10月17日に39歳の誕生日を迎えたキミ・ライコネン(フェラーリ)。2018年F1第18戦アメリカGPで2013年オーストラリアGP以来、5年振りの優勝を果たしました!
「アイスマン」の愛称で世界中のF1ファンから愛されているライコネンは2001年にザウバーからF1デビューし、その翌年にマクラーレンに移籍。2005年日本GPの17番手スタートからの大逆転優勝は今でも記憶に残る素晴らしいレースでしたよね(レッドブルのダニエル・リカルドも日本GPで最も印象的なレースだと賞賛するほど!)。
2007年にフェラーリに移籍しフィンランド人3人目となるF1ワールドチャンピオンに輝くも、2010年から2シーズンはWRC(世界ラリー選手権)に参戦。思ったような結果は出せなかったものの、コースアウトし動けなくなったクルマの下の雪をスコップでかきだすなど、F1とは違う顔を見せてくれました。
2012年にロータスからF1に復帰し、2014年に再びフェラーリに移籍。そして今年の9月11日に来シーズンから古巣ザウバーへ戻ること発表し、私達ファンを驚かせました。
走りはさることながら、ボソボソと話す記者泣かせな喋り方、口を開いたかと思えば「僕には関係ない」「様子を見てみよう」ばかり。2006年モナコGPではリタイヤ後にピットへ戻らず港に停泊している自身の所有するクルーザーに乗り込み水着姿で飲酒をしながら観戦しちゃう自由奔放な生き方に甘いフェイスと魅力的なドライバーです。
ここ数年勝利まであと一歩の所まできてはいたものの、中々叶わずモヤモヤした毎日が続いていました。そんなライコネンがついに優勝ですよ! TVの前で涙を流したのは私だけじゃないはず!!
嬉しくて、嬉しくてまだ夢心地ですが……(笑)、記念すべき2018年F1第18戦アメリカGPを振り返ってみましょう!
アメリカGPの予選を制したのはルイス・ハミルトン(メルセデス)。
2番手セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)、3番手ライコネンとなりましたが、ベッテルは金曜フリー走行中の赤旗減速不足で3グリッド降格。5番手スタートとなりました。
決勝日。好スタートを決めたライコネンがハミルトンに牽制されるも、ターン1手前でインから前に出て首位に立ちました!
後方ではフェルナンド・アロンソ(マクラーレン)とランス・ストロール(ウイリアムズ)が接触してスピン。さらにターン12でシャルル・ルクレール(ザウバー)がロマン・グロージャン(ハース)に接触されスピン。4台ともダメージを負いながらピットインするも、アロンソとグロージャンはリタイアとなってしまいました。
そしてターン13ではインを突いたベッテルがリカルドとバトルを繰り広げますが、接触しスピン。
これによりチャンピオン獲得に向け大事な一戦だというのに、最後尾まで順位を落としてしまいます。
9周目、リカルドがターン11出口でマシンを止めリタイア。バーチャルセーフティカーが導入されました。
この間に動いたのがハミルトン、セルゲイ・シロトキン(ウイリアムズ)、ストフェル・バンドーン(マクラーレン)、ピエール・ガスリー(トロロッソ)。
ハミルトンはソフトタイヤに交換しチームメイト、バルテリ・ボッタスの後ろ3番手で戻ります。
バーチャルセーフティカーが解除されると、ボッタスにチームからハミルトンを抑えないように指示が入り、14周目にハミルトンがボッタスをパス。猛プッシュが始まります。
18周目、ハミルトンがライコネンの1秒以内まで近づくと、DRSを使った激しいバトルが勃発! 右に左にマシンをふってオーバーテイクのタイミングを測りますが、なかなか抜けません。
ライコネンは21周目にタイヤ交換のためピットインしましたが、タイヤが苦しい状況でチャンピオンの意地を見せつけたブロックは最高にかっこよかった!
23周目、18番手スタートから脅威の追い上げで上位勢のすぐ後ろまでポジションを上げていたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)がソフトタイヤに交換し、その翌周にボッタスがピットイン。フェルスタッペンの後ろで復帰し、順位が入れ替わりました。
26周目にベッテルもタイヤ交換をすませ、この時点での上位勢の順位は首位ハミルトン、2番手ライコネン、3番手フェルスタッペン、4番手ボッタス、5番手ベッテル。ハミルトンがもう一度タイヤ交換をするか、注目です。
37周目、タイムが落ち「リアタイヤにブリスターができている」と訴えるハミルトンが2回目のピットイン。4番手でコースに戻ります。
これにより再びライコネンが首位に浮上しました!
40周目のターン12でボッタスの前に出たハミルトンは、新しいタイヤで前を走るフェルスタッペンにどんどん近づいていきます。
残り10周、フェルスタッペンまで約1秒、ライコネンまで約2秒。もしハミルトンが2番手に上がると、ベッテルはボッタスを抜き4番手にならないとチャンピオンが決まってしまいます。この重要な争いに、ハラハラドキドキ。もう心臓がもたないよ~!
54周目、ハミルトンがフェルスタッペンにしかけサイド・バイ・サイドの戦いに!
何度も何度も並びかけますが、ランオフエリアへ飛び出してしまいポジションを上げることができませんでした。
その翌周、ベッテルがボッタスを抜き4番手に浮上しました!
これでハミルトンがチャンピオンを決めるには、優勝のみ。ベッテルの意地の走りに大興奮でした。
そしてライコネンが113レース振りに優勝! チェッカーを受けた瞬間から涙がとまりません(涙)。
無線でチームから祝福のメッセージが送られると、「ピー(放送禁止用語)。ありがとう」といつもと変わらず冷静なライコネン。「ピー」の部分、何て言ったのでしょうね(笑)。
さぁ、お待ちかねのインタビューの時間がやってきました。果たしてアイスマンは相変わらず無表情なのか、それとも笑顔を見せるのか…!?
ヘルメットを脱ぐと、いつもと変わらない表情。「やっぱりアイスマンは最後までクールなのね」なんて思っていた矢先、インタビュアーのマーティン・ブランドルが「おめでとう、世界中のファンを喜ばせてくれたね」と言うと、ライコネンから少年のような笑みがこぼれたのです! これにはレース以上に大興奮(笑)。
「そうだね。週末を通してマシンが良かったよ。レースに関してはずっとプッシュする必要があって、マックスと同じような状況だったと思うのだけれど、とにかくタイヤをキープできるように気を付けて走ったんだ」と柔らかい表情で答えました。
表彰式では、恒例のシャンパンラッパ飲みを披露! ライコネンにとって最高の誕生日プレゼントになったのではないでしょうか。フェラーリに移籍してから苦しいシーズンが続きましたが、笑みを浮かべながら何度も拳をあげる姿を見て、諦めずに頑張る事の大切さを教えてもらったような気がします。
ライコネン、最高のレースをありがとう! そして優勝おめでとう!!
アメリカGPリザルトは以下の通りです(ポイント圏内のみ)。
順位/No./ドライバー/チーム
1/#7/キミ・ライコネン/フェラーリ
2/#33/マックス・フェルスタッペン/レッドブル
3/#44/ルイス・ハミルトン/メルセデス
4/#5/セバスチャン・ベッテル/フェラーリ
5/#77/バルテリ・ボッタス/メルセデス
6/#27/ニコ・ヒュルケンベルグ/ルノー
7/#55/カルロス・サインツJr/ルノー
8/#31/エステバン・オコン/フォース・インディア
9/#20/ケビン・マグヌッセン/ハース
10/#11/セルジオ・ペレス/フォース・インディア
(yuri)
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Source: clicccar.comクリッカー