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【TOPIC】ジャガーのイアン・カラムが描く「近未来の電動化シティ」とは?

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デザイナーのひとりとして、
EVが提示する広い応用範囲に
胸が躍る思いです。by.イアン・カラム

去る10月30日、ロンドンのメイフェアにて、ロイヤル インスティテュート オブ ブリティッシュ アーキテクツ(RIBA)と、ジャガー デザインが共同主催するフォーラムが開かれた。題して「電動オートモーティブの未来と建築物の関係」

ジャガーのデザイン担当ディレクター、イアン・カラムはRIBAの名誉フェローでもあり、基調演説を次のように述べた。

「デザイナーのひとりとして、EVが提示する広い応用範囲に胸が躍る思いです。私たちは、自動車の使い方とエネルギー注入パターンを『リインベント(=既存のモノを再発明する)』することで、今ある施設を全面的に刷新する千載一遇のチャンスに恵まれているのです。これから発表するコンセプトは、どれも実現可能なものばかりです」

このあとカラムは、ロンドンに本拠を置く一流の建築関連企業「バー・ガゼタス」のマネジングディレクター、ジョン・イーグルシャムと、「自動車の電動化に伴う都市の未来像」について、4つのコンセプトを披露した。

【トゥデイ】
主要道路沿いのガソリンスタンドがテーマ。既存の施設の代表例としてM6沿いの「フォートン・サービス」を取り上げる。1965年にオープンしたここは、高級レストランとオープンテラスが売り物のモダンなガソリンスタンドとして登場した。しかし、今や商業施設が発する騒音に溢れた雑然とした場所に化している。電動化によって騒音は激減し、農産物を扱う商店、スポーツジム、プールなどを設けることにより、ガソリンスタンドは立ち寄る場所ではなく、目的地になる。結果としてドライバーはEVをチャージしながら、ゆったりした時間を過ごせる。

【トゥモロー】
「ナショナル カー パーク」が運営する多層階パーキングビルがテーマ。既存の施設の代表例として1970年に完成したロンドンのウエストエンド、ウエルベック ストリートに面した建物を取り上げる。多層階パーキングビルは化石燃料のシンボルであるとの考えがベース。市の中心部に多数あるこうした施設をリインベントすることで自給自足型の「チャージ プラザ」に変貌させる。具体的には公共交通機関とのリンクを作り、ドライバーはEVをここに停めたあとは公共交通機関を利用して移動する。駐車時間中に太陽光発電パネルから得た電力をチャージする。

【エレクトリックシティ】
エミッションフリーの都市がテーマ。既存の施設の代表例としてリバプールのスタンレードックを取り上げる。1901年建造のこの建物は当時、世界最大のビルだったが、1980年代に荒廃、凋落した産業と不況のシンボルと化した。広大な敷地面積を活かし、「グリーンエネルギー」をベースにした新しいコミュニティ施設と産業を創造することで都市の若返りを促進する。

【エレクトリックフューチャー】
英国全土にわたる全面的な改変がテーマ。既存の例としてロンドンを取り上げる。EVと直結した新たなインフラを構築することでロンドンの緑化を促進する。結果としてロンドンはクリーンでヘルシーな都市へと変貌する。英国の都市全般にあてはまるコンセプトで、太陽光と潮力を利用して得た電力により、数を増すEVの需要に応える。

ジョン・イーグルシャムは次のように述べて、フォーラムを総括した。

「今回のスタディの核心は、ずばりチャンスを実現することにあります。4つのコンセプトは、次世代が活躍する時代までに実現可能なものばかりです。ジャガーIペイスのようなEVが成功した事実は、変革への大きな促進剤として作用します。私たち建築業界の関係者は、タウンプランナーと、国および地方の行政機関と力を合わせて、今こそこのチャンスに取り組むべきなのです」

いかがだろう・・・。4つのコンセプトが実現できる時期には若干のバラツキがありそうだが、どれにも共通するのは既存の施設を完全に取り潰すのではなく、新しい生命を吹き込もうとする考え。そこには旧いものを大切にする英国人気質が表れていて興味深い。

TEXT/相原俊樹(Toshiki AIHARA)

(GENROQ Web編集部)

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Source: clicccar.comクリッカー

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