「第16回 全日本 学生フォーミュラ大会」が2018年9月4日(火)から8日(土)まで、静岡県小笠山総合運動公園で開催された。
今年は2020年のラグビーワールドカップの準備のために公園内にあるエコパスタジアムが使えない上に、直前に強力な台風21号の接近、さらには前線の活発な活動による激しい降雨による赤旗中断などがあり、通常予定されている競技後の表彰式や交流会もキャンセル。そこまでして競技時間を確保してなんとか競技を終了した、という状況であった。
路面コンディションが変わる中で、出走のタイミングによって涙するチームもあったが、その頂点に立ったのは、2011年以来2度目の優勝を遂げた大阪大学(853.35点)であった。
今回は静的審査に注力したこともあって、コストやデザイン審査で高得点をマーク。マシンも軽量化と低重心化を中心に開発されてきており、特に競技の最後のエンデュランス審査では、ウエットから徐々に路面が乾いていくという難しい状況の下、昨年の優勝校である京都工芸繊維大学との激しいタイム合戦が繰り広げ、会場で見守る関係者やファンから大きな歓声と拍手が贈られていた。
昨年2連覇を達成し、大会記録タイとなる3連覇を目指してやってきた京都工芸繊維大学だったが、動的審査では高得点をマーク(オートクロス1位、スキッドパッド2位)したものの、静的審査で点数が伸びず、840.46点で2位となってしまった。チーム関係者も「静的審査の部分を詰め切れなかったところがマイナス。走りで挽回しきれなかった」と。
過去には優勝経験もあり(2014年)、さらに昨年からはICVクラスから電気自動車であるEVクラスに移行して、総合4位(EVクラス1位)を獲得し、日本大会でのEVの上位進出を実現した名古屋大学。
昨年に引き続いてデザインファイナル(デザイン上位3校が公開で再度デザインの審査をする場)へ国内校で唯一進出し、総合成績では昨年よりさらに順位を上げて3位を獲得。参戦3年目となる来年は、現在の1モーターからインホイールモーター4基へと駆動システムを大きく変更する予定。さらなる上位進出のため、すでに動き出しているという。
総合4位、そして5位には、ともにデザインファイナルへ進出した海外勢が入った。4位のTongji University(トンジ・ユニバーシティ)は中国のチームで、すでに昨年総合7位に入る実力校。今年もICVクラスとEVクラスの両方に参戦している。
5位のオーストリアから参戦のU.A.S. Graz(ユニバーシティ・オブ・アプライド・サイエンス グラーツ)は、2016年にも日本大会に出場(総合4位)したことがあり、2018年のドイツ大会9位、オーストリア大会8位の実力校。ピットエリアでは常に人だかりができるほどの注目の一台であった。
大会を終えて、玉正忠嗣実行委員長は「今回は、今までにないほど天候に左右されました。スケジュールを変更しましたが、なんとか期間内にすべての審査を事故なく無事に終えることができてなによりです。エンデュランス審査の最後の走行では大阪大学と京都工芸繊維大学の2つのチームが、とてもいい走りをしてくれましたし、満足しています」と今大会を振り返った。
(青山義明)
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Source: clicccar.comクリッカー