人気漫画『ゴールデンカムイ』の影響で、にわかに注目が集まっているアイヌ文化。そのアイヌの歴史を色濃く今に伝えているのが、沙流郡平取(さるぐんびらとり)町にある二風谷(にぶたに/ニプタニ)です。
アイヌ語で、「ニプタイ」=木の生い茂るところ、という意味からきている地名です。
二風谷には、【二風谷アイヌ文化博物館】(400円)、【沙流川歴史館】(無料)、【萱野茂二風谷アイヌ資料館】(400円)があります。複数箇所を観るなら共通券がお得です。
・二風谷アイヌ文化博物館+萱野茂二風谷アイヌ資料館(700円)
・二風谷アイヌ文化博物館+びらとり温泉ゆから(700円)
・二風谷アイヌ文化博物館+萱野茂二風谷アイヌ資料館+びらとり温泉ゆから(1,050円)
【二風谷アイヌ文化博物館】では、様々な民具などの展示のほかアイヌの人々の暮らしや文化を紹介するビデオや、ユーカラ(ユカラ/叙事詩)やウエペケレ(散文の昔話)も聞くことができます。「木彫・刺繍」「講話」「舞踊」「ムックリ演奏」などの体験もできますので、興味のある方は博物館の公式サイトをご覧ください。
野外に復元されているアイヌの伝統家屋『チセ』群は無料で自由に見学できます。アイヌ工芸のお店も点在し、特に『ゴールデンカムイ』5巻から登場するキロランケ(アイヌ男性)が持っているマキリ(短刀/狩猟刀)を製作した木彫り師・貝澤さんに会いにくる熱心なファンもいるそうです。
チセでは織物・刺繍や彫刻などの実演が行われていますので、臆せず内部までご覧ください。気さくに色々と教えてくれますよ。
国道を挟んだ向かい側、少し奥まったところに【萱野茂二風谷アイヌ資料館】があります。写真は、萱野氏が実際に使用していたものです。
萱野氏はアイヌ民族であり、アイヌ語を母語として育ちました。アイヌ文化研究者であり、アイヌ初の国会議員となった人物です。【二風谷アイヌ文化博物館】に収蔵されている史料の多くは萱野氏が提供したもので、それでもなお、こちらに展示するほどの史料を収集および復元されました。金田一京助の助手としてアイヌ語の記録にも尽力されており、著書も多く残しています。
日高山脈を源流とする沙流川は長さ104km、日高地方一の長流であり、アイヌ文化を支えてきた自然の恵み豊かな美しい川です。雄大な景色に不似合いな平取ダムの歴史についても、資料館などで学べます。
今年もアイヌの舟下ろしの儀式【チプサンケ】が2018年8月18日〜19日に開催されます。18日は前夜祭として午後からユカラと語り部、ウトムヌカラ(結婚式)が執り行われ、地域の方々の盆踊りが開催されます。19日にはカムイノミ(神、もしくは霊的存在に対して祈りを捧げる儀式)から始まり、古式舞踊、午後から川辺のカムイノミ(舟おろしの儀式)と続いて、子どもたちが待ちに待った「舟くだり」というスケジュールです。参加は自由、しかも無料です!
平取アイヌ文化情報センター(二風谷工芸館)にて木彫り体験もできますよ。イベント期間中に限り、こちらも無料!
古式舞踊は【白糠アイヌ文化保存会】と【平取アイヌ文化保存会】により、アト°イソーリムセ(舟こぎの歌舞)、シッチョチョイ(豊年踊り)、ク・リムセ(弓の歌舞)、ウタレオプンパレワ(輪踊)、ハララキ(大空を舞う丹頂鶴の舞)、チャピヤーク(アマツバメの舞)、皆で輪になってのヤイサマ(即興歌)とホリッパ(輪舞)…と、豪華な演目です。(もしかしたら今年は少し変わっているかも知れません)
昼食は、ドライブイン【ユーカラ】で『キトピロラーメン』を食べました。キトピロとはアイヌ語で行者ニンニクのことで、プクサとも言います。アイヌ文化の代表的な山菜のひとつです。においが強い植物ですが、食べると元気が出ますよ。
二風谷の駐車場から約1.5kmほど北に『びらとり温泉ゆから』(日帰り入浴は420円)があり、隣接して『二風谷ファミリーランド』もあるので夏休み期間中は特に家族連れで賑わっています。お子さんの自由研究に訪れているという方も多いようです。
ちなみに、「アイヌ」とはアイヌ語で「人間」を意味します。アイヌの社会では、「アイヌ」という言葉は本当に行いの良い人にだけ使われたそうです。
二風谷で、アイヌの精神文化に触れてみてはいかがでしょうか。
(松本しう周己)
【関連リンク】
体験学習のご案内|【公式】平取町立二風谷アイヌ文化博物館のホームページ
http://www.town.biratori.hokkaido.jp/biratori/nibutani/learning/
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Source: clicccar.comクリッカー