し、走行状況に応じてウイングとデュフューザーからのエアフローを合わせることによって空力性能を向上。それにより安定した姿勢を実現し、優れたコーナリングや高いブレーキ性能などが、より効果的に働くという。
また、写真こそ公開されてはいないものの、コクピットもほぼレーシングマシンと同様となるようだ。ロードカーのセナをベースにしているとはいえ、特徴的なドライバー用のディスプレイは廃止され、エアバッグやインフォテイメントシステムなども非装備。その代わりというわけでもないが、サーキット専用車というだけに機能に特化し、ステアリングはレース用のコンポーネントが与えられるうえ、ギアシフト・コントロールが組み込まれるという。
ユニークなのは、エアコンを装備することと、レーダーアシストの追突回避システムが標準装備されている点。レース車両ではないため、こうした快適かつ安全性を考慮したその配慮は、実際のオーナーにとってありがたく感じるはずだ。ただ気になるのは、車両重量。マクラーレンはまだ公表できる段階ではないというが、それ相当にライトウエイト化してくるのは間違いないだろう。
マクラーレンは、ジュネーブ・モーターショーでサーキット専用車の左ハンドルに対する需要をリサーチしたことも面白い事実だ。その結果、すべて左ハンドル仕様となり、生産台数も75台とした。価格は110万ポンド。日本円で約1億4700万円である。もちろん、すでに完売。納車は2019年9月から開始する予定だ。
こういったサーキット専用車の需要は年々高まりつつある。そのきっかけをつくったのは、言うまでもなくフェラーリ。XXプログラムからはじまった、サーキット専用車は、今こうして他メーカーにまで影響を及ぼしている。それでもマクラーレンは後発とはいえ、エアロダイナミクスなどに徹底した策を投じてくるなど、独自性を貫いているのはさすが。果たして、セナGTRが実際にどの程度のパフォーマンスを発揮するのだろうか。今から続報が楽しみである。
※写真はすべて2018年ジュネーブ・モーターショー発表時のもの。
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Source: clicccar.comクリッカー