ダイハツ、スポーツ、赤黒……と聞いて食い気味に「デ・トマソ!!」と答える全国3000万人ファンの皆様、朗報です。なんとイタリアンブランドとコラボして生まれた名車『シャレード・デ・トマソ ターボ(1984年)』の現代版と言えるモデルが爆誕します!
その名は『BOON SPORTO Package(ブーン スポルト パッケージ)』。これはブーン シルク用にセット提供されるエクステリアキットで、全国のダイハツディーラーで販売・組み込みされるオフィシャル・アイテム。フロント・サイド・リヤの黒いエアロで構成され、組めばボディカラーとブラックの2トーンに仕上がるという仕組みです。
さて、このスポルト パッケージが生まれた背景は興味深いもの。起点は2017年・東京オートサロンにダイハツが出展した『BOON SPORZA Ver.(ブーン スポルザ バージョン)』。これはブーン シルクにシャレード・デ・トマソをほうふつとさせる造形のエアロパーツを盛り込み、カラーリングもイメージ色である赤と黒でまとめたものでした。
当初は具体的な市販スケジュールがなかった同車ですが、いざショーが始まってみると「早く売ってくれ」の声が強く・大きく寄せられます。こうしてファンの求める声に応えるかたちで、ショー閉幕直後から急きょ市販向けの開発が始まったというのでした。
ちなみに東京オートサロンに出展されたものと市販バージョンは、いずれもダイハツ社内の同じデザイン・チームが直接手がけています。このため、ショーモデルのプロポーションと熱量がロード・バージョンへスムーズに反映されたのは見逃せない美点です。
それでは各部を見ていきましょう。フロントバンパー下部にセットした『フロントロアスカート一体型フロントバンパーガーニッシュ』は、ボディ幅いっぱいの大開口グリルをウイングステーで3つに分けたような処理を施すスポーティなもの(この3分割形状はシャレード・デ・トマソに通じます)。
左右にリップスポイラーを追加する一方でセンターはボディ下面への導風を意識して一段高い処理としています。ノーマルのシルクと見比べるとその顔つきの差は歴然ですね。
サイドにはスポルト パッケージの楽しさが凝縮されています。前後輪に配置された『サイドストーンガード』とドア部の『フロント&リヤドアアンダーガーニッシュ』はあえてボディから大きく張り出した存在感あるものにしています。これは巨大なサイドプロテクションモール&スカートを持つシャレード デ・トマソにオマージュをささげたものと見えます。偉大なる先輩に敬意を表した書体の『サイドデカール』は右側用が鏡文字となる左右対象形。こうした逆文字デカールは80年代スポーツで流行したものでもあり「開発者はわかってるな」とニヤリとしちゃいます。
ブーン スポルト パッケージではさらに『フロント&リヤフェンダーガーニッシュ』という名のオーバーフェンダーも備えます。これは「一見オバフェン、実は黒への塗り分け」だったシャレード デ・トマソを”超えた”部分といえるのでした。これ豆知識ね。
オプションで用意されるレイズの15インチホイール『VOLK RACING CE28N』の設定色はハイパーゴールド。シャレード デ・トマソが履いていた金色のカンパニョーロ・ホイールが頭をグングンよぎって盛り上がるからマスト装着です(キッパリ)。
リヤ部分には『リヤロアスカート一体型リヤバンパーガーニッシュ』が装着されます。
これは東京オートサロン出展モデルでも大きく注目を浴びたディフューザー形状がポイント。ノーマルではかわいらしさのあるリヤの印象は一変、イカつい姿を得ています。
またシャレード デ・トマソではブラックパーツの中にホワイトのラインが入っていましたが、ブーン スポルト パッケージではこれをレッドで再現して全体を引き締めました(ちなみにレッドラインはシャレード・ターボ標準車で用いられていたものだから、スポルトの赤線はそちらへのオマージュでしょうか!?)。
インテリアに目を移しましょう。ノーマルのブーン シルクはブーン標準車に対してエアコン吹き出し口やオーディオパネルが赤系(マゼンタ)に変更されていますから、各部に赤いパーツが追加されていたシャレード デ・トマソと元々近い匂いがしています。
ここに今回のスポルト パッケージでは『スポルト専用本革風シートカバー』がオプションで用意されました。レッド&ブラックの前後シートを持つ兄貴分に近づけるためには欠かせない装備で、ノーマル・シルクの黒&白基調ものから大きくイメージを変えてくれます。
大きくて彫刻的なエアロを装着し、ハッとするほどの存在感がある『ブーン スポルト パッケージ』。現在のところその価格や発売時期未定ですが、実車は2018年1月の東京オートサロンに出展されるとのこと。その物理的な大きさと、背景にダイハツ・スポーツ・ヒストリーあっての独特のオーラは会場で直接確かめましょう。
(文/ウナ丼 写真/吉見幸夫)
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Source: clicccar.comクリッカー