プジョー3008や5008、シトロエンC4などと同じように、「EMP2(エフィシエント・モジュラー・プラットフォーム2)」と呼ばれる車体を使い仕立てられたDS 7 クロスバック。
単にDS仕様に飾り付けられた高級版ではなく、「DS」ブランドとして新規に開発された第1号ともいえるクロスオーバーSUVとなっています。
試乗したのは、1.6L直列4気筒ターボを積む「GRAND CHIC(グランシック)」、2.0L直列4気筒ディーゼルターボを積む「GRAND CHIC Blue HDi」。
トランスミッションはともにアイシンAW製の8AT(EAT8)で、PSAグループ初の8AT。シフトバイワイヤによる軽い操作感のシフトレバーも印象的です。
235/45R20サイズのグッドイヤー「イーグルF1」を履く「GRAND CHIC Blue HDi」から乗り出すと、プジョー3008などに搭載されていた同エンジンよりも静粛性が高まっているのは明らかで、「DS」という高級ブランドにふさわしい仕上がり。
注目の8ATもスムーズな変速フィールで、ターボラグはわずかに感じられますが、上り坂でも十分なトルク感があり、パワーユニットを考えると魅力的な選択肢に思えました。
ただし、235/45R20サイズは少し乗り味の面では、ややオーバースペックの感があり、路面状況によっては飛び跳ねるようなシーンも。DSらしく「しなやか」で、しかも路面を捉えて放さないロードフォールディング性の高さが少し薄まっているように思えます。
今回試乗した、もう1台の1.6Lガソリンターボの「GRAND CHIC」が履いていたのも235/45R20のグッドイヤー「イーグルF1」で、こちらも似たような乗り心地でした。なお、DS 7 クロスバックには、ディーゼルのみとなる「SO CHIC(ソーシック)」に18インチが組み合わされています。
ただし、ディーゼル仕様よりも車両重量が130kgも軽いこともあって、フロントタイヤの当たりは若干、ガソリン仕様の方がマイルド。
ドライブモードを「コンフォート」に入れると、足の動きが滑らかになり、路面の凹凸に対してゆったりとした動きになり、DSらしい乗り心地を味わえます。
一転、スポーツに入れると、ロール感が減り、シャーシはかなりシャキッとします。カメラで前方5〜25mの路面を絶えずスキャンして、ダンパーの減衰力を最適化するという「DSアクティブススキャンサスペンション」は、荒れた路面でより効果を実感できます。
静かでしなやかな走り、そしてスポーツモードに入れると意外なほど芯のあるハンドリングを披露してくれるDS 7 スポーツバック。内・外装の見た目で惹かれる方も多いと思われますが、走りの面でも実力派といえます。
(文/塚田勝弘 写真/平野 学)
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Source: clicccar.comクリッカー