初代が1997年にデビューしたフォレスター。当初は走りを強調したSUVで、ターボモデルの存在が象徴的なモデルでした。しかし時代を経るごとにパワフルな走りのSUVから、実用性と悪路走破性の高いSUVへと進化、現在はターボエンジンも搭載していません。
現行モデルは4代目に当たります。前述のとおりターボエンジンはすでに消滅。搭載されるエンジンは2.5リットルの自然吸気と2リットルのマイルドハイブリッドとなりました。エンジンのスペックは2.5リットルが184馬力、2リットルが145馬力でモーターは13.6馬力となります。
2リットルマイルドハイブリッドには「eボクサー」という愛称が与えられました。水平対向エンジンにこだわるスバルらしいネーミングですが、本格的なハイブリッド投入時のネーミングがどうなるのか? ちょっと気になります。
試乗を行ったのは静岡県・伊豆にある日本サイクルスポーツセンターです。ナンバー取得前の車両だったことがこの地で行われた理由です。コース的には路面のいい観光ワインディングと思っていただければいいでしょう。走りに余裕があるのは2.5リットルなのですが、発進から60km/h程度までの加速なら2リットルマイルドハイブリッドも十分に互角な印象となります。
偉いなと思うのはどちらもレギュラーガソリン仕様であること。フォレスターのウェッブページを見ると、トップに掲載されているスペックが、定員の5名、280.8万円〜309.96万円という価格。そして14.4〜18.6km/LのJC08モード燃費と13.2〜14.0km/LのWLTCモード燃費というようにモード燃費がいいことを強調しています。
しかし、どこにも使用燃料がレギュラーガソリンであることは表記されていません。これはじつにもったいない。燃費の「費」は費用の「費」です。レギュラーガソリンで数値を実現していることをきちんと表記すべきでしょう。同じ燃費でもプレミアムとレギュラーでは価格ベースで考えれば、プレミアムは7〜10%も燃費が悪いことになるのですから。
新しいフォレスターにはインプレッサから採用されているスバルグローバルプラットフォーム(SGP)が使われました。このプラットフォームの採用で、走りはかなり上方にシフトしました。走りの方向性はまったく同じですが、細かい振動やギャップ乗り換え時の入力のいなし方はかなり高められています。サスペンションがしっかりと動いて、グイッとした入力をボディがしっかりと受け止めて走ります。
コーナリング時のロールも始まりから終わりまでにとがった部分がなく、直進状態になると曲がろうという力がスーッと消えてきれいに加速に移れます。
先代モデルと比較試乗ができたのですが、乗り心地に大きな変化は感じられませんでした。しかし、じつはこの変化のないことが凄いことであることが判明したのです。先代モデルが履いていたタイヤは225/60R17インチで、新型の試乗車は扁平率225/55R18だったのです。エアボリュームの少ないタイヤで同レベルの乗り心地を実現しているのですから、大きく評価されるべきでしょう。
今回の試乗では特設コースによるオフロード走行体験できました。コース路面はドロドロの泥ねい路です。試乗車はクロスカントリー方向に少しベクトルをずらしたXブレークで17インチのオールシーズンタイヤを履いていました。上り坂下り坂をメインにしたコースです。
結論から言えば何起きないかかのようにグイグイ上っていき、安心して走ることができます。4輪のブレーキを独立してコントロールし、接地輪に積極的にトルクを伝達するXモードが効率的に働くので、いったん空転してもその後登っていきます。このとき大切なのは空転しても躊躇せずにアクセルを踏み続けること。アクセルを踏み、空転するからXモードが働き接地輪に駆動力が伝わります。
ユーティリティ性にも優れるレギュラーガソリン仕様、さらにXモードによるクロスカントリー性能の高さなどなど多くの部分で高い評価が与えられるのが新型フォレスターです。
欲を言えばもう少しサイズが小さいと都市部での使い勝手が上がるでしょうが、それはXVに任せる部分なのかも知れません。あとエンジン特性(パワーフィールではない)に使いにくい部分を感じたのですが、それは公道試乗でもう一度確かめてから報告したいと思います。
(文・写真:諸星陽一)
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Source: clicccar.comクリッカー