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メルセデスベンツ初の市販EV「EQC」前後席に座った印象はCステーションワゴン!? 日本発売は2020年か

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自動車にまつわる環境問題では世界一厳しいカリフォルニア州のZEV規制に加えて、中国はじめ各国のCAFE規制にも対応しなければならない自動車メーカーにおきましては、もはや余分なCO2を吐く余裕など一片もなし。というわけで、ここから向こう1年ほどはそれら規制対策の意味合いも兼ねて電気自動車=EVの発表が相次ぐことが予想されます。

欧州においてその先陣を切ったのがメルセデス・ベンツ。「EQ」のサブブランドで本格的なEVの商品群を展開、2022年には10車種のEVを上市するとアナウンスしたのが16年のパリサロンですが、そこから数えてほぼ2年、今年2018年のパリサロンを前に最終開発段階のモデルを公開しました。

ご存知の通り、スマートにはEVがあったものの、メルセデスブランドの市販車としては初のEVとなる「EQC」。開発には4年の月日を費やし、3年に渡って極寒から熱帯まで、世界各地の過酷な自然環境でくまなくテストを繰り返したそうです。その距離は約450万km。給電の関係で走行範囲の限られるEVとしては相当なテスト量といえるでしょう。裏返せばメルセデスは、EVのビジネスにおいて信頼性は絶対的なファクターだと考えているということです。

EQCのリチウムイオンバッテリーは日産リーフのようなラミネートタイプを384セル使用。それを6ユニット化し、床下に配列しています。水冷化されたこのユニットは、温湿度を自在に調整できるクライメートチャンバーと呼ばれる設備の中で、120以上のテストを繰り返して最適な仕様を見い出したそうです。バッテリーについては自社製を強調しており、そのための製造工場のために10億ユーロを投資、ブレーメンや北京といった主力工場以外でも自前の道を進めるとのことです。

ちなみにEQCの電池容量は80kwhで、出力110kwhの直流式急速充電器を用いれば残量10%から80%の充電が約40分で可能とのこと。日本仕様がCHAdeMO対応になることはほぼ確定的ですから、恐らく同等の利便は確保されるものと思われます。

EQCはベースとなるGLCの車台を足周りの一部を残してほぼ全面刷新し、4つを並列配置するバッテリーモジュールはホイールベース間の床面に綺麗に配されます。その前後車軸部に装着されるモーターの総合出力は300kw、0〜100km/h加速では5.1秒の俊足を誇りますが、テスラのインセイン(=狂気的)モードのようにEVをことさらに強調するようなプログラムはないようです。

代わりにというのもなんですが、前モーターを取り囲むように配されたパイプのケージは、そのままバルクヘッドを貫通し室内側で纏められています。その取り回しがミッションハウジングのように見えるのは偶然でもなく、普通のクルマなら衝撃吸収メンバーとなるミッションを持たないEQCの場合、このケージが衝突安全性能に重要な役割を果たすのでしょう。2.4t余の重量を支えるとはいえその他の構成部品もやけにゴツく、ストリップモデルからはメルセデスがいかにパッシブセーフティに気を配ったかが伺い知れます。

ちなみに現在はこのような耐衝撃性全般や生産性などの関係で既存車=GLCの車台を活用していますが、今後登場する大半の車種では、EQ向けの専用設計となるモジュラー構造のアーキテクチャーが採用される予定です。

モーターコイルにも用いられる銅線の色をモチーフにした、カッパーゴールドのようなピンクゴールドのような微妙な色を差し色に用いたインテリアは、操作系にメルセデス流のロジックが踏襲されているので、操作に違和感はなさそうです。行程や地形、電池残量などを見ながらベストなドライビングを探っていくのはEVの走る愉しみのひとつですが、EQCはステアリングにスロットルや回生ブレーキのマネジメントを5段階で切り替えられるパドルが用意されるなど、その点に抜かりはありません。

居住性の面で気になるのが、フロアにバッテリーを敷いたことによる天地方向の違和感ですが、発表直後でメディアがごった返すなか、あわあわと前後席に座って確認してきました。

まず前席ですが、プロポーションがややSUV寄りなのに対して、着座姿勢は普通のクルマに乗っているような感じというくらいで、露骨な床高感を覚えることはまずないはずです。対して後席は床面の底上げ感や形状の癖から、前席下方への足入れは普通のSUVのようにはいきません。そして床面にモーターが収まる荷室部もやや底高な印象です。総じて室内空間の広さ感は、GLCというよりはCクラスワゴンといった感じでしょうか。でもそれは181cmの大男が乗ってみての印象ですから、あくまで参考的にみていただければと思います。

EQCは現状、ブレーメンと北京の2工場で生産が予定されており、欧州での発売開始は19年半ば以降、日本へは20年の早い段階に向けて発売が計画されているようです。

(渡辺 敏史)

Technical data(本国仕様)

CO2排出量:0 g / km
電力消費率(NEDC):22.2 * kWh / 100 km
航続距離(NEDC):450以上* km
駆動システム:2モーター、全輪駆動
最高出力:300 kW(408 hp)
最大トルク:765Nm
最高速度:180 km / h(支配)
0-100 km / h加速:5.1 s
バッテリー種類:リチウムイオン
バッテリーエネルギー密度(NEDC):80 kWh
バッテリー重量:650 kg
全長/全幅(ミラー含む)/全高:4,761 / 1,884(2,096)/ 1,624 mm
トレッド(F/R):1,625 / 1,615 mm
ホイールベース:2,873 mm
ラゲッジ容量:500リットル
車両重量/車両総重量/最大積載量(DIN):2,425 * / 2,930 / 505 kg
最大牽引負荷(12%):1,800 kg
*暫定値

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Source: clicccar.comクリッカー

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