’16年のミラノショーで欧州仕様が発表されたロイヤルエンフィールド期待のニューモデル。同社初のSOHCエンジン、その実力を日本で徹底チェック! ※ヤングマシン2018年9月号(7月24日発売)より
目次
【〇】基本性能は及第点以上
ネオクラシックブームが到来して久しいが、’50年代から基本設計をほぼ変えずに生産し続け、本物のクラシックバイクメーカーとも言われているのがインドのロイヤルエンフィールドだ。主力車が搭載するのは空冷OHV2バルブの単気筒で、燃料噴射を採用するなどして各国の排ガス規制に対応してきた。日本ではマイナーだが、インドでは飛躍的に販売台数が伸びているとのこと。
そんな同社が新型エンジンを搭載したニューモデルを発表。今年6月から日本でも販売がスタートしたのが、アドベンチャーモデルのヒマラヤンだ。同社初というSOHC2バルブの単気筒は411ccで、ロングストロークな設定とフライホイールマスの重さからか、とにかく低回転域で粘り強い。最高出力はヤマハ・SR400とほぼ同等の約25psで、レスポンス、吹け上がりとも牧歌的。レッドゾーン付近まで回してもSRほど微振動が出ないのは、1軸バランサーのおかげだろう。2次減速比がややロングなのか、上り勾配のきつい峠道では1速を多用するが、実用上で気になったのはその程度だ。ちなみに最高速は128km/hを公称し、実際にもメーター読み100km/h巡航を余裕でこなすことができた。
【〇】ダート走行もこなせる
スチール製のセミダブルクレードルに組み合わされるのは、フロント21インチ、リヤ17インチのワイヤースポークホイールだ。ホイールトラベル量は前が200mm、後ろが180mmと長めで、アドベンチャーらしさを垣間見せる。荷物を満載してのダート走行を想定してか、サスの動きはやや硬めだが、フカフカの砂利道や木の根の多い林間コース、そしてグリップのいい舗装の峠道も、特に不満なく走ることができた。なお、フロントの大径ホイールの影響だろうか、およそ50km/hを境に上の速度域で操舵が重くなり、倒し込みや切り返しにやや手応えが出てくる。慣れるまではペースを抑えた方がいいだろう。ブレーキは舗装路での絶対制動力に少し物足りなさを感じるが、オフロードでのコントロール性はフロント、リヤともに良好。パッドの銘柄を変えて好みを探すのもいいだろう。
【×】400㏄を超えるので大型二輪免許が必要に
日本市場において400㏄をわずかに超えるのは、免許制度の上でマイナスと言わざるを得ない。とはいえ、今や希少な空冷シングルを積んだアドベンチャーは現行モデルでほぼ唯一であり、これに乗りたいがために大型二輪免許を取るのも悪くはない。
【結論】素の味わいで電脳どもを一蹴 長く付き合え!
ABSはあるがトラコンは非装備。FIの反応は牧歌的だし、サスの動きも決して上質ではない。だが、単気筒エンジンは新設計ながら味わい深く、車体の基本性能も決して低くはない。付き合うほどに信頼関係が深まりそうな要注目車だ。
撮影:飛澤慎
問:ウイングフット(03-3897-7255)
「【第1弾】ロイヤルエンフィールド ヒマラヤンの試乗インプレッション」記事はこちらへ。
Source: WEBヤングマシン