2018年F1第19戦メキシコGPが、アウトドローモ・エルマノス・ロドリゲス(4.304km、周回数71周)で開催されました。
決勝前日に行われた予選を制したのは、ダニエル・リカルド(レッドブル)! モナコGP以来、今シーズン2度目のポールポジションに最高の笑顔を見せてくれました。
2番手はチームメイトのマックス・フェルスタッペン、3番手にワールドチャンピオンに王手をかけたルイス・ハミルトン(メルセデス)が続きます。
今シーズンのドライバーズチャンピオンが決まるかもしれない、メキシコGP。次戦繰り越しの条件は、セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)が優勝しハミルトンが7位以下と、ベッテルにとってかなり厳しい条件となりました。
普段より緊張感のあるグリッドに突如現れたのが、骸骨! フォーメーションラップに向かうドライバーに向かって「頑張れ!」とジェスチャーをしていましたが、びっくりしたドライバーがいなかったか少し心配です(笑)。
そう、メキシコは日本の“お盆”に近い“死者の日”ウィーク中で、サーキットのあらゆる所に骸骨が現れ、レースを盛り上げてくれていたのです。
“お盆”というと故人を思い出ししんみりとしてしまいますが、メキシコはあくまで楽しく明るく祝うのが特徴で、死を恐怖するのではなく逆にあざ笑うというモチーフになっているのだそうです。
スタートではハミルトンが好加速を見せ、レッドブル勢の真ん中に飛び込みリカルドの前に躍り出ました! 首位フェルスタッペン、2番手ハミルトン、3番手リカルドと大きく順位が入れ替わります。後方ではエステバン・オコン(フォースインディア)がシャルル・ルクレール(ザウバー)に追突し、フロントウイングを破損。緊急ピットインを余儀なくされました。
4周目、フェルナンド・アロンソ(マクラーレン)がストップ。ターン12手前にマシンを停め、バーチャルセーフティカーが導入されましたが、すぐに解除され翌周にはレース再開となりました。
上位勢で最初に動いたのは、メルセデス勢。11周目にハミルトンとバルテリ・ボッタスが同時ピットイン。さらに12周目にはリカルドが、その翌周にフェルスタッペンがウルトラソフトタイヤからスーパーソフトタイヤに交換しました。
フェラーリ2台はまだステイアウト中。どのような作戦に出るのか、注目です。
キミ・ライコネン(フェラーリ)がチームメイトのベッテルとハミルトンとの差を広げるため後ろにいるハミルトンを懸命に抑えますが、17周目にハミルトンとリカルドに抜かれピットイン。これを見てベッテルもタイヤ交換し、この時点の上位勢の順位は首位フェルスタッペン、2番手ハミルトン、3番手リカルド、4番手ベッテル、5番手ボッタス、6番手ライコネンとなりました。
31周目にカルロス・サインツJr(ルノー)がターン14でストップし、バーチャルセーフティカーが導入されます。
「入ろうか?」とハミルトンがチームに尋ねるも、そのままステイアウト。
34周目、猛プッシュするベッテルがターン1~2でリカルドをオーバーテイク! 3番手に浮上し、さらに39周目にはストレートからターン1の飛び込みでハミルトンをオーバーテイク!! 2番手まで順位を上げました。
最後の最後までチャンピオンを諦めないベッテルの走りに、胸が熱くなった瞬間でした。
メキシコ出身のセルジオ・ペレス(フォースインディア)はレース序盤に見せた素晴らしいバトルでファンを盛り上げましたが、39周目にスローダウン。ガレージに戻り、リタイアとなってしまいました……。これにはスタンド席から大きなため息が漏れます。
47周目、タイヤに苦しむハミルトンがターン1でタイヤをロックさせてオーバーラン。リカルドにポジションを譲ってしまい、たまらずピットイン。これを見てベッテルもピットに飛び込み、それぞれウルトラソフトタイヤに交換しました。
さらにその2周後、ボッタスがハミルトンと同じターン1でオーバーラン。ライコネンに抜かれ、慌ててピットに入ります。
同じく49周目にフェルスタッペンもピットインしメルセデス、フェラーリ勢とは違いスーパーソフトタイヤに履き替えました。
この時点の上位勢の順位は、首位フェルスタッペン、2番手リカルド、3番手ベッテル、4番手ライコネン、5番手ハミルトン、6番手ボッタスです。
61周目、リカルドのマシンから白煙が上がり、62周目のターン1でストップ。せっかくのポールポジションスタートだったにもかかわらず8回目、今シーズン最多のリタイアとなってしまいました。
これによりバーチャルセーフティカーが導入され、その間にボッタスが3度目のピットイン。ハイパーソフトタイヤに交換します。
スタートから確実な走りでフェルスタッペンが今シーズン2勝目、自身5度目の優勝! メキシコGPでは2年連続優勝となりました。
そしてベッテル2番手、ハミルトン4番手フィニッシュにより、ハミルトンが2018年のワールドチャンピオンに輝きました! 現役ドライバーでは最多の5回目となる快挙に、ドーナツターンをして喜びを爆発させます。
レース終了後、「不思議な気持ちです。まずはファンに感謝したいです。そして次はチームに感謝を言いたいです。家族にも感謝しています。父の努力がなければ、僕はここにいなかったわけですからね」と感慨深げに語るハミルトン。
インタビューが終わると走ってガレージに戻り、一人一人ハグして感謝の気持ちを伝えます。
ライバルとして戦い続けたベッテルは「簡単な日ではありませんでした。でもチームは素晴らしい仕事をしたと思います。ルイス(ハミルトン)におめでとうと言いたいです。もちろん、もう少しチャンピオン争いをしたかったですけど、我々は受け入れていかなければいけないですね」と語り、控室やポディウムで見せた悔しそうな表情が印象的でした。
そんなベッテルですが、レース後のある行動に涙がとまりませんでした。なんと、チャンピオンを逃し誰よりも悔しいはずなのに、メルセデスのガレージに行きチーム代表のトト・ウォルフやスタッフ達に「おめでとう」と言いに行っていたのです(涙)。
もし私がベッテルと同じ立場だったら絶対に同じことはできない……。さすが4度のワールドチャンピオンです。この模様はメルセデスのオフィシャルSNSやYouTubeに公開されているので、ぜひ皆さんにも見てもらいたい!
今年も手に汗握る戦いで私達ファンを楽しませてくれた、ハミルトンとベッテル。まだ残り2戦ありますが、一旦張りつめていたものを解いて、リラックスしてほしいなと心から思ったメキシコGPでした。
メキシコGPリザルトは以下の通りです(ポイント圏内のみ)。
順位/No./ドライバー/チーム
1/#33/マックス・フェルスタッペン/レッドブル
2/#5/セバスチャン・ベッテル/フェラーリ
3/#7/キミ・ライコネン/フェラーリ
4/#44/ルイス・ハミルトン/メルセデス
5/#77/バルテリ・ボッタス/メルセデス
6/#27/ニコ・ヒュルケンベルグ/ルノー
7/#16/シャルル・ルクレール/ザウバー
8/#2/ストフェル・バンドーン/マクラーレン
9/#9/マーカス・エリクソン/ザウバー
10/#10/ピエール・ガスリー/トロロッソ
(yuri)
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Source: clicccar.comクリッカー