初代1000から数え、25年目を迎えた王道ネイキッドのCB1300シリーズ。四半世紀に及ぶ歴史の中で、初めて「SP」の名を冠する最高峰モデルが衝撃デビューを果たすことになった。今回は過去の詳細記事に加え、2018年10月19日に正式発表された内容を盛り込んで2019年モデルの全容を紹介したい。
目次
SPの価格は36万7200円アップで確定、STDに黒が登場
2018年7月8日のCBミーティングで初公開されたCB1300SF/SB SPも含めて2019年型CB1300シリーズが正式発表された。前後にオーリンズ社と共同開発した専用フロントフォークとリヤサスペンションを採用したSPは、SF、SBともにSTDより36万7200円アップすることが確定した。これはブレンボのラジアルマウント式モノブロックキャリパーも装備していることを考えるとお買い得と言っていい設定だろう。一方、STDは、従来のソードシルバーメタリックがカタログ落ちし、新たにダークネスブラックメタリックが登場。赤×白のパールサンビームホワイトは継続となった。主な変更点は、2019年モデルからシリーズ全車にETC2.0が標準装備となり、STDはSF、SBともに価格が3万6720円アップしている。STDにおいては、2018年型と2019年型で諸元に変更はない。尚、STDとSPでは、前後サスペンションが変更になったことにより車高が8mmアップしたとアナウンスされたが、5mm刻みの諸元上ではシート高、全高、最低地上高が10mmアップしている(比較表は最後に掲載)。
【再掲載】オーリンズ+ブレンボで操る歓びを高めた上級版
ステージ上のマシンからベールが外されると、大きな歓声が巻き起こった──7月9日に開催されたCBオーナーズミーティングで突如、CB1300SF/SBの新バージョン「SP」が世界初公開されるサプライズがあったのだ。本誌スクープがまたも的中となった今回のSP仕様。この称号は、走りを追求したホットバージョンに与えられ、レーサーレプリカ世代にはなじみが深い。近年は、CBR1000RRなどにSPが用意されるが、BIG-1=CB1000/1300シリーズに設定されるのは、25年に及ぶ歴代モデルで初。「スペシャル」と呼称するモデルは存在したが、これほど足まわりを強化した仕様は前例がない。
目玉は、ご覧のとおり前後オーリンズショックとラジアルマウントのブレンボキャリパーだ。サスは、既製品のオーリンズをベースに、ホンダとスウェーデンのオーリンズ本社が共同開発。上質さやコントロール性を追求したCB専用セッティングとなる。カラーリングにも注目されたい。名車CB750Fの’82年型(FC)をオマージュしたトリコロールは、SP専用色で、現行1300では初採用。まさに、SPの名に恥じないパッケージである。限定ではなく、レギュラーモデルとして販売されるのも朗報だ。 ※ヤングマシン2018年9月号(7月24日発売より)
【再掲載】車高8mmアップで軽快に!
サスの開発にあたって入念なテストを行い、スポーツ性能のみならず、街乗りやツーリングを含め、トータルで楽しく快適なセッティングを狙った。車高は、STDから前後とも8mmアップし、一段と軽快感が増すという。ブレンボ製Fキャリパーは、現行CBR1000RR SPと同じ高剛性なモノブロック4ピストン。さらに、CBのキャラクターに合わせ、マスターシリンダー径とホースの硬さを変更し、効力はそのままにコントロール性を重視した設定としている。また、既製品のCB1300用オーリンズFフォークは、キャリパーのマウントが一般的な横締め(スラストマウント)だが、SPでは縦に締結するラジアルマウントに。より高い制動力を発揮する。
このSP、価格も大いに魅力的だ。’16年に発売されたZRX1200ダエグ用のオーリンズプレミアムパッケージは、サスのみの前後セットで44万2800円。一方、CB1300SPの価格設定(STD+約37万円)はキャリパーも装着されていることを考慮すると相当なお買い得と言えそうだ。さらに、SPの足まわりは純正部品としても設定される。既にCBを所有しているオーナーでも、後付けでSPにバージョンアップ可能なのだ。 ※諸元で10mmアップとなっているのは5mm刻みとなっているため。記事はヤングマシン2018年9月号(7月24日発売)より
【再掲載】新排ガス規制に対応しつつ9㎰アップと使い勝手向上
1300として2代目のSC54に深化してからも14年が経過しているCB1300。既にスタイルやディメンジョンは完熟の域に達している。’08年型では、基本フォルムを踏襲しつつ、細やかなモデルチェンジで、より魅力を増した。’14年型で6速化した1284㏄直4エンジンは、平成28年排ガス規制に対応しながら、+9㎰の110㎰にアップ。握る力を約26%軽くし、エンジンブレーキを緩和するアシストスリッパークラッチも新採用した。電源ソケットや耐久性の高いウェーブキー、ヘルメットホルダーを新採用するなど、かゆい所に手が届く変更点も随所に施される。この完成度に、強化した足まわりをインストールしたSPは、まさに鬼に金棒だろう。 ※ヤングマシン2018年9月号(7月24日発売)より
文:沼尾宏明(再掲載分)
撮影:山内潤也
「2018CB1300スーパーボルドール試乗インプレ」記事はこちらへ。
Source: WEBヤングマシン