世界ラリー選手権(WRC) は1カ月半サマーブレイクを終え、7/26から29に開催される第8戦ラリー・フィンランドから後半戦を迎える。
ラリー・フィンランドは、2018シーズンを通して最も平均速度が高いイベントだ。しかし、その路面はターマック(舗装路)では無く、グラベル(未舗装路)。フィンランド中部、ユバスキラにサービスパークが置かれ、その周辺で競技が行われる。
TOYOTA GAZOO Racing WRT(World Rally Team)からは、ヤリ-マティ・ラトバラ/ミーカ・アンティラ組(7号車)、オット・タナク/マルティン・ヤルヴェオヤ組(8号車)、エサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム(9号車)の3台のヤリスWRCが参戦する。
ユバスキラはサンタクロースでも有名な13万人の都市。TOYOTA GAZOO Racing WRTのファクトリーはユバスキラ近郊に置かれ、チームの地元開催であると併せて、ラトバラ,アンティラ,ラッピ,フェルムの4名はフィンランド人。そしてタナク・ヤルヴェオヤはバルト海を挟んだエストニア出身と、ドライバー全員にとっても地元開催。
昨年はラッピがWRC最高クラスに参戦4戦目で初(総合)優勝を果たし、ユホ・ハンニネンが総合3位に入るなど、昨シーズンTOYOTA GAZOO Racing WRTにとっての最高の結果を獲得した。
ラリー・フィンランドのステージは湖の多い森林地帯で行われ、以前は1000湖ラリー(1000 Lakes Rally)として開催されていた。路面は砂利や大きな石が少なくフラットだが、大きなジャンプやうねりのあるクレスト(丘)越えが連続する為、正確なライン取りとそれを支える精度の高いペースノートがコース攻略の重要な鍵となる。
例年、上位を争う選手達のタイム差は少なく、僅かなミスが勝負を分ける。今年のSS(スペシャルステージ)は、昨年(2017)使用されたSSのうち約65%が変更され、全体の40%近くが新規コースとなった。
競技は7月26日(木)夜、ユバスキラの公園を舞台とするSS「ハルユ」でスタート。27日(金)から29日(日)にかけ、4日間で23本のSS(合計距離317.26km)・リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は1426.84kmとなる。ラリーフィンランドの象徴ともいえる超高速SS「オウニンポウヤ」が今年はラリーから除外された。
一部はSS「カカリスト」として28日(土)に走行するが、40秒間アクセル全開の超高速区間や有名なイエロー・ハウス・ジャンプ(03年に57m跳んだ車アリ)は含まれない事となった。
2018年シーズン前半戦はラリー・アルゼンチンでの優勝を始め、ほとんどのイベントで上位に喰い込む速さを見せる反面、アクシデントも重なって昨年程複数台での上位フィニッシュを重ねられていないトヨタ勢。だが、前週タナク/ヤルヴェオヤ組がエストニアラリーにヤリスWRCで参戦。ヒュンダイ・シトロエンのワークスマシンも参戦したこのラリーで2位以下に50秒以上の大差をつけて勝利を飾った。
WRCではF1の様に空力のアップデートが自由に出来ない(=制限されている)。フォードはここで新しい空力セットを投入。
マニュファクチャラー/ドライバーの両選手権でトップを走るヒュンダイはセンターデフをアップデートとの情報もあり、各チームも手抜かりなく力をそそいでいる。
また、GAZOO Racingラリーチャレンジプログラムに参加している勝田貴元/新井大輝/足立さやかの3名もWRC2クラスへエントリーしている。
勝田選手は今年のラリースゥエーデンでWRC2クラスで優勝。足立選手はフィンランド国内選手権で優勝。新井選手も参加イベントで上位フィニッシュを重ねており、日本人の活躍も見逃せない。
(川崎BASE・photo:TOYOTA GAZOO RACING/Jaanus Ree/Red Bull Content Pool)
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Source: clicccar.comクリッカー